関東都督府官制(ひらがな化、一部新字体化) 勅令第百九十六号 關東都督府官制 第一条 関東州に関東都督府を置く 第二条 関東都督府に関東都督を置く 都督は関東州を管轄し並南満洲に於ける鉄道線路の保護及取締の事を掌る 都督は南満洲鉄道株式会社の業務を監督す 第三条 都督は親任とす陸軍大将又は陸軍中将を以て之に充つ 第四条 都督は部下軍隊を統率し外務大臣の監督を承け諸般の政務を統理す 第五条 都督は特別の委任に依り清国地方官憲との交渉事務を掌理す 第六条 都督は軍政及陸軍軍人軍属の人事に関しては陸軍大臣、作戦及動員計画に関しては参謀総長、軍隊教育に関しては教育総監の区処を承く 第七条 都督は其の職権又は特別の委任に依り都督府令を発し之に禁錮一年以下又は罰金二百円以内の罰則を附することを得 第八条 都督は安寧秩序を保持する為臨時緊急を要する場合に於て前条の制限を超ゆる罰則を附したる命令を発することを得 前項に依り発したる命令は発布後直に外務大臣を経由して勅裁を請ふへし若し勅裁を得さるときは都督は直に其の命令の将来に向て効力なきことを公布すへし 第九条 都督は其の管轄区域内の防備の事を掌る 第十条 都督は其の管轄区域内の安寧秩序を保持し又は鉄道線路の保護及取締を行ふ為必要と認むるときは兵力を使用することを得 前項の場合に於ては直に外務大臣、陸軍大臣及参謀総長に之を報告すへし 第十一条 都督は所轄官庁の命令又は処分にして成規に違ひ、公益を害し又は権限を犯すものありと認むるときは其の命令又は処分を停止し又は之を取消すことを得 第十二条 都督は所部の官吏を統督し奏任文官の進退は外務大臣に由り内閣総理大臣を経て之を上奏し判任文官以下の進退は之を専行す 第十三条 都督は外務大臣に由り内閣総理大臣を経て所部文官の叙位叙勲を上奏す 第十四条 都督は所部の文官を懲戒す其の勅任官に係るもの及奏任官の免官は外務大臣に由り内閣総理大臣を経て之を上奏す 第十五条 都督府に都督官房を置く 都督官房に副官一人及秘書官専任一人を置き機密に関する事務を掌らしむ 副官は陸軍佐尉官を以て之に充つ 秘書官は奏任とす 第十六条 都督府に民政部及陸軍部を置く 陸軍部に関する条例は別に之を定む 第十七条 民政部は軍事行政を除くの外一切の行政事務を掌る 第十八条 民政部に左の四課及一署を...