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ハーグ陸戦条約(陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約) 1907年10月18日

ハーグ陸戦条約(口語訳、前文署名省略) 第一条 締約国はその陸軍軍隊に対し、本条約に付属する陸戦の法規慣例に関する規則に適合する訓令を発するようにしなければならない。 第二条 第一条に掲げる規則及び本条約の規定は交戦国が悉く本条約の当事者になるときに限り、締約国間にのみこれを適用する。 第三条 前記規則の条項に違反した交戦当事者は損害があるときは之が賠償の責任を負うべきものとする。 第四条 本条約は正式に批准されたる上、締約国間の関係においては陸戦の法規慣例に関する1899年07月29日の条約に代わるべきものとする。 第五条 本条約は、なるべく速やかに批准しなければならない。 2 批准書はハーグに寄託する。第一回の批准書寄託はこれに加わる諸国の代表者及びオランダ国政府外務大臣の署名した長所をもってこれを証明する。 3 その後の批准書寄託は、オランダ国政府に宛ててかつ批准書を添付した通告書をもってこれを為すものとする。 4 第一回の批准書寄託に関する調書、前項に掲げたる通告書及び批准書の認証謄本はオランダ国政府より外交上の手続をもって直ちにこれを第二回平和会議に招請される諸国及び本条約に加盟する他の諸国に交付しなければならない。前項に掲げたる場合においては、オランダ国政府は同時に通告書を接受した日を通知するものとする。 第六条 記名国ではない諸国は本条約に加盟することができる。 2 加盟を希望する国は書面をもってその意思をオランダ国政府に通告し、かつ加盟書を送付しこれをオランダ国政府の文庫に寄託しなければならない。 3 オランダ国政府は直ちに通告書及び加盟書の認証謄本をその他の諸国に送付し、かつ同通告書を接受した日を通知しなければならない。 第七条 本条約は、第一回の批准書寄託に加わった諸国に対しては、その寄託の調書の日付より60日の後、又その後に批准しまたは加盟する諸国に対しては、オランダ国政府が同批准書または加盟の通告を接受したときより60日の後にその効力を生じるものとする。 第八条 締約国中本条約を廃棄しようとするときは、書面をもってその旨をオランダ国政府に通告しなければならない。オランダ国政府は直ちに通告書の認証謄本を他の諸国に送付し、かつ同通告書を接受した日を通知しなければならない。 廃棄は、その通告書がオランダ国政府に到達した時より1年後、同通告をなした国...

ロンドン軍縮条約(1930年ロンドン海軍条約) 1930年04月22日

ロンドン軍縮条約(口語訳) 千九百三十年ロンドン海軍条約 第一編 第一条 締約国は1922年2月6日「ワシントン」に於いて相互の間に署名せられ且つ本条約に於いて「ワシントン」条約と称せられる海軍軍備制限に関する条約の第二章第三節に規定される主力艦代換トン数の竜骨据付の自国の権利を1931年から1936年までの期間中行使しないことを約する。 上規定は不慮の事変に依り亡失し、又は破壊された艦船の代換に関する前記条約第二章第三節第一款(ハ)に掲げられる規定の適用を妨げることはない。 もっとも、フランス及びイタリアは前記条約の規定により、1927年及び1929年に自国が起工する権利を与えられた代換トン数を建造することができる。 第二条 一 アメリカ、イギリス並びに日本は下の主力艦を本条の規定される所に従い処分しなければならない。アメリカ フロリダ、ユター、アーカンソー又はワイオミング イギリス ベンボー、アイアン・デューク、マーバラ、エンペラー・オヴ・インディア、タイガー 日本 比叡 (イ)(ロ)の規定を留保し、前記艦船は「ワシントン」条約第二章第二節二(ハ)に依り、専ら標的用に変更されない限り、左の如く廃棄せねばならない。 アメリカによって廃棄されるべき艦船中の1隻及びイギリスによって廃棄されるべき艦船中の2隻は本条約の実施の時より12ヶ月以内に「ワシントン」条約第二章第二節三(ロ)に従い、戦闘任務に適しないようにしなければならない。上艦船は右実施の時より24ヶ月以内に右第二節二(イ)又は(ロ)に従い、確定的に廃棄しなければならない。アメリカに依り廃棄しなければならない艦船中の第二隻並びにイギリスにより廃棄しなければならない艦船中の第三隻及び第四隻については、上期間は本条約の実施の時よりそれぞれ18ヶ月及び30ヶ月とする。 (ロ)本条により処分せらるべき艦船中下記は練習用のため保有してもよい。 アメリカ アーカンソー又はワイオミング イギリス アイアン・デューク 日本 比叡 上艦船は本条約第二編第二付属書第五款に規定される状態に減勢しなければならない。上艦船を要求せられた状態に減勢する作業は本条約の実施の時よりアメリカ及びイギリスについては12ヶ月以内に、又日本については18ヶ月以内にこれを開始しなければならない。上作業は前記期間の満了の時より6ヶ月以内に完了しなければな...

第一次日韓協約 1904年08月22日

第一次日韓協約 (口語訳、署名省略) 1 韓国政府は日本政府の推薦する日本人一名を財務顧問として韓国政府に招聘し、財務に関する事項は総てその意見を伺い施行することとする。 2 韓国政府は日本政府の推薦する外国人一名を外交顧問として外部より招聘し、外交に関する要務は総てその意見を伺い施行することとする。 3 韓国政府は外国との条約締結その他重要なる外交案件、即ち外国人に対する特権譲与若しくは契約等の処理に関しては予め日本政府と協議することとする。 (原文:一部新字体化)     日韓協約 一 韓國政府ハ日本政府ノ推薦スル日本人一名ヲ財務顧問トシテ韓國政府ニ傭聘シ財務ニ關スル事項ハ總テ其意見ヲ詢ヒ施行スヘシ 一 韓國政府ハ日本政府ノ推薦スル外國人一名ヲ外交顧問トシテ外部ニ傭聘シ外交ニ關スル要務ハ總テ其意見ヲ詢ヒ施行スヘシ 一 韓國政府ハ外國トノ條約締結其他重要ナル外交案件即外國人ニ對スル特權讓與若クハ契約等ノ處理ニ關シテハ豫メ日本政府ト協議スヘシ 明治三十七年八月二十二日        特命全權公使 林 權 助 光武八年八月二十二日        外部大臣署理 尹致昊  (日本外交文書第37巻第1冊6)

