震災手形善後処理法(原文:ひらがな、一部新字体化)
法律第二十号
震災手形善後處理法
第一条 本法に於て震災手形と称するは大正十二年勅令第四百二十四号第一項第四号に該当する手形を謂ふ
第二条 政府は昭和二年九月三十日に於て日本銀行より震災手形の割引を受け居る銀行(以下震災手形所持銀行と称す)に対し該震災手形の整理を為さしむる為本法の定むる所に依り貸付金を為すことを得
前項の貸付金は五分利付国債証券を以て之を交付す
第三条 政府は前条の規定に依り交付する為必要なる額を限度とし公債を発行することを得但し其の総額は震災手形損失補償公債法に依り発行する公債と通して二億七百万円を越ゆることを得す
第四条 前条並震災手形損失補償公債法第二条及第三条の規定に依り発行する公債の交付価額か通して二億七百万円に達せさるときは其の差額を補填する為前条の制限以外に公債を発行することを得
第五条 本法に依り交付する国債証券の交付価格は時価を参酌して大蔵大臣之を定む
第六条 第二条の貸付は震災手形所持銀行か其の震災手形債務者との間に其の手形債務を更改する為十年以内の年賦償還貸付契約を締結したる場合に非されは之を為さす
第七条 第二条の貸付の期限は十年以内とし其の利率は年五分以上とす
前項の外貸付金に関しては大蔵大臣之を定む
第八条 第二条の貸付の弁済金に相当する金額は国債整理基金特別会計法第二条の規定に依る繰入の外本法に依り発行したる公債の償還に充つる為之を一般会計より国債整理基金特別会計に繰入るへし但し本法に依り発行したる公債の前年度首に於ける未償還額の万分の百十六に相当する金額に付ては此の限に在らす
第九条 第二条の貸付に関する事務は日本銀行をして之を取扱はしむ
前項の事務の取扱に要する経費は日本銀行の負担とす
第十条 震災手形所持銀行に対し第二条の貸付確定前に於て日本銀行か昭和二年十月一日より同年十一月三十日迄の間に於ける満期日を有する震災手形を割引きたるときは該震災手形に関しては大正十四年法律第三十五号を準用す
前項の規定に依る契約に基き政府か日本銀行に対して為すへき損失補填に関しては第三条及第四条の規定並震災手形損失補償公債法を準用す
(国立公文書館:震災手形善後処理法・御署名原本・昭和二年・法律第二〇号)
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