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兵役法 1927年03月31日

兵役法(原文:ひらがな、一部新字体化)

兵役法
   第一章 総則
第一条 帝国臣民たる男子は本法の定むる所に依り兵役に服す
第二条 兵役は之を常備兵役、後備兵役、補充兵役及国民兵役に分つ
 常備兵役は之を現役及予備役に、補充兵役は之を第一補充兵役及第二補充兵役に、国民兵役は之を第一国民兵役及第二国民兵役に分つ
第三条 志願に依り兵籍に編入せらるる者の兵役に関しては勅令の定むる所に依る
第四条 六年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられたる者は兵役に服することを得ず
   第二章 服役
第五条 現役は陸軍に在りては二年、海軍に在りては三年とし現役兵として徴集せられたる者之に服す
 現役兵は現役中之を在営せしむ
第六条 予備役は陸軍に在りては五年四月、海軍に在りては四年とし現役を終りたる者之に服す
第七条 後備兵役は陸軍に在りては十年、海軍に在りては五年とし常備兵役を終りたる者之に服す
第八条 第一補充兵役は陸軍に在りては十二年四月、海軍に在りては一年とし現役に適する者にして其の年所要の現役兵員に超過する者の中所要の人員之に服す
 第二補充兵役は十二年四月とし現役に適する者の中現役兵又は第一補充兵役に徴集せられざる者及海軍の第一補充兵役を終りたる者之に服す但し海軍の第一補充兵役を終りたる者に在りては十一年四月とす
第九条 第一国民兵役は後備兵役を終りたる者及軍隊に於て教育を受けたる補充兵にして補充兵役を終りたる者之に服す
 第二国民兵役は戸籍法の適用を受くる者にして常備兵役、後備兵役、補充兵役及第一国民兵役に在らざる年齢十七年より四十年迄の者之に服す
第十条 年齢二十五年迄に師範学校を卒業したる者(小学校の教職に就くの資格を失ひたる者を除く)の現役は第五条の規定に拘らず五月とす但し師範学校の教練を修了せざる者に在りては七月とす
 前項の規定に依り現役に服する者は現役中之を短期現役兵と称す
 短期現役兵其の現役を終りたるときは直に第一国民兵役に服す
第十一条 現役兵にして青年訓練所の訓練又は之と同等以上と認むる訓練を修了したる者の在営期間は六月以内之を短縮することを得
 前項に規定する認定及在営期間短縮に関する事項は勅令を以て之を定む
第十二条 現役兵にして前条の規定の適用を受けざる者の在営期間は軍事上妨げなきときに限り勅令の定むる所に依り六十日以内之を短縮することを得
第十三条 現役兵にして一年六月以内に於て教育を修了し得る兵種に属する者の在営期間は前二条の規定に拘らず勅令の定むる所に依り之を短縮することを得
第十四条 現役兵にして在営中左の各号の一に該当する者の在営期間は之を短縮することを得
 一 品行方正学術勤務の成績優秀なる者
 二 定員に対し過剰と為りたる者
第十五条 前四条の規定は短期現役兵に之を適用せず
第十六条 第十一条乃至第十四条の規定に依り在営期間を短縮する場合に於ては現役期間内に未入営期間又は帰休期間を置く
第十七条 現役又は補充兵役は現役兵又は補充兵として徴集したる年の十二月一日より之を起算す
 短期現役兵の現役は入営の月の一日より之を起算す
 戦時又は事変の際其の他必要ある場合に於ては前二項に規定する起算の日を変更することを得
第十八条 第五条乃至第八条、第九条第一項及第十条に規定する服役は其の期間に拘らず年齢四十年を以て限とす
第十九条 左の各号の一に該当するときは服役の期間を延長することを得
 一 戦時又は事変に際するとき
 二 出師の準備又は守備若は警備の為必要あるとき
 三 航海中又は外国に於て勤務中なるとき
 四 重要なる演習又は特別に観兵の挙あるとき
 五 天災其の他避くベからざる事故に因り已むを得ざるとき
 前項の規定に依り延長したる期間は次に服すベき兵役の期間に之を通算す
第二十条 在営中本人に依るに非ざれバ家族(戸主を含み本人と世帯を同じくする者に限る)が生活を為すこと能はざるに至りたるときは現役を免除す但し故意に其の事故を作為したるときは此の限に在らず
