協約(原文:一部ひらがな、新字体化)
協 約
日本國皇帝陛下ノ政府及佛蘭西共和國政府ハ兩國ノ間ニ存在スル友好ノ關係ヲ鞏固ニシ且將來誤解ノ原因ヲ兩國ノ關係ヨリ全然除去セムコトヲ希望シ之カ爲左ノ協約ヲ締結スルコトニ決定セリ
日本國政府及佛蘭西國政府ハ清國ノ獨立及領土保全竝清國ニ於テ各國ノ商業、臣民又ハ人民ニ對スル均等待遇ノ主義ヲ尊重スルコトニ同意ナルニ依リ且兩締約國カ主權、保護權又ハ占有權ヲ有スル領域ニ近邇セル清帝國ノ諸地方ニ於テ秩序及平和事態ノ確保セラルルコトヲ特ニ顧念スルニ依リ兩締約國ノ亞細亞大陸ニ於ケル相互ノ地位竝領土權ヲ保持セムカ爲メ前記諸地方ニ於ケル平和及安寧ヲ確保スルノ目的ニ對シ互ニ相支持スルコトヲ約ス
右證據トシテ下名、佛蘭西國駐箚帝國特命全權大使栗野愼一郎及外務大臣元老院議員ステファン、ピシヨンハ各其ノ政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ之ニ記名調印スルモノナリ
一千九百七年六月十日巴里ニ於テ本書ヲ作ル
栗野愼一郎(記名調印)
エス、ピシヨン(記名調印)
宣 言 書
日本國政府及佛蘭西國政府は日本国と仏領印度支那との関係に付通商条約を締結せむか為商議を開始することを他日に譲り茲に先つ協定する所左の如し
日本国官吏及臣民は仏領印度支那に於て身体と財産保護とに関する一切の事項に付最恵国待遇を享くへく又仏領印度支那の臣民及保護民は日本帝国に於て之と同一の待遇を享くへし但し本協定は千八百九十六年八月四日日本国と佛蘭西國との間に締結せられたる通商航海条約の期限終了と共に其の効力を失ふ
一千九百七年六月十日巴里ニ於テ
栗野愼一郎(記名調印)
エス、ピシヨン(記名調印)
協約解釈に関する秘密文書
本日締結せられたる協約の解釈に関し一切誤解を避けむか為日本国政府及仏蘭西国政府は福建省か台湾に近邇せるに由り両締約国に於て秩序及平和の維持を特に希望する清帝国の地方中に包含せらるることを宣明す
一千九百七年六月十日巴里ニ於テ
栗野愼一郎(記名調印)
エス、ピシヨン(記名調印)
(国立公文書館:乙、対欧米列強関係/(五)日仏協約)
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