日韓協約(口語訳)
第一条 日本国政府は今後外務省により韓国の外交を監理指揮するため、日本の外交代表者と領事は外国にいる韓国人とその利益を保護しなくてはならない。
第二条 日本国政府は韓国が他国と結んでいる条約を実行する立場となるため、韓国は今後日本の仲介無しに他国と条約や約束を交わしてはならない。
第三条 日本国政府は代表者として韓国皇帝の下に統監を置く。統監は外交を管理するために京城に駐在し韓国皇帝と親しく内謁することができる。また日本は韓国の開港場などに理事官を置くことができる。理事官は統監の指揮の下で、従来韓国にある日本領事が持っていた職権の全てを執行し、また本協約を完全に実行するための一切の事務を担当しなくてはならない。
第四条 日本と韓国との間にある条約や約束は本協約に抵触しないかぎり効力を継続する。
第五条 日本国政府は韓国皇室の安寧と尊厳の維持を保証する。
(以下、省略)
日韓協約(原文)
日本國政府及韓國政府ハ兩帝國ヲ結合スル利害共通ノ主義ヲ鞏固ナラシメムコトヲ欲シ韓國ノ富強ノ實ヲ認ムル時ニ至ル迄此目的ヲ以テ左ノ條款ヲ約定セリ
第一條 日本國政府ハ在東京外務省ニ由リ今後韓國ノ外國ニ對スル關係及事務ヲ監理指揮スヘク日本國ノ外交代表者及領事ハ外國ニ於ケル韓國ノ臣民及利益ヲ保護スヘシ
第二條 日本國政府ハ韓國ト他國トノ間ニ現存スル條約ノ實行ヲ全フスルノ任ニ當リ韓國政府ハ今後日本國政府ノ仲介ニ由ラスシテ國際的性質ヲ有スル何等ノ條約若ハ約束ヲナササルコトヲ約ス
第三條 日本國政府ハ其ノ代表者トシテ韓國皇帝陛下ノ闕下ニ一名ノ統監(レジデント、ゼネラル)ヲ置ク統監ハ專ラ外交ニ關スル事項ヲ管理スル爲京城ニ駐在シ親シク韓國皇帝陛下ニ内謁スルノ權利ヲ有ス日本國政府ハ又韓國ノ各開港場及其ノ他日本國政府ノ必要ト認ムル地ニ理事官(レジデント)ヲ置クノ權利ヲ有ス理事官ハ統監ノ指揮ノ下ニ從來在韓國日本領事ニ屬シタル一切ノ職權ヲ執行シ竝本協約ノ條款ヲ完全ニ實行スル爲必要トスヘキ一切ノ事務ヲ掌理スヘシ
第四條 日本國ト韓國トノ間ニ現存スル條約及約束ハ本協約ノ條款ニ牴觸セサル限總テ其効力ヲ繼續スルモノトス
第五條 日本國政府ハ韓國皇室ノ安寧ト尊嚴ヲ維持スルコトヲ保證ス
右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ相當ノ委任ヲ受ケ本協約ニ記名調印スルモノナリ
明治三十八年十一月十七日 特命全權公使 林 權助(印)
光武九年十一月十七日 外部大臣 朴齊純(印)
(国立公文書館:日韓協約)
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