第二十一条 現役兵、予備兵、後備兵若は補充兵にして疾病其の他身体若は精神の異常に因り当該兵役に服し難き者又は現役兵にして前条の規定に依り現役を免除せられたる者は之を他の兵役に転ぜしむ但し疾病其の他身体又は精神の異常に因り兵役に堪ヘざる者に対しては兵役を免除す
 前項の規定に依り転役する者の服すベき兵役及服役期間の計算に関しては勅令を以て之を定む
第二十二条 現役兵にして入営前又は入営後六年未満の懲役又は禁錮の刑に処せられたる者の在営中刑の執行を受けたる日数及在営中逃亡したる者の逃亡中の日数は之を現役期間に算入せず
   第三章 徴集
第二十三条 戸籍法の適用を受くる者にして前年十二月一日より其の年十一月三十日迄の間に於て年齢二十年に達する者は本法中別段の規定あるものを除くの外徴兵検査を受くることを要す
 前項に規定する年齢は之を徴兵適齢と称す
第二十四条 戸主は其の家族中毎年十二月一日より同月三十一日迄の間に年齢二十年と為る者あるときは翌年一月中に、一月一日より十一月三十日迄の間に年齢二十年と為る者あるときは其の年一月中に本籍の市町村長に届出づベし戸主年齢二十年と為るとき亦同じ但し命令を以て定むる者に付ては此の限に在らず
第二十五条 兵員を徴集する為徴兵区を設く
 徴兵区は之を徴募区に分つ
 徴兵区の種類及区域並に徴募区の区域に関しては勅令の定むる所に依る
第二十六条 現役兵及第一補充兵の員数は之を徴兵区に配賦し更に之を徴募区に配賦す
 前項に規定する配賦は徴兵区又は徴募区に本籍を有し徴兵検査を受くベき者の見込数を基準として之を行ふ
第二十七条 前条の規定に依り配賦したる兵員は当該徴募区に本籍を有する者より之を徴集す
第二十八条 徴兵区又は徴募区に配賦したる兵員を当該徴兵区又は徴募区に於て充足し難きときは其の不足員数を他の徴兵区又は徴募区に配賦し徴集することを得
第二十九条 徴兵検査は徴兵検査を受くベき者の本籍所在の徴募区に於て之を行ふ但し身体検査に限り本籍所在の徴募区以外の地に於て行ふことを得
第三十条 徴兵検査を受くベき者徴兵検査を受くベき年に於て之を受けざるときは次年に於て徴兵検査を行ふ
第三十一条 身体検査を受けたる者にして現役兵又は第一補充兵として徴集せらるベき者は他の徴募区に転属するも之を転属前の徴募区の配賦人員に充て徴集す
第三十二条 身体検査を受けたる者は左の如く之を区分す
 一 現役に適する者
 二 国民兵役に適するも現役に適せざる者
 三 兵役に適せざる者
 四 兵役の適否を判定し難き者
 前項に規定する区分の標準は勅令の定むる所に依る
第三十三条 現役に適する者は勅令の定むる所に依り体格等位の優劣に従ひ各徴募区の配賦人員に応じ現役兵、第一補充兵の順序に之を徴集す此の場合に於て体格等位同一なる者は本法中別段の規定あるものを除くの外兵種毎に抽籖の法に依り徴集順序を定む
 前項の規定に依り徴集すベき者の属する兵種は各徴募区の配賦人員に応じ其の身材、芸能及職業に依り之を定む
 現役に適する者にして現役兵又は第一補充兵に徴集せざる者は之を第二補充兵に徴集す
 現役兵として徴集せらるベき者にして其の属する兵種定まりたる者は本人の願に依り第一項に規定する抽籖に加ふることなく現役兵に之を徴集することを得
第三十四条 国民兵役に適するも現役に適せざる者は之を徴集せず
第三十五条 兵役に適せざる者は兵役を免除す
第三十六条 兵役の適否を判定し難き者に付ては徴集を延期し爾後適否を決定し得るに至る迄毎年徴兵検査を行ふ
第三十七条 徴兵検査を受くベき者勅令の定むる所に依り兵役に適せずと認むる疾病其の他身体又は精神の異常の者なるときは其の事実を証明すベき書類に基き身体検査を行ふことなく兵役を免除することを得
第三十八条 短期現役兵たるの資格を有する者にして現役に適する者は第三十三条の規定に拘らず之を短期現役兵に徴集す
 第二十六条乃至第二十八条の規定は短期現役兵の徴集に関し之を適用せず
第三十九条 徴兵検査を受くベき者左の各号の一に該当するときは徴集を延期することを得
 一 禁錮以上の刑に該るベき犯罪の為予審又は公判中なるとき
 二 犯罪の為拘禁中なるとき
 三 刑の執行停止中なるとき
 四 仮出獄中なるとき
 五 少年法の定むる所に依り感化院、矯正院又は病院に収容中なるとき
 六 矯正院法の定むる所に依り仮退院中なるとき
 前項の規定は現役に適する者にして未だ徴集順序定まらざる者に之を適用す
