朝鮮総督府官制(本文:ひらがな、新字体化)
勅令第三百五十四号
朝鮮総督府官制
第一条 朝鮮総督府に朝鮮総督を置く
総督は朝鮮を管轄す
第二条 総督は親任とす陸海軍大将を以て之に充つ
第三条 総督は天皇に直隷し委任の範囲内に於て陸海軍を統率し及朝鮮防備の事を掌る
総督は諸般の政務を統括し内閣総理大臣を経て上奏を為し及裁可を受く
第四条 総督は其の職権又は特別の委任に依り朝鮮総督府令を発し之に一年以下の懲役若は禁錮、拘留、二百円以下の罰金又は科料の罰則を附することを得
第五条 総督は所轄官庁の命令又は処分にして制規に違ひ公益を害し又は権限を犯すものありと認むるときは其の命令又は処分を取消し又は停止することを得
第六条 総督は所部の官吏を統督し奏任文官の進退は内閣総理大臣を経て之を上奏し判任文官以下の進退は之を専行す
第七条 総督は内閣総理大臣を経て所部文官の叙位叙勲を上奏す
第八条 総督府に政務総監を置く
政務総監は親任とす
政務総監は総督を補佐し府務を統理し各部局の事務を監督す
第九条 総督府に官房及左の五部を置く
総務部
内務部
度支部
農商工部
司法部
第十条 総務部に人事局、外事局、会計局、内務部に地方局、学務局、度支部に司税局、司計局、農商工部に殖産局、商工局を置く
官房、各部及各局の事務の分掌は総督之を定む
第十一条 総督府に左の職員を置く
長官 五人勅任
局長 九人勅任又は奏任
参時官 専任二人奏任(内一人を勅任と為すことを得)
秘書官 専任二人 奏任
書記官 専任一九人 奏任
事務官 専任一九人 奏任
技師 専任三十人 奏任(内二人を勅任と為すことを得)
通訳官 専任六人 奏任
属 \
技手 │- 専任三百三十七人 判任
通訳生/
第十二条 長官は各部の長と為り総督及政務総監の命を承け部務を掌理し部下の官吏を指揮監督す
第十三条 局長は上官の命を承け局務を掌理す
第十四条 参事官は上官の命を承け審議立案を掌り又は各部局の事務を助く
第十五条 秘書官は総督の命を承け機密に関する事務を掌る
第十六条 書記官は上官の命を承け府務を掌る
第十七条 事務官は上官の命を承け府務を助く
第十八条 技師は上官の命を承け技術を掌る
第十九条 通訳官は上官の命を承け通訳を掌る
第二十条 属、技手及通訳生は上官の指揮を承け庶務、技術及通訳に従事す
第二十一条 総督府に総督附武官二人及専属副官一人を置く
総督附武官は陸海軍少将又は左官を以て之に補す
総督附武官は参謀とす
副官は陸海軍佐尉官を以て之に補す
総督附武官及副官は総督の命を承け事務に服す
附 則
本令は明治四十三年十月一日より之を施行す
明治四十三年勅令第三百十九号は其の官立学校に関するものを除くの外之を廃止す
(国立公文書館:朝鮮総督府官制・御署名原本・明治四十三年・勅令第三百五十四号)
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