松井=秦徳純協定(盧溝橋事件の現地停戦協定) 1937年07月11日

松井=秦徳純協定(口語) 一 第29軍代表は日本軍に対し遺憾の意を表し、かつ責任者を処分して将来責任を以て今回のような事件の惹起を防止することを声明する。 二 支那軍は豊台駐屯日本軍と接近しすぎたにより、事件を引き起こし易くなったため、盧溝橋城廓及び龍王廟に軍を駐屯しないようにし、保安隊により治安を維持する。 三 本事件は、いわゆる藍衣社・共産党・その他抗日系の各種団体の指導が原因となることが多いことに鑑みて、将来これらの対策をし、かつ取締りを徹底する。  以上、各項はことごとくこれを承諾する。 松井=秦徳純協定(原文:ひらがな、一部新字体化) 昭和十二年七月十一日  盧溝橋事件現地停戦交渉における協定事項 一 第二十九軍代表ハ日本軍二対シ遺憾ノ意ヲ表シ且責任者ヲ処分シテ将来責任ヲ以テ再ヒ斯ノ如キ事件ノ惹起ヲ防止スルコトヲ声明ス 二 支那軍ハ豊台駐屯日本軍ト接近シ過キ事件ヲ惹起シ易キヲ以テ盧溝橋城廓及龍王廟二軍ヲ留メス保安隊ヲ以テ其ノ治安ヲ維持ス 三 本事件ハ所謂藍衣社、共産党其ノ他抗日系各団体ノ指導二胚胎スルコト多キニ鑑ミ将来之カ対策ヲ為シ且取締ヲ徹底ス 以上各項ハ悉ク之ヲ承諾ス (日本外交文書 日中戦争第1冊一1:盧溝橋事件の発生から全面戦争への拡大 P14)(19370711松井=秦徳純協定.pdf P11)

日満議定書 1932年09月15日

内容見直し点:口語訳他サイトから入手のため見直し 日満議定書(口語訳) 日本は、満州国が住民の意思で成立した独立の国家である事を確認した。また満州国は、これまで中華民国が諸外国と結んでいた条約・協定を可能な限り満州国にも適用する事を宣言した。そのため日本政府と満州国政府は、日満両国の「良い隣人」としての関係をより強め、お互いにその領土権を尊重し、東洋の平和を確保しようと、次のように協定する。 1. 満州国は満州国領域内で、将来日満両国間で個別の条約を締結しない限り、従来日本国と日本国民が中華民国との間で締結した条約・協定・その他の取り決めや公私の契約によって得ていた全ての権利利益を認め、これを尊重する。 2. 日本国と満州国の一方の領土や治安に対する脅威は、同時にもう一方の平穏に対する脅威であるという事実を認識し、両国は共同で国家の防衛に当たるべきである事を約束する。このため、日本軍は満州国内に駐屯する事とする。 本議定書は署名の日から効力を生じる 本議定書は日本語文・中国語文で二通作成し、日本語文と中国語文とで解釈が異なる場合には、日本語文の文面で解釈することとする 以上の証拠として次の名の者は、各本国政府から正当な委任を受けて、本議定書に署名調印する 昭和七年九月十五日すなわち大同元年九月十五日新京においてこれを作成する (署名略)(Wiki) 日満議定書(原文:一部新字体化) 条約第九号        議 定 書 日本国ハ満洲国ガ其ノ住民ノ意思ニ基キテ自由ニ成立シ独立ノ一国家ヲ成スニ至リタル事実ヲ確認シタルニ因リ 満洲国ハ中華民国ノ有スル国際約定ハ満洲国ニ適用シ得ベキ限リ之ヲ尊重スベキコトヲ宣言セルニ因リ 日本国政府及満洲国政府ハ日満両国間ノ善隣ノ関係ヲ永遠ニ鞏固ニシ互ニ其ノ領土権ヲ尊重シ東洋ノ平和ヲ確保センガ為左ノ如ク協定セリ 一 満洲国ハ将来日満両国間ニ別段ノ約定ヲ締結セザル限リ満洲国領域内ニ於テ日本国又ハ日本国臣民ガ従来ノ日支間ノ条約、協定其ノ他ノ取極及公私ノ契約ニ依リ有スル一切ノ権利利益ヲ確認尊重スベシ 二 日本国及満洲国ハ締約国ノ一方ノ領土及治安ニ対スル一切ノ脅威ハ同時ニ締約国ノ他方ノ安寧及存立ニ対スル脅威タルノ事実ヲ確認シ両国共同シテ国家ノ防衛ニ当ルベキコトヲ約ス之ガ為所要ノ日本国軍ハ満洲国内ニ駐屯スルモノトス 本議定書ハ署名ノ日ヨリ効力ヲ生ズベシ...