 前二項の規定に依り徴集を延期せられたる者は其の事由止む年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ
第四十条 徴兵検査を受けたる者現役兵として徴集せらるるに因り家族(戸主を含み本人と世帯を同じくする者に限る)が生活を為すこと能はざるに至るベき確証ある場合に於ては二年間徴集を延期す但し故意に其の事故を作為したるときは此の限に在らず
 前項の規定に依り徴集を延期せられたる者其の延期期間内に於て其の事由止むときは事由止む年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ
 第一項の規定に依り徴集を延期せられたる者其の延期期間を過ぎ尚其の事由止まざるときは之を過ぎたる年の翌年に於て徴兵検査を行ふ但し現役兵又は第一補充兵として徴集することなし
 第一項の延期期間は徴兵検査を受けたる年の十二月一日より之を起算す
第四十一条 中学校又は中学校の学科程度と同等以上と認むる学校に在学する者に対しては本人の願に依り学校の修業年限に応じ年齢二十七年に至る迄徴集を延期す
 前項に規定する認定及年齢の区分に関しては勅令を以て之を定む
 第一項の規定に依り徴集を延期せられたる者は在学の事由止む年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ但し一の学校卒業の日より六月以内に他の学校に入学する者に付ては徴集延期の事由尚継続するものと看做す
 第二項の年齢の区分に基く最高年齢に達するも在学の事由尚止まざる者は最高年齢に達したる年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ
第四十二条 徴兵適齢及其の前より帝国外の地に在る者(勅令を以て定むる者を除く)に対しては本人の願に依り徴兵を延期す
 前項の規定に依り徴集を延期せられたる者は其の事由止む年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ
第四十三条 前条第一項の規定に依り徴集を延期せられたる者にして直系尊属若は妻子の死亡若は重態の為又は官庁の命に依り一時帝国内に帰還する者は徴集延期の事由尚継続するものと看做す但し帰還後の滞在期間九十日を超ユるときは此の限に在らず
 前項に規定する場合を除くの外前条第一項の規定に依り徴集を延期せられたる者にして一時帝国内に帰還する者は勅令の定むる所に依り在留地の遠近に応じ一年間一回滞在期間九十日を超エざる場合に限り徴集延期の事由尚継続するものと看做す
 前二項の規定に該当する者にして帰還後の滞在間に於て疾病其の他避くベからざる事故生じ前二項に規定する期間内に出発し難き者あるときは其の滞在期間を延長することを得此の場合に於ては其の延長したる期間徴集延期の事由尚継続するものと看做す
第四十四条 前二条の規定は帝国外の地を往復する帝国船舶の船員に之を準用す
第四十五条 家族(戸主を含み本人と世帯を同じくする者に限る)二人以上現役兵として同時に在営する為家事上の支障を生ずベきときは一人の在営期間他の者の入営を延期することを得
 第十七条第三項の規定は前項の規定に依り入営を延期せられたる者に之を準用す
第四十六条 現役兵として入営すベき者疾病其の他避くベからざる事故に因り入営すベき期日に入営し難きとき又は第三十九条第一項各号の一に該当するときは三十一日以内入営を延期することを得
 現役兵として入営すベき者にして前項に規定する入営を延期し得ベき期間内に入営し難き者に対しては更に徴兵検査を行ふ但し第十三条に規定する兵種に属する者に在りては更に徴兵検査を行ふことなく次の入営すベき期日に入営せしむることを得
第四十七条 現役兵として入営すベき者入営の際行ふ身体検査に於て疾病其の他身体又は精神の異常に因り三十一日以内に治癒の見込なく且勤務に堪ヘずと認むる者なるときは之を帰郷せしめ第二十一条の規定の適用を受くる者を除くの外更に徴兵検査を行ふ
 前条第二項但書の規定は前項の規定に依り帰郷せしめられたる者に之を準用す
第四十八条 現役兵に闕員を生じたる場合に於ては服役第一年次の第一補充兵を以て其の徴集順序に従ひ之を補闕することを得
 第二十七条及第二十八条の規定は前項に規定する補闕に之を準用す
