青少年雇入制限令(ひらがな、一部新字体化、不明文字あり)
勅令第三十六号
靑少年雇入制限令
第一条 青少年の国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号に於て依る場合を含む以下同じ)第六条の規定に基く雇入制限は別段の規定ある場合を除くの外本令の定むる所に依る
第二条 本令に於て青少年と称するは年齢十二年以上三十年未満の男子又は年齢十二年以上二十年未満の女子にして左の各号の一に該当せざるものを謂う
一 大学、大学予科、高等師範学校、高等学校高等科、専門学校、実業専門学校、師範学校又は厚生大臣の指定する学校(養成所を含む)を卒業又は終了したる者
二 学校卒業者使用制限令第一条の卒業者にして前号に該当せざるもの
三 厚生大臣の指定する検定若は試験に合格したる者又は厚生大臣の指定する免許を受けたる者
四 其の他厚生大臣の指定する者
第三条 男子たる青少年(以下男子青少年と称す)は左の各号の一に該当する場合を除くの外之を雇入るることを得ず
一 男子青少年の雇用員数が命令を以て定むる員数に満たざる場合に於て其の員数に満つる迄之を雇入るる場合
二 厚生大臣の指定する事業を営む者其の事業に使用すべき男子青少年の雇入に付命令の定むる所に依り地方長官の認可を受けたる場合
三 男子青少年を雇傭し得べき総員数に付命令の定むる所に依り職業紹介所長の認可を受けたる場合に於て其の員数に満つる迄之を雇入るる場合
四 入営(応召の場合を含む以下同じ)を命ぜられたる青少年を解雇したる場合又は雇用する青少年の入営中雇用期間の満了したる場合に於て其の青少年が退営(入営の際行ふ身体検査の結果帰郷を命ぜられたる場合を含む)したる日より三月以内に再び之を雇入るる場合
五 其の他命令を以て定むる場合
第四条 女子たる青少年(以下女子青少年と称す)は左の各号の一に該当する場合を除くの外厚生大臣の指定する業務(以下指定業務と称す)に使用する為之を雇入るることを得ず
一 指定業務に使用する女子青少年の雇傭員数が命令を以て定むる員数に満たざる場合に於て其の員数に満つる迄之を雇入るる場合
二 指定業務に使用する女子青少年の雇傭し得べき総員数に付命令の定むる所に依り職業紹介所長の認可を受けたる場合に於て其の員数に満つる迄之を雇入るる場合
三 其の他命令を以て定むる場合
第五条 地方長官第三条第二号の認可の申請に付不正又は虚偽の事実ありと認むるときは認可を取消すことを得
職業紹介所長第三条第三号又は前条第二号の認可の申請に付不正又は虚偽の事実ありと認むるときは認可したる員数を減少し又は認可を取消すことを得
第六条 厚生大臣又は地方長官は青少年の雇入に関し監督上必要なる命令を為すことを得
第七条 厚生大臣、地方長官又は職業紹介所長は命令の定むる所に依り青少年の雇入に関し国家総動員法第三十一条の規定に基く報告を徴することを得
第八条 地方長官又は職業紹介所長必要と認むるときは青少年の雇入に関し国家総動員法第三十一条の規定に基き当該官吏をして青少年を雇入れたる者又は雇入れんとする者の工場、事業場、事務所、店舗其の他の場所に臨検し業務の状況又は帳簿書類を検査せしむることを得
前項の規定に依り当該官吏をして臨検検査せしむる場合に於ては其の身分を示す証票を携帯せしむべし
第九条 年齢十二年未満の者を雇入れ引続き其の者を雇傭する場合に於ては本令の適用に付ては其の者が年齢十二年に達する時に於て新に雇入るるものと看做す但し此の場合に於て命令の定むる所に依り新なる雇入に関し本令又は本令に基きて発する命令に依る認可の申請ありたるときは其の申請に対する認可又は不認可の処分ある時に新に雇入るるものと看做す
第十条 本令は左の各号の一に該当する事業(命令を以て定むるものを除く)に使用する為又は船員として使用する為青少年を雇入るる場合には之を適用せず
一 土地の耕作若は開墾又は植物の栽植、栽培、採取若は伐採の事業其の他の農業又は林業
二 動物の飼育又は水産動植物の採捕若は養殖の事業其の他の畜産業、養■業又は水産業
第十一条 本令は国、道府県並に市町村及之に準ずべきもの其の他命令を以て定むるものの青少年の雇入には之を適用せず
第十二条 本令は朝鮮、台湾、樺太及南洋群島に於ける女子青少年の雇入には之を適用せず
第十三条 本令中厚生大臣とあるは朝鮮に在りては朝鮮総督、台湾に在りては台湾総督、樺太に在りては樺太庁長官、南洋群島に在りては南洋庁長官とし地方長官とあるは朝鮮に在りては道知事、台湾に在りては州知事又は庁長、樺太に在りては樺太庁長官、南洋群島に在りては南洋庁長官とし職業紹介所長とあるは朝鮮に在りては府尹、群守又は島司、台湾に在りては市尹又は軍守(澎湖庁に在りては庁長)、樺太に在りては樺太庁支庁長、南洋群島に在りては南洋庁支庁長とし道府県とあるは朝鮮に在りては道、台湾に在りては州又は■、南洋群島に在りては南洋群島地方■とす
附 則
本令は昭和十五年三月一日より之を施行す但し朝鮮、台湾、樺太及南洋群島に在りては昭和十五年九月一日より之を施行す
本令施行の際現に第三条第二号の事業を営む者は本令施行後六十日間限り同条同号の認可を受けたるものと看做す
第九条の規定は本令施行前年齢十二年未満の者を雇入れ引続き其の者を雇傭する場合に於ては之を適用せず
(国立公文書館:青少年雇入制限令・御署名原本・昭和十五年・勅令第三六号)
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