パリ不戦条約(戰爭抛棄ニ關スル條約) 1928年08月27日

内容見直し点:口語訳は他のサイトから入手、手直し要す パリ不戦条約(口語訳) 第一条 締約国は、国際紛争解決のため、戦争に訴えないこととし、かつ、その相互関係において、国家の政策の手段としての戦争を放棄することを、その各自の人民の名において厳粛に宣言する。  第二条 締約国は、相互間に起こる一切の紛争又は紛議は、その性質又は起因のがどのようなものであっても、平和的手段以外にその処理又は解決を求めないことを約束する。  第三条 本条約は、前文に掲げられた締約国により、各自の憲法上の用件に従って批准され、かつ、各国の批准書が全てワシントンおいてに寄託せられた後、直ちに締約国間に実施される。 2 本条約は、前項の定めにより実施されるときは、世界の他の一切の国の加入のため、必要な間開き置かれる。一国の加入を証明する各文書はワシントンに寄託され、本条約は、右の寄託の時より直ちに当該加入国と本条約の他の当事国との間に実施される。 3 アメリカ合衆国政府は、前文に掲げられた各国政府、及び実施後本条約に加入する各国政府に対し、本条約及び一切の批准書又は加入書の認証謄本を交付する義務を有する。アメリカ合衆国政府は、各批准書又は加入書が同国政府に寄託されたときは、直ちに右の諸国政府に電報によって通告する義務を有する。  Source:(http://www7.ocn.ne.jp/~tomoni/jouyaku.htm#parigendaigo) 戰爭抛棄ニ關スル條約(原文:一部新字体化) 獨逸國大統領、亞米利加合衆國大統領、白耳義國皇帝陛下、佛蘭西共和國大統領、「グレート、ブリテン」「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下、伊太利國皇帝陛下、日本國皇帝陛下、波蘭共和國大統領、「チェッコスロヴァキア」共和國大統領ハ 人類ノ福祉ヲ増進スベキ其ノ嚴肅ナル責務ヲ深ク感銘シ 其ノ人民間ニ現存スル平和及友好ノ關係ヲ永久ナラシメンガ爲國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ卒直ニ抛棄スベキ時機ノ到來セルコトヲ確信シ 其ノ相互關係ニ於ケル一切ノ變更ハ平和的手段ニ依リテノミ之ヲ求ムベク又平和的ニシテ秩序アル手續ノ結果タルベキコト及今後戰爭ニ訴ヘテ國家ノ利益ヲ増進セントスル署名國ハ本條約ノ供與スル利益ヲ拒否セラルベキモノナルコトヲ確信シ 其ノ範例ニ促サレ世界ノ他ノ...

第三次日英同盟(日英協約) 1911年07月13日

第三次日英同盟(口語訳) 日本及びイギリスは1905年8月12日の日英協約締結以来事態に重大な変遷があることに顧みて当該協約を改訂し、もってその変遷に適応せしむるは全局の静寧安固に資するべきことを信じ、前記協約に代わりこれと同じく (イ)東亜及びインドの地域における全局の平和を確保すること (ロ)清国の独立及び領土保全並びに清国における列国の商工業に対する機会均等主義を確実にし、もって清国における列国の共通利益を維持すること (ハ)東亜及びインドの地域における両締盟国の領土権を保持し、並びに当該地域における両締盟国の特殊利益を防護することを目的とする以下の条を約定する 第一条 日本又はイギリスにおいて本協約前文に記述された権利及び利益のなかいずれか危殆に迫るものがあると認められるときは、両国政府は相互に十分にかつ隔意なく通告し、その侵迫されている権利又は利益を擁護するために執るべき措置を協同に考量しなければならない。 第二条 両締盟国の一方が、挑発することなくして一国若しくは数国より攻撃を受けるにより、又は一国若しくは数国の侵略的行動により当該締盟国において本協約前文に記述されるその領土権又は特殊利益を防護せんがために交戦するに至るときは、前記の攻撃又は侵略的行動がいずれの地において発生するを問わず他の一方の締盟国は直ちに来たりてその同盟国に援助を与え、協同戦闘に当たり、講和もまた双方合意の上においてこれをなさなければならない。 第三条 両締盟国はいずれも他の一方と協議をえずして、他国と本協約前文に記述される目的を害すべき別約をしないことを約定する。 第四条 両締盟国の一方が第三国と総括的仲裁裁判条約を締結した場合には、本協約は当該仲裁裁判条約が有効に存続する限り、上第三国と交戦するの義務を前記締盟国に負わせることはない。 第五条 両締盟国の一方が、本協約中に規定する場合に際し、他の一方に兵力的援助を与えるべき条件及び当該援助の実行方法は両締盟国陸軍当局者において協定すべく、又当該当局者は相互利害の問題に関し、相互に充分にかつ隔意なく随時協議するものとする。 第六条 本協約は、調印の日より直ちに実施し、十年間効力を有する。各十年の終了に至る十二ヶ月前に両締盟国のいずれよりも本協約を廃棄する意思を通告しないときは、本協約は両締盟国の一方が廃棄の意思を表示したる当日より...

四カ国条約(太平洋方面ニ於ケル島嶼タル属地及島嶼タル領地ニ関スル四国条約) 1921年12月13日

太平洋方面に於ける島嶼たる属地及び島嶼たる領地に関する四国条約(口語訳) アメリカ、イギリス、フランス及び日本は、一般の平和を確保しかつ太平洋方面におけるその島嶼たる属地及び島嶼たる領地に関するその権利を維持する目的をもってこれがため条約を締結することを決し、左の如くその全權委員を任命する (人名略) 右各委員は互いにその全権委任状を示し、これが良好妥当であることを認めたのち、左のように協定した 第一条 締約国は、互いに太平洋方面におけるその島嶼である属地及び島嶼である領地に関するその権利を尊重すべきことを約する 締約国の何れかの間に太平洋問題に起因し、かつ前記の権利に関する争議を生じ外交手段によって満足な解決を得ることはできない。かつその間に幸いに現存する円満なる強調に影響を及ぼす虞れがある場合においては、右締約国は共同会議のため他の締約国を招請し、当該事件全部を考量調整の目的をもってその議に付さなければならない 第二条 前記の権利が、別国の侵略的行為により脅威を受ける場合においては、締約国は右特殊事態の急に対応するため、共同に又は各別に執るべき最も有効な措置に関し了解を達するために充分にかつ隔意なく互いに交渉することとする 第三条 本条約は実施の時より十年間効力を有し、かつ右期間満了後は十二ヶ月前の予告をもってこれを終了せしめる 各締約国の権利の留保のもとに引続きその効力を有する 第四条 本条約は締約国の憲法上の手続に従い、なるべく速やかに批准されるべく、かつワシントンにおいて行われるべき批准書寄託の時より実施されなければならない。1911年7月13日ロンドンにおいて締結されたイギリス及日本間ノ協約はこれと同時に終了するものとする。合衆國政府は批准書寄託の調書の認証謄本を各署名国に送付することとする 本条約はフランス語及びイギリス語をもって本文とし、合衆国政府の記録に寄託保存されるべく、その認証謄本は同政府これを各署名国に送付することとする 右証拠として前記各全権委員は本条約に署名する 1921年12月13日ワシントン市においてこれを作成する (署名略) 本日アメリカ、イギリス、フランス及日本間の条約署名するに当たり、各署名国の了解及び意向はようになることをここに声明する 一 本条約は太平洋における委任統治諸島にこれを適用する。ただし、本条約の締結はこれをもって...

