出版条例(ひらがな化、一部新字体化)
書籍出版もの是迄議政官に於て改方相成候処今度学校に於て出版取調所被設候間向後書籍出版致度者は昌平開成両学校之内へ願出官許を可受候依而出版条例書相達候間堅可相守事
但従来蔵版之図書題号及著述者姓名官許年月等行政官へ可届出旨相達置候処未た届出さる向は東京は来る六月遠国は十月迄之内両学校へ可差出事
(別紙)
出版条例及出版願書雛形
出版条例
一出版の書は必す著述者出版人売弘所の姓名住所等を記載す可し(縦令一枚摺の品と雖も亦然り)此法を犯す者は罰金を出す可し
一妄に教法を説き人罪を誣告し政務の機密を洩し或は誹謗し及ひ淫蕩を導くことを記載する者軽重に随て罪を科す
一図書を出版する者は官より之を保護して専売の利を収めしむ
保護の年限は率子著述者の生涯中に限ると雖も其親属之を保続せんと欲する者は聴す
一図書を出版するに先たちて書名著述者出版人の姓名住所書中の大意等を具へ学校へ出し学校にて検印を押して彼に付す此れ即ち免許状なり此免許の月日を併せ刻すへし
一出版を願ふ者は書面中幾月後刻成を待て其書を納む可きことを記し若し刻成されは別に期を延ふるを請ふ
一刻成るの後五部を学校に納むへし
此れ各所の書庫に頒つ為めなり
一官に告けすして書を出版する者並に之を売弘むる者あれは版木及ひ製本を没入す
但し之を売て得る所の金も亦官に入る
一官許を受けすして偽て官許の名を冒す者は罰金を出さしむ
但し未た発兌せさる者と雖も亦然り
一重版の図書は版木製本尽く官に没入し且つ罰金を出さしむ(之を売弘むるもの亦同し)罰金の多少は著述者出版人の損害の多少に準す
但し罰金は即ち著述出版の本人へ附与する償金とす
一凡そ新たに舶来の図書を翻刻する者は亦専売の利を収めしむ旧版漫滅するを見て再刻を願ふ者は磨滅の度に従て聴す
一凡そ著述及翻刻の図書双方よりして願ひ出るに於ては譲り渡しを得て出版自在なる可し
一翻訳練兵書類は専ら新式を崇ふを以て歳月の限ある可からす且つ大図を縮小し小図を拓大にし或は旧本に評注を加ふる等の如き臨時に議して本人に害なき者は聴す
一凡そ活字にて出版する者亦此例に同し
一凡そ図書肖像戯作等も亦之に準す
出版願書雛形今一例を挙く
二通差出し一通は検印を押して願人に与ふ
覚
(以下、出版願書雛形 省略)
(明治二年法令全書P174~)
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