第四十九条 左に掲ぐる者(第一号、第二号、第五号及第六号の者に在りては徴兵適齢を過ぎたる者に限る)徴集せらるる場合に於ては第三十三条第一項に規定する抽籖に加ヘざるものとす但し二人以上あるときは其の者のみに付抽籖を行ひ徴集順序を定む
 一 第四十一条第三項又は第四項の規定に該当する者
 二 第四十二条第二項又は第四十四条の規定に該当する者
 三 第四十六条第二項の規定に該当する者
 四 第四十七条の規定に該当する者
 五 第六十六条第一項の規定に該当する者
 六 第六十七条の規定に該当する者
 七 第七十四条に規定する罪を犯し刑に処せられたる者
 八 第七十六条に規定する罪を犯し刑に処せられたる者
 前項に掲ぐる者の徴集順序は第三十三条第一項の規定に依り抽籖を為したる者の上位とし同条第四項の規定に依り徴集せらるベき者の徴集順序は前項に掲ぐる者の上位とす
第五十条 第七十四条又は第七十六条に規定する罪を犯し刑に処せられたる者に対しては第四十条乃至第四十二条、第四十四条及第四十五条の規定に依る延期を為さず
第五十一条 戸籍の記載の抹消又は遺漏其の他の事由に因り戸籍に記載せられざる為本籍を有せざる者にして徴兵検査を受くベき者を発見したるときは発見の年又は其の翌年に於て徴兵検査を行ふ
 徴兵検査を受けたる者戸籍に記載せられある出生年月日の訂正に因り徴兵適齢又は徴兵適齢未満と為りたるときは左の各号の一に該当する者を除くの外更に徴兵検査を行ふ
 一 現役中の者又は現役を終りたる者
 二 補充兵にして教育の為召集中の者又は其の召集を終りたる者
 三 第三十七条の規定に依り兵役を免除せられたる者
第五十二条 戸籍法の適用を受けざる者にして徴兵適齢を過ぎ戸籍法の適用を受くる者の家に入りたる者に対しては徴集を免除す
 前項の規定は徴兵適齢を過ぎ帝国の国籍を取得し又は回復したる者に之を準用す
第五十三条 第三十条、第三十六条、第三十九条第三項、第四十条第二項若は第三項、第四十一条第三項若は第四項、第四十二条第二項、第四十四条、第四十六条第二項、第四十七条、第五十一条第一項、第六十六条第一項又は第六十七条の規定に依り徴兵検査を受くベき者年齢三十七年を過ぎたるときは徴集を免除す
 前項の年齢は第十七条第一項又は第二項に規定する現役又は補充兵役の起算の日に於ける年齢とす
   第四章 召集
第五十四条 帰休兵、予備兵、後備兵、補充兵又は国民兵は戦時又は事変に際し必要に応じ之を召集す
第五十五条 帰休兵は在営兵の補闕其の他必要ある場合に之を召集することを得
 服役第一年次の予備兵は警備其の他の必要に因り帰休兵を召集するも尚兵員を要する場合に之を召集することを得
第五十六条 予備兵及後備兵は勤務演習の為予備役及後備兵役を通じ五回以内之を召集することを得
 前項に規定する召集は一年一回とし一回の日数は陸軍に在りては三十五日以内、海軍に在りては七十日以内とす
第五十七条 第一補充兵は教育の為百二十日以内之を召集することを得
第五十八条 補充兵にして軍隊に於て教育を受けたる者は勤務演習の為之を召集することを得
 第五十六条の規定は前項に規定する召集に之を準用す
第五十九条 勤務演習に召集せられたる者召集中犯罪の為又は正当の事由なく勤務演習を闕きたるときは其の闕きたる日数又は回数を勤務演習の日数又は回数に算入せず正当の事由なく召集の期日に後れたるとき亦同じ
 前項の規定は教育の為召集せられたる者に之を準用す
第六十条 帰休兵、予備兵、後備兵及補充兵に対しては毎年一回簡閲点呼を行ふことを得
第六十一条 帰休兵、予備兵、後備兵又は補充兵にして左の各号の一に該当する者に対しては勤務演習召集又は簡閲点呼を免除することを得
 一 余人を以て代ふベからざる職に在る官吏又は官吏待遇者
 二 市町村長、助役、収入役其の他之に準ずベき職に在る者
 三 帝国議会、府県会、市長村会其の他之に準ずベきものの議員但し其の会期中に限る
 四 帝国外の地に旅行又は在留する者
 五 帝国外の地を往復する帝国船舶の船員
第六十二条 召集せられたる者疾病其の他避くベからざる事故に因り召集に応じ難きときは十日以内召集を延期することを得
 召集せられたる者第三十九条第一項各号の一に該当し召集期日に召集に応じ難きとき又は前項の規定に依り召集を延期せられたる者其の延期期間内に召集に応じ難きときは召集期日又は召集年次を変更す
 前二項の規定は簡閲点呼に参会を命ぜられたる者に之を準用す