立憲政体の詔 1875年04月14日

立憲政体の詔(口語訳) 私は即位の初めに群臣を集めて五箇条の誓文を神々に誓い、国是を定め万民保全の道を求めた。幸いに先祖の霊と群臣の力とに頼ることにより今日の落ち着きを得た。顧みるに中興の日は浅く、内政の事を振興したり引締めたりする者は少なくない。私は今、(五箇条の御)誓文の主意を拡充し、ここに元老院を設けて立法の源を広め、大審院を置いて審判権を堅牢にし、また地方官を召集することにより民情を通じて公益を図り、次第に国家立憲の政体を立て、皆とともにその喜びに頼ることを希望する。皆も、古きことに執心することなく又進むに軽くなす事を急ぐことなく、私の思うことを尊重して力添えして欲しい。 立憲政体の詔(原文:ひらがな、一部新字体化)  立憲政体の詔 朕即位の初首として群臣を会し五事を以て神明に誓ひ国是を定め万民保全の道を求む幸に祖宗の霊と群臣の力とに頼り以て今日の小康を得たり顧に中興日浅く内治の事更に振作更張すへき者少しとせす朕今誓文の意を拡充し茲に元老院を設け以て立法の源を広め大審院を置き以て審判の権を鞏くし又地方官を召集し以て民情を通し公益を図り漸次に国家立憲の政体を立て汝衆庶と倶に其慶に頼んと欲す汝衆庶或は旧に泥み故に慣るヽこと莫く又或は進むに軽く為すに急なること莫く其れ能く朕か旨を体して翼賛する所あれ  明治八年四月十四日

満蒙問題処理方針要綱 1932年03月12日

満蒙問題処理方針要綱(口語訳) 一、満蒙については、帝国の支援の下に当該地域を政治、経済、国防、交通、通信等諸般の関係において帝国存立の重要な要素である性能を顕現するようにすることを期する。 二、満蒙は支那本部政権より分離独立する一政権の統治支配地域となっている現状に鑑みて、逐次一国家として実質を具有するようにこれを誘導する。 三、現下における満蒙の治安維持は主に帝国が行う。将来における満蒙の治安維持及び満鉄以外の鉄道保護は主として新国家の警察または警察的軍隊をもって行う。この目的のため、これらの新国家における治安維持機関の建設及び刷新を図ることとし、特に邦人がこれらの(機関の)指導的地位となるようにする。 四、満蒙の地をもって帝国の対ロシア及び対支那の国防の第一線とし、外部からの撹乱はこれを許さない。これらの目的のため満州に駐在する帝国陸軍の兵力をこれに適応できるよう増軍し、又必要な海軍施設を作る必要がある。新国家における正規陸軍の存在は許さない。 五、満蒙における我が権益の回復及び拡充は新国家を相手として行う。 六、以上の点の実行に当たっては、国際法及び国際条約に抵触しないように努め、就中満蒙政権問題に関する措置は九カ国条約等の関係上、できる限り新国家側が自主的に行っているような形式にすることが望ましい。 七、満蒙に関する帝国の政策遂行のため、速やかに統制機関の設置が必要である。但し差し当たっては現状維持とする。 昭和七年三月十二日 閣議決定  満蒙問題処理方針要綱 一、満蒙ニ付テハ帝国ノ支援ノ下ニ該地ヲ政治、経済、国防、交通、通信等諸般ノ関係ニ於テ帝国存立ノ重要要素タルノ性能ヲ顕現スルモノタラシメムコトヲ期ス 二、満蒙ハ支那本部政権ヨリ分離独立セル一政権ノ統治支配地域トナレル現状ニ鑑ミ逐次一国家タルノ実質ヲ具有スル様之ヲ誘導ス 三、現下ニ於ケル満蒙ノ治安維持ハ主トシテ帝国之ニ任ス将来ニ於ケル満蒙ノ治安維持及満鉄以外ノ鉄道保護ハ主トシテ新国家ノ警察乃至警察的軍隊ヲシテ之ニ当ラシム右目的ノ為之等新国家側治安維持機関ノ建設刷新ヲ図ラシメ特ニ邦人ヲ之カ指導的骨幹タラシム 四、満蒙ノ地ヲ以テ帝国ノ対露対支国防ノ第一線トシ外部ヨリノ撹乱ハ之ヲ許サス右目的ノ為メ駐満帝国陸軍ノ兵力ヲ之ニ適応スル如ク増加シ又必要ナル海軍施設ヲナスヘシ新国家正規陸軍ハ之カ存在ヲ許サス 五、満蒙ニ...

国家総動員法 1938年04月01日

内容見直し点:口語訳中途 国家総動員法(口語訳 ただし、改正後のもの) 第一条 本法律において国家総動員とは、戦争時(戦争に準ずる事変も含む)に際して、国防目的の達成のため国の全力を最も有効に発揮できるよう人的、物的資源を統制し運用することをいう。 第二条 本法律において総動員物資とは次にあげるものをいう。  一 兵器、艦艇、弾薬その他の軍用物資  二 国家総動員上必要な被服、食糧、飲料及飼料  三 国家総動員上必要な医薬品、医療機械器具その他の衛生用物資及び家畜衛生用物資  四 国家総動員上必要な船舶、航空機、車両、馬その他の輸送用物資  五 国家総動員上必要な通信用物資  六 国家総動員上必要な土木建築用物資及び照明用物資  七 国家総動員上必要な燃料及び電力  八 前各号に掲げるものの生産、修理、配給又は保存に要する原料、材料、機械器具、装置その他の物資  九 前各号に掲げるものの他、勅令で指定する国家総動員上必要な物資 第三条 本法律において総動員業務とは次に掲げるものをいう。  一 総動員物資の生産、修理、配給、輸出、輸入又は保管に関する業務  二 国家総動員上必要な運輸又は通信に関する業務  三 国家総動員上必要な金融に関する業務  四 国家総動員上必要な衛生、家畜衛生又は救護に関する業務  五 国家総動員上必要な教育訓練に関する業務  六 国家総動員上必要な試験研究に関する業務  七 国家総動員上必要な情報又は啓発宣伝に関する業務  八 国家総動員上必要な警備に関する業務  九 前各号に掲げるものを除く他、勅令で指定する国家総動員上必要な業務 第四条 政府は戦争時には、国家総動員上必要な時は、勅令が定めることによって国民を徴用して、国家総動員業務に就かせることができる。ただし、兵役法とかち合うときは兵役法が優先する。 第五条 政府は戦時に際して国家総動員上必要と認めた時は、勅令の定めにより帝国臣民及び帝国法人その他の団体を、国・地方公共団体又は政府の指定する者の行う総動員業務に協力させることができる。 第六条 政府は、戦争時に国家総動員上必要な時は、勅令によって労働者を雇ったり、解雇したり、また、その者の賃金などの労働条件に対しては必要な命令を出すことができる。 第七条 政府は、戦争時に国家総動員上必要な時は、勅令によって労働争議の予防もしくは解決に対...

