出版条例(ひらがな化、一部新字体化)
○無号(正月十三日)
出版条例改正出来に付相■候間各一冊つヽ引留早々順達可有之且管下無洩布達可有之候也
出版条例
第一条
一出版の書は必す著述者並に出版人の姓名住所等を記載す可し
但一枚摺の品と雖も亦然り
第二条
一妄に成法を誹議し人罪を誣告する事を著するを許さす
第三条
一図書を出版する者は官より之を保護して専売の利を得せしむ
但し図書専売の規則は追て一般の税法確定の時に至て再令すへし
第四条
一図書を出版するに先つ其書名著述出版人の氏名住所書中の大意等を具へ文部省へ出し文部省にて検印し彼に付す此れ即ち免許状なり此免許の干支月日を併せ刻す可し
第五条
一出版を願ふ者は書面中幾月後刻成を待て其書を納む可きことを記し若し刻成されは別に期を延ふるを請ふへし
第六条
一刻成るの後三部を文部省に納むへし
第七条
一官に告けすして書を出版する者並に之を売弘むる者あれは板木及製本を没入し罰金を出さしむ可し
第八条
一官許を受けすして偽て官許の名を冒す者は罰金を出さしむ
但し未た発兌せさる者と雖も亦然り
第九条
一他人蔵版の図書を私に翻刻する者は版木尽く官に没入し其事情に據て罰を議すへし
第十条
一凡そ新たに舶来の図書を翻刻する者は亦専売の利を得せしむ旧版漫滅するを見て再刻を願ふ者は磨滅の度に従て聴す
第十一条
一凡そ著述及ひ翻刻の図書双方よりして願ひ出るに於ては譲り渡しを得て出版自在なる可し
第十二条
一翻訳練兵書類は専ら新式を崇ふを以て歳月の限ある可からす且つ大図を縮小し小図拓大にし或は旧本に評註を加ふる等の如き臨時に議して本人に害なき者は聴す
第十三条
一凡そ活字にて出版するも亦此条例に同し新聞紙図書肖像戯作等も亦之に准す
第十四条
一地球上各国の其名を指さされは外国と称し其名を指は英国仏国■国魯国米国と称ふへし餘は是に倣へ
出版願書雛形今一例を挙く二通差出し一通は検印して願人に与ふ
覚
(以下省略)
(明治五年法令全書P1169~)
コメント
コメントを投稿