南満洲鉄道株式会社に関する件(ひらがな化、一部新字体化)
勅令第百四十二号
第一条 政府は南満州鉄道株式会社を設立せしめ満洲地方に於て鉄道運輸業を営ましむ
第二条 会社の会社は総て記名と為し日清両国政府及日清両国人に限り之を所有することを得
第三条 日本政府は満洲に於ける鉄道其の附属財産及炭坑を以て其の出資に充つることを得
第四条 会社は新に募集する株式総額を数回に分つて募集することを得但し第一回募集額は総額の五分の一を下ることを得す
第五条 株金の第一回の払込金額は株金の十分の一迄下ることを得
第六条 会社は本社を東京市に支社を大連に置く
第七条 会社に総裁一人副総裁一人理事四人以上監事三人乃至五人を置く
第八条 総裁は会社を代表し其の業務を総理す
副総裁は総裁事故あるとき其の職務を代理し総裁欠員のとき其の職務を行ふ
副総裁及理事は総裁を補助し会社の業務を分掌す
監事は会社の業務を監査す
第九条 総裁副総裁は勅裁を経て政府之を命し其の任期は五箇年とす
理事は五十株以上を有する株主中より政府之を命し其の任期は四箇年とす
監事は株主中より株主総会に於て之を選任し其の任期は三箇年とす
第十条 総裁副総裁及理事の報酬及手当の額は政府之を定む
第十一条 総裁副総裁及理事は在任中何等の名称に拘らす他の職務又は商業に従事することを得す但し政府の認可を得たるときは此の限に在らす
第十二条 政府は南満洲鉄道株式会社監理官を置き会社の業務を監視せしむ
監理官は何時にても事業の施設を監査し会社の金庫帳簿及諸般の文書物件を検査することを得
監理官は必要と認むるときは何時にても会社に命して営業上諸般の計算及景況を報告せしむることを得
監理官は株主総会其の他諸般の会議に出席して意見を陳述することを得但し議決の数に加はることを得す
第十三条 政府は会社の事業に関し監督上必要なる命令を発することを得
第十四条 会社の決議又は役員の行為にして法律命令若は会社の目的に違反し又は公益を害し又は監督官庁の命したる事項を執行せさるときは政府は其の決議を取消し又は役員を解職することを得
第十五条 政府は必要と認むるときは帝国内に於ける鉄道に関する法令の規定を会社に適用することを得
前項の場合に於ては政府は適用すへき法令の事項を会社に予告すへし
第十六条 本令に別段の定めなきものは商法及附属法令の規定を適用す
第十七条 明治三十三年勅令第三百六十六号は本令に依り設立する会社に之を適用せす
附 則
第十八条 政府は設立委員を置き南満洲鉄道株式会社設立に関する一切の事務を処理せしむ
第十九条 設立委員は定款を作り政府の認可を得たる後第一回株式を募集すへし
第二十条 設立委員は第一回株式の募集を終りたるときは株式申込証を政府に差出し会社設立の許可を稟請すへし
第二十一条 前条の許可を得たるときは設立委員は遅滞なく各株式に付第一回の払込を為さしむることを要す
前項の払込ありたるときは設立委員は遅滞なく創立総会を招集すへし
第二十二条 創立総会集結したるときは設立委員は其の事務を南満洲鉄道株式会社総裁に引渡すへし
(国立公文書館:南満洲鉄道株式会社ニ関スル件・御署名原本・明治三十九年・勅...)
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