治安維持法 1925年04月21日

治安維持法(口語訳) 第一条 国体を変革し又は私有財産制度を否認することを目的として結社を組織し又は情を知りて之に加入したる者は十年以下の懲役又は禁錮に処す 2 前項の未遂罪は之を罰す 第二条 前条第一項の目的を以てその目的たる事項の実行に関し協議を為したる者は七年以下の懲役又は禁錮に処す 第三条 第一条第一項の目的を以てその目的たる事項の実行を扇動したる者は七年以下の懲役又は禁錮に処す 第四条 第一条第一項の目的を以て騒擾、暴行其の他生命、身体又は財産に害を加ふべき犯罪を扇動したる者は十年以下の懲役又は禁錮に処す 第五条 第一条第一項及び前三条の罪を犯さしむることを目的として金品其の他の財産上の利益を供与し又は其の申込み若しくは約束を為したる者は五年以下の懲役又は禁錮に処す 情を知りて供与を受け又は其の要求若しくは約束を為したる者また同じ 第六条 前五条の罪を犯したる者自首した時は其の刑を減軽又は免除す 第七条 本法は何人を問わず本法施行区域外に於いて罪を犯したる者にまたこれを適用す 附則 大正十二年勅令第四百三号(注:治安維持の為にする罰則に関する件)は之を廃止す 法律第四十六號(原文、一部新字体化)  治安維持法 第一條 國体ヲ變革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス 前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス 第二條 前條第一項ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ實行ニ關シ協議ヲ爲シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス 第三條 第一條第一項ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ實行ヲ煽動シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス 第四條 第一條第一項ノ目的ヲ以テ騒擾、暴行其ノ他生命、身體又ハ財産ニ害ヲ加フヘキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス 第五條 第一條第一項及前三條ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財産上ノ利益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ爲シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス情ヲ知リテ供與ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束ヲ爲シタル者亦同シ 第六條 前五條ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除ス 第七條 本法ハ何人ヲ問ハス本法施行區域外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ亦之ヲ適用ス  附 則 大正十二年勅令第四百三號ハ之ヲ廃止ス (国立公文書館:治安維持法・御署名原本・大正十四年・法律第四...

第三次日韓協約 1907年07月24日

内容見直し点:覚書は口語訳してない 日韓協約(口語訳) 日本国政府及び韓国政府は速やかに韓国の富強を図り、韓国民の幸福を増進させる目的をもって、以下の条款を約定する 第一条 韓国政府は、施政の改善に関して統監の指導を受けること 第二条 韓国政府の法令の制定及び重要な行政上の処分は予め統監の承認を経ること 第三条 韓国の司法事務は、普通行政事務とこれを区別すること 第四条 韓国高等官吏の任免は統監の同意を以ってこれを行うこと 第五条 韓国政府は、統監の推薦する日本人を韓国官吏に任命すること 第六条 韓国政府は、統監の同意なくして外国人を招聘しないこと 第七条 明治37年8月22日調印の日韓協約第一項(韓国政府は日本政府の推薦する日本人1名を財務顧問として韓国政府に招聘し、財務に関する事項は総てその意見をうかがい施行すべし)を廃止すること (以下省略) 日韓協約(原文)     日韓協約 日本國政府及韓國政府ハ速ニ韓國ノ富強ヲ圖リ韓國民ノ幸福ヲ増進セムトスルノ目的ヲ以テ左ノ條款ヲ約定セリ    第一條 韓國政府ハ施政改善ニ關シ統監ノ指導ヲ受クルコト    第二條 韓國政府ノ法令ノ制定及重要ナル行政上ノ處分ハ豫メ統監ノ承認ヲ經ルコト    第三條 韓國ノ司法事務ハ普通行政事務ト之ヲ區別スルコト    第四條 韓國高等官吏ノ任免ハ統監ノ同意ヲ以テ之ヲ行フコト    第五條 韓國政府ハ統監ノ推薦スル日本人ヲ韓國官吏ニ任命スルコト    第六條 韓國政府ハ統監ノ同意ナクシテ外國人ヲ傭聘セサルコト    第七條 明治三十七年八月二十二日調印日韓協約第一項ハ之ヲ廢止スルコト 右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ相當ノ委任ヲ受ケ本協約ニ記名調印スルモノナリ  明治四十年七月二十四日         統監侯爵 伊藤博文 (印)  光武十一年七月二十四日         内閣總理大臣勲二等李完用(印)     覺書 明治四十年七月二十四日調印日韓協約ノ趣旨ニ基キ漸次左ノ各項ヲ實施スルコト 第一 日韓両國人ヲ以テ組織スル左記ノ裁判所ヲ新設ス   一 大審院   一箇所      位置ハ京城又ハ水原トス      院長及檢事總長ハ日本人トス      判事ノ内二名書記ノ内五名ヲ日本人トス    二 控訴院   三箇所      位置ハ中央部ニ一箇所南北部ニ各〻一箇所トス      院長及檢事長ハ...