 召集せられたる者入営の際行ふ身体検査に於て疾病其の他身体又は精神の異常に因り勤務に堪ヘずと認むる者なるときは召集を免除す
第六十三条 召集せられたる者召集に因り家族(戸主を含み本人と世帯を同じくする者に限る)が生活を為すこと能はざるの確証ある場合に於ては召集を免除す但し故意に其の事故を作為したるときは此の限に在らず
   第五章 雑則
第六十四条 第一補充兵にして第四十八条の規定に依り現役兵の補闕に充てられ現役に服するに至りたる者の既に服したる第一補充兵役の期間は之を現役の期間に通算す
第六十五条 第四十六条の規定に依り後れて入営したる者又は第四十八条第一項の規定に依り補闕として後れて入営したる者と雖も其の在営期間の計算に関しては後れずして入営したるものと看做す但し犯罪の為又は正当の事由なく後れて入営したる者は此の限に在らず
 前項の規定は第六十二条第一項の規定に依り召集を延期せられたる者にして其の延期期間内に召集に応じたる者に之を準用す
第六十六条 志願に依り兵籍に編入せられたる者にして兵籍より除かるるに至りたる者勅令の定むる期間服役せざる者なるときは更に徴兵検査を行ふ
 前項の規定に依り徴兵検査を受けたる者現役兵として徴集せられたる場合に於ける現役期間の計算は勅令の定むる所に依る
第六十七条 短期現役兵として現役を終りたる者年齢二十八年迄の間に於て左の各号の一に該当するときは更に徴兵検査を行ふ此の場合に於て現役兵として徴集せられたるときは前の現役期間を後の現役期間に、前に在営したる期間を後に在営すベき期間に通算す但し第十三条の規定に該当する現役兵として徴集せられたるときは前に在営したる期間を後に在営すベき期間に通算せず
 一 小学校の教職に就くの資格を失ひたるとき
 二 現役を終りたる日より六月を経過したる日及其の後に於て小学校の教職に在らざるとき
 前項の規定は短期現役兵として現役中小学校の教職に就くの資格を失ひたる者に之を準用す
第六十八条 本法に規定するものの外兵役に関し必要なる届出に付ては命令の定むる所に依り之を為さしむることを得
第六十九条 市町村長は兵役(第二国民兵役を除く)に在る者に付命令の定むる所に依り其の戸籍の欄外に兵役の略符号を附すベし
 戸籍法第三条の規定は前項に規定する事務に之を準用す
第七十条 本法中本人より願出を為すベき場合に於て本人事故あるときは戸主之を為すことを得
第七十一条 本法中戸主に関する規定は戸主未成年者又は禁治産者なるときは戸主の法定代理人に、戸主若は戸主の法定代理人未だ決定せざるとき又は避くベからざる事故あるときは家族中家事を担当する者に之を適用す
第七十二条 本法中市長に関する規定(第六十一条の規定を除く)は区長を以て戸籍に関する事務を管掌する者と為したる市に在りては区長に之を適用す
 本法中町村長に関する規定は町村長に準ずベき者に之を適用す
第七十三条 本法に規定する学校中には帝国外の地に在りて帝国臣民の為に設置したる学校にして勅令の定むる所に依り指定したるものを包含す
   第六章 罰則
第七十四条 兵役を免るる為逃亡し若は潜匿し又は身体を毀傷し若は疾病を作為し其の他詐偽の行為を為したる者は三年以下の懲役に処す
第七十五条 現役兵として入営すベき者正当の事由なく入営の期日に後れ十日を過ぎたるときは六月以下の禁錮に処し戦時に在りて五日を過ぎたるときは一年以下の禁錮に処す
 前項の規定は志願に依り兵籍に編入せられ服役する者に之を準用す
第七十六条 正当の事由なく徴兵検査を受けざる者は百円以下の罰金に処す
第七十七条 第二十四条の規定に依る届出を為さざる者は五十円以下の罰金又は科料に処す
第七十八条 前四条の規定は何人を問はず帝国外に於て其の罪を犯したる者に之を適用す
   附 則
本法は昭和二年十二月一日より之を施行す
本法施行の際現に予備役に在る者の服役期間は尚従前の規定に依る此の場合に於ては第五十五条第二項の規定を適用せず
本法施行の際現に補充兵役に在る者は第一補充兵役に服するものとす
本法施行の際現に徴兵令第二十三条の規定に依り入営を延期せられ居る者に付ては尚従前の例に依る其の徴集せらるる場合に於ける徴集順序に関しては第四十九条の例に依る
刑法施行法第二十六条第二号を左の如く改む
 二 削除
(国立公文書館:徴兵令を改正し兵役法と改む・御署名原本・昭和二年・法律第四...)