満洲善後条約(日淸間滿洲ニ關スル條約) 1905年12月22日

内容見直し点:附属協約は口語訳してない 満洲善後条約(口語訳) 大日本国皇帝陛下及び大清国皇帝陛下は、ひとしく明治三十八年九月五日(光緒三十一年八月七日)に調印された日露両国講和条約より生じる共同関係の事項を協定することを欲し、右の目的をもって条約を締結することに決定し、このために大日本國皇帝陛下は特派全権大使外務大臣小村壽太郎及び特命全権公使内田康哉を、大清国皇帝陛下は欽差全権大臣慶親王、欽差全権大臣瞿鴻(示+幾)、及び欽差全権大臣袁世凱をそれぞれその全権委員に任命し、よって各全権委員は互いにその全権委任状を示し、それらが良好妥当であることを認めて左の条項を協議決定した。 第一条 清国政府は、ロシアが日露講和条約第五条及び第六条により日本国に対してなされた一切の讓渡を承諾する。 第二条 日本国政府は、清露両国間に締結された租借地並びに鉄道敷設に関する原条約に照らし、努めて遵行すべきことを承諾する。将来何等かの案件が生じた場合には、随時清国政府と協議のうえこれを定めるものとする。 第三条 本条約は、調印の日より効力を生ずべく、かつ大日本国皇帝陛下及び大清国皇帝陛下においてこれを批准されなければならない。当該該批准書は本条約調印の日より二ヶ月以内になるべく速やかに北京においてこれを交換しなければならない。 右証拠として、両国全権委員は日本文及び漢文をもって作成された各二通の本条約に署名調印するものである。 (以下省略) 日淸間滿洲ニ關スル條約(原文) 大日本國皇帝陛下及大清國皇帝陛下ハ均シク明治三十八年九月五日即光緒三十一年八月七日調印セラレタル日露兩國講和條約ヨリ生スル共同關係ノ事項ヲ協定セムコトヲ欲シ右ノ目的ヲ以テ條約ヲ締結スルコトニ決シ之カ爲メニ大日本國皇帝陛下ハ特派全權大使外務大臣從三位勳一等男爵小村壽太郎及特命全權公使從四位勳二等内田康哉ヲ大清國皇帝陛下ハ欽差全權大臣軍機大臣總理外務部事務和碩慶親王欽差全權大臣軍機大臣外務部尚書會辧大臣瞿鴻禨及欽差全權大臣北洋大臣太子少保直隷總督袁世凱ヲ各其ノ全權委員ニ任命セリ因テ各全權委員ハ互ニ其ノ全權委任状ヲ示シ其ノ良好妥當ナルヲ認メ以テ左ノ條項ヲ協議決定セリ    第一條 清國政府ハ露國カ日露講和條約第五條及第六條ニヨリ日本國ニ對シテ爲シタル一切ノ讓渡ヲ承諾ス    第二條 日本國政府ハ清露兩國間ニ締結セラレタル租借地...

第二次日韓協約 1905年11月17日

日韓協約(口語訳) 第一条 日本国政府は今後外務省により韓国の外交を監理指揮するため、日本の外交代表者と領事は外国にいる韓国人とその利益を保護しなくてはならない。  第二条 日本国政府は韓国が他国と結んでいる条約を実行する立場となるため、韓国は今後日本の仲介無しに他国と条約や約束を交わしてはならない。  第三条 日本国政府は代表者として韓国皇帝の下に統監を置く。統監は外交を管理するために京城に駐在し韓国皇帝と親しく内謁することができる。また日本は韓国の開港場などに理事官を置くことができる。理事官は統監の指揮の下で、従来韓国にある日本領事が持っていた職権の全てを執行し、また本協約を完全に実行するための一切の事務を担当しなくてはならない。  第四条 日本と韓国との間にある条約や約束は本協約に抵触しないかぎり効力を継続する。  第五条 日本国政府は韓国皇室の安寧と尊厳の維持を保証する。  (以下、省略) 日韓協約(原文) 日本國政府及韓國政府ハ兩帝國ヲ結合スル利害共通ノ主義ヲ鞏固ナラシメムコトヲ欲シ韓國ノ富強ノ實ヲ認ムル時ニ至ル迄此目的ヲ以テ左ノ條款ヲ約定セリ 第一條 日本國政府ハ在東京外務省ニ由リ今後韓國ノ外國ニ對スル關係及事務ヲ監理指揮スヘク日本國ノ外交代表者及領事ハ外國ニ於ケル韓國ノ臣民及利益ヲ保護スヘシ 第二條 日本國政府ハ韓國ト他國トノ間ニ現存スル條約ノ實行ヲ全フスルノ任ニ當リ韓國政府ハ今後日本國政府ノ仲介ニ由ラスシテ國際的性質ヲ有スル何等ノ條約若ハ約束ヲナササルコトヲ約ス 第三條 日本國政府ハ其ノ代表者トシテ韓國皇帝陛下ノ闕下ニ一名ノ統監(レジデント、ゼネラル)ヲ置ク統監ハ專ラ外交ニ關スル事項ヲ管理スル爲京城ニ駐在シ親シク韓國皇帝陛下ニ内謁スルノ權利ヲ有ス日本國政府ハ又韓國ノ各開港場及其ノ他日本國政府ノ必要ト認ムル地ニ理事官(レジデント)ヲ置クノ權利ヲ有ス理事官ハ統監ノ指揮ノ下ニ從來在韓國日本領事ニ屬シタル一切ノ職權ヲ執行シ竝本協約ノ條款ヲ完全ニ實行スル爲必要トスヘキ一切ノ事務ヲ掌理スヘシ 第四條 日本國ト韓國トノ間ニ現存スル條約及約束ハ本協約ノ條款ニ牴觸セサル限總テ其効力ヲ繼續スルモノトス 第五條 日本國政府ハ韓國皇室ノ安寧ト尊嚴ヲ維持スルコトヲ保證ス 右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ相當ノ委任ヲ受ケ本協約ニ記...

ポーツマス条約(日露講和条約) 1905年09月05日

内容見直し点:追加約款は口語訳してない ポーツマス条約(口語訳) 第一条 日本国皇帝陛下と全ロシア国皇帝陛下との間及び両国並びに両国臣民の間に将来平和及び親睦あるべし。 第二条 ロシア帝国政府は、日本国が韓国において政事上、軍事上及び経済上の卓絶なる利益を有することを承認し、日本帝国政府が韓国において必要と認める指導、保護及び監理の措置をとるにあたりこれを阻害し、またはこれに干渉しないことを約する。 両締約国は一切誤解の原因を避ける為、ロシアと韓国との国境においてロシア又は韓国の領土の安全を侵害するような何ら軍事上の措置を執らないことに同意する。 第三条 日本国及びロシア国は互いに以下の事を約する。 一 本条約に付属する追加約款第一の規定に従い、遼東半島租借権がその効力を及ぼす地域以外の満洲より全面的かつ同時に撤兵すること 二 前記地域を除くほか、現に日本国又はロシア国の軍隊において占領し又はその監理下にある満洲全部を挙げて、全面的に清国専属の行政に還付すること ロシア帝国政府は、清国の主権を侵害し又は機会均等主義と相容れない何らの領土上の利益又は優先的若しくは専属的譲与を満洲において有しないことを声明する。 第四条 日本国及びロシア国は、清国が満洲の商工業を発達せしむるがため列国に共通する一般の措置を執るによりこれを阻害せざることを互いに約する。 第五条 ロシア帝国政府は清国政府の承諾をもって、旅順口、大連並びにその付近の領土及び領水の租借権及び当該租借権に関連し又はその一部を組成する一切の権利、特権及び譲与を日本帝国政府に移転譲渡する。ロシア帝国政府はまた前記租借権力がその効力を及ぼす地域における一切の公共営造物及び財産を日本帝国政府に移転譲渡する。 両締約国は前記規定に係る清国政府の承諾を得べきことを互いに約する。 日本帝国政府においては、前記地域におけるロシア国臣民の財産権が完全に尊重されるべきことを約する。 第六条 ロシア帝国政府は長春(寛城子)旅順口間の鉄道及びその一切の支線並びに同地方においてこれに付属する一切の権利、特権及び財産及び同地方において当該鉄道に属し又はその利益のために経営されている一切の炭坑を補償を受けることなくかつ清国政府の承諾をもって日本帝国政府に移転譲渡すべきことを約する。 両締約国は前記規定に係る清国政府の承諾を得べきことを互いに...

第二次日英同盟(日英協約) 1905年08月12日

日英協約(口語訳) 日本及びイギリスは1902年1月30日両国政府間にて締結された協約に代わり新協約を結ぶことを希望し、 (イ)東亜及びインドの地域における全局の平和を確保すること (ロ)清国の独立及び領土保全並びに清国における列国の商工業に対する機会均等主義を確実にし、もって清国における列国の共通利益を維持すること (ハ)東亜及びインドの地域における両締盟国の領土権を保持し、並びに当該地域における両締盟国の特殊利益を防護すること を目的とする以下の条を約定する。 第一条 日本又はイギリスにおいて、本協約前文に記述された権利及び利益の中のいずれか危殆に迫るものがあると認められるときは、両国政府は相互に十分にかつ隔意なく通告し、その侵迫されている権利又は利益を擁護するために執るべき措置を協同に考量しなければならない。 第二条 両締盟国の一方が、挑発することなくして一国若しくは数国より攻撃を受けるにより、又は一国若しくは数国の侵略的行動により当該締盟国において本協約前文に記述されるその領土権又は特殊利益を防護のために交戦するに至るときは、前記の攻撃又は侵略的行動がいずれの地において発生するを問わず他の一方の締盟国は直ちに来たりてその同盟国に援助を与え、協同戦闘に当たり、講和もまた双方合意の上においてこれをなさなければならない。 第三条 日本は韓国において政治上・軍事上・経済上の卓絶なる利益を有するをもってイギリスは日本国が当該利益を擁護増資するがため、正当かつ必要と認める指導・監理及び保護の措置を韓国において執る権利を承認する。但し、当該措置は常に列国の商工業に対する機会均等主義に反しないことを要する。 第四条 イギリスはインド国境の安全に繋がる一切の事項に関し、特殊利益を有するをもって日本は前記国境の付近においてイギリスがそのインド領地を擁護するため、必要と認める措置を執る権利を承認する。 第五条 両締盟国はいずれも他の一方と協議をえずして、他国と本協約前文に記述される目的を害すべき別約をしないことを約定する。 第六条 現時の日露戦争に対しては、イギリスは引き続き厳正中立を維持し、もし他の一国若しくは数国が日本に対し交戦に加わるときは、イギリスは来たりて日本に援助を与え協同戦闘に当たり、講和もまた双方同意の上においてこれをなさなければならない。 第七条 両締盟国の一方...

第一次日英同盟(日英協約) 1902年01月30日

日英協約(口語訳) 日本及びグレートブリテン王国政府はひとえに極東において現状及び全局の平和を維持することを希望し、かつ清国及び韓国の独立と領土保全とを維持すること及び当該二国において各国の商工業をして均等の機会を得せしめることに関し、特に利益関係を有するを以てここに以下のように合意する。 第一条 両締約国は、相互に清国及び韓国の独立を承認することを以て二国いずれにおいても侵略的趨向に制せられることがないことを声明する。しかしながら、両締約国の特別なる利益に鑑み、即ちその利益であるイギリスにとっては主として清国に関して、又日本にとってはその清国において有する利益に加え、韓国において政治上・商業上・工業上格段に利益を有することをもって、両締約国はもしこれらの利益にして列国の侵略的行動により、もしくは清国又は韓国において両締約国いずれかその臣民の生命及び財産を保護するため干渉を要すべき騒動の発生によって侵略が迫られた場合には両締約国はいずれも当該利益を擁護するため必要な措置を執ることができることを承認する。 第二条 もし日本又はイギリスの一方が、上記各自の利益を防護する上において列国と戦端を開くに至ったときは他の一方の締約国は厳正に中立を守り、併せてその同盟国に対して他国が交戦に加わるを妨げることに努めなければならない。 第三条 上記の場合において、もし他の一国又は数国が当該同盟国に対して交戦に加わる時は、他の締約国は来たりて援助を与え、協同戦闘に当たらなければならない。講話もまた当該同盟国と相互合意の上においてこれを為さなければならない。 第四条 両締約国いずれも他の一方と協議をしないで他国と上記の利益を害する別約をしないことを約定する。 第五条 日本もしくはイギリスにおいて、上記の利益が危機に迫ったと認められる時は両国政府は相互に十分にかつ隔意なく通告しなければならない。 第六条 本協約は、調印の日より直ちに実施し、当該期日より五年間効力を有するものとする。もし五年終了の十二ヶ月前に締約国のいずれよりも本協約を廃止する意思を通告されない時は、本協約は締結国の一方が廃棄の意思を表示した当日より一年の終了に至るまでは引き続き効力を有するものとする。しかしながら以上の終了期日に至り一方が現に交戦中である時は本同盟は講話結了に至るまで当然継続するものとする。 右証拠として、...

九カ国条約(支那ニ關スル九國條約) 1922年02月06日

九カ国条約(口語訳、一部省略) 第一条 支那国以外の締約国は、左の通り約定する。 (1)支那の主権、独立並びに領土的及び行政的保全を尊重すること (2)支那が自ら有力かつ安固なる政府を確立維持するため、最も完全にしてかつ最も障害なき機会をこれに供与すること (3)支那の領土を通して、一切の国民の商業及び工業に対する機会均等主義を有効に樹立維持するため、各々尽力すること (4)友好国の臣民又は人民の権利を減殺すべき特別の権利又は特権を求めるため、支那に於ける情勢を利用すること及び右友好国の安寧に害のある行動を是認することを差控えること 第二条 締約国は、第一条に記載する原則に違反し、又はこれを害するようないかなる条約、協定、取極め又は了解を相互の間に、又は各別にあるいは協同して他の一国又は数ヵ国との間に締結しないことを約定する 第三条 一切の国民の商業及び工業に対し、支那に於ける門戸開放、または機会均等の主義を一層有効に適用する目的をもって支那国以外の締約国は左を要求させるような、又は各自国民の左を要求することを支持させないことを約定する (イ)支那のいずれかの特定地域において、商業上又は経済上の発展に関し自己利益のため一般的優越権利を設定するに至ること (ロ)支那において適法な商業若しくは工業を営む権利、又は公共企業をその種類の如何を問わず支那国政府若しくは地方官憲と共同経営する権利を他国の国民より奪うような独占権又は優先権或いはその範囲、期間又は地理的限界の関係上機会均等主義の実際上適用を無効にするものと認められるような独占権又は優先権 本条の前記規定は特定の商業上、工業上若しくは金融業上の企業の経営、又は発明及び研究の奨励に必要な財産又は権利の取得を禁ずるものと解釈しないものとする  支那国は本条約の当事国であるか否かを問わず、一切の外国の政府及び国民より経済上の権利及び特権に関する出願を処理するについて、本条の前記規定に記載する主義に遵由しないことを約する 第四条 締約国は各自国民相互間の協定にして支那領土の特定地方において勢力範囲を創設しようとし、又は相互間に独占的機会を享有することを定めるとするものを支持しないことを約定する 第五条 支那国は支那における全鉄道を通じて、如何なる種類の不公平なる差別をも行い、又はこれを許容しないことを約定する。殊に旅客の国籍...

日韓議定書 1904年02月23日 

日韓議定書(口語訳、署名省略) 第一条 日韓両帝国間に恒久不易の親交を保持し、東洋の平和を確立するため、大韓帝国政府は大日本帝国政府を確信し、施設の改善に関しその忠告を受け入れる事 第二条 大日本帝国政府は大韓帝国の皇室を確実なる親誼をもって安全康寧ならしめる事 第三条 大日本帝国政府は大韓帝国の独立及び領土保全を確実に保証する事 第四条 第三国の侵害により、若しくは内乱のため大韓帝国の皇室の安寧あるいは領土の保全に危険がある場合は、大日本帝国政府は速やかに臨機必要な措置をとる。そして、大韓帝国政府は前述の大日本帝国政府の行動を容易にするため、充分便宜を与える事 大日本帝国政府は、前項の目的を達するため、軍略上必要な地点を臨機収用することを得る事 第五条 両国政府は、相互の承認を経ずして今後本協約の主意に違反する協約を第三国との間に締結することを行わない事 第六条 本協約に関連する未定の細かい点については、大日本帝国代表者と大韓帝国外部大臣との間で臨機協定する事 日韓議定書(原文)  議定書  大日本帝國皇帝陛下ノ特命全權公使及大韓帝國皇帝陛下ノ外部大臣臨時署理陸軍參將李址鎔ハ各相當ノ委任ヲ受ケ左ノ條款ヲ協定ス 第一條 日韓兩帝國間ニ恒久不易ノ親交ヲ保持シ東洋ノ平和ヲ確立スルタメ大韓帝國政府ハ大日本帝國政府ヲ確信シ施設ノ改善ニ關シ其忠告ヲ容ルルヿ  第二條 大日本帝國政府ハ大韓帝國ノ皇室ヲ確實ナル親誼ヲ以テ安全康寧ナラシムルコト 第三條 大日本帝國政府ハ大韓帝國ノ獨立及領土保全ヲ確實ニ保證スルコト 第四條 第三國ノ侵害ニヨリ若クハ内亂ノタメ大韓帝國ノ皇室ノ安寧或ハ領土ノ保全ニ危険アル場合ハ大日本帝國政府ハ速ニ臨機必要ノ措置ヲ取ル可シ而シテ大韓帝國政府ハ右大日本帝國政府ノ行動ヲ容易ナラシムルタメ十分便宜ヲ與フルコト  大日本帝國政府ハ前項ノ目的ヲ達スルタメ軍略上必要ノ地點ヲ臨機收用スルコトヲ得ルコト 第五條 兩國政府ハ相互ノ承認ヲ經スシテ後來本協約ノ主意ニ違反スヘキ協約ヲ第三國トノ間ニ訂立スル事ヲ得サルコト 第六條 本協約ニ關聯スル未悉ノ細條ハ大日本帝國代表者ト大韓帝國外部大臣トノ間ニ臨機協定スルコト  明治三十七年二月二十三日  特命全權公使 林權助 印 光武八年二月二十三日 外部大臣臨時署理陸軍參將 李址鎔 印 (日本公文書館:枢密院文...