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内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より

ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構設立に関する提案) 1944年10月09日

 ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構設立に関する提案)(訳文)     一般的国際機構設立に関する提案 (「ダンバートン、オークス」会議の結果「ソ」連邦、米国、英国及重慶政権に依り提案せられ千九百四十四年十月九日発表せられたるもの) (本提案の英文は千九百四十四年十月十一日附「モスコー、ニュース」より之を採り「ストックホルム」電報等に依り長短相補ひたるものなり) 「国際連合」なる名称の下に一の国際機構設立せらるべく其の憲章は左の提案を具現するに必要なる規定を掲ぐべし    第一章 目的 本機構の目的は左の如くなるべし 一、国際平和及安寧を保持すること、右目的の為平和に対する脅威の防止及除去並に侵略行為又は他の平和侵害行為の抑圧を目的とする効果的且集団的措置を執ること及平和の侵害に至るの虞ある国際紛争を平和的方法に依り調整又は解決すること 二、各国間の友好関係を発展せしめ且世界平和を強化すべき他の適当なる措置を執ること 三、各国間の経済的、社会的及他の人道上の問題の解決の為国際協力を完成すること及 四、右共同目的完成の為各国の行動を調整すべき中心たるべきこと    第二章 原則 第一章に掲げたる目的を遂行せんが為本機構及其の締盟国は以下の原則に従ひ行動すべし 一、本機構は一切の平和愛好国の主権平等の原則に其の基礎を置くものとす 二、本機構の一切の締盟国は締盟国全部に対し締盟国たるの地位に基く権利及利益を保障する為憲章に従ひ負担したる義務を履行することを約す 三、本機構の一切の締盟国は其の紛争を国際平和及安寧を危殆ならしめざるが如き平和的方法に依り解決すべきものとす 四、本機構の一切の締盟国は其の国際関係に於て本機構の目的と両立せざる如何なる方法に於ても脅威又は兵力の行使を避くるものとす 五、本機構の一切の締盟国は本機構が憲章の規定に従ひ執るべき如何なる行動に於ても之に対し有らゆる援助を与ふるものとす 六、本機構の一切の締盟国は本機構が防遏的又は強制的行動を執行中なる如何なる国家に対しても援助を与ふることを避くるものとす 本機構は、国際平和及安寧保持に必要なる限り本機構の非締盟国が右原則に従ひ行動することを確実ならしむべし    第三章 締盟国 一切の平和愛好国は本機構の締盟国たり得べし    第四章 主要機関 一、本機構は其の主要機関として左記を有すべし  イ

第二次近衛声明(東亜新秩序建設の声明) 1938年11月03日

 第二次近衛声明(東亜新秩序建設の声明)                     (昭和十三年十一月三日)  今や 陛下の御稜威に依り帝国陸海軍は、克く広東、武漢三鎮を攻略して、支那の要域を戡定したり。国民政府は既に地方の一政権に過ぎず。然れども、尚ほ同政府にして抗日容共政策を固執する限り、これが潰滅を見るまで、帝国は断じて矛を収むることなし。  帝国の冀求する所は、東亜永遠の安定を確保すべき新秩序の建設に在り。今次征戦究極の目的亦此に存す。  この新秩序の建設は日満支三国相携へ、政治、経済、文化等各般に亘り互助連環の関係を樹立するを以て根幹とし、東亜に於ける国際正義の確立、共同防共の達成、新文化の創造、経済結合の実現を期するにあり。是れ実に東亜を安定し、世界の進運に寄与する所以なり。  帝国が支那に望む所は、この東亜新秩序建設の任務を分担せんことに在り。帝国は支那国民が能く我が真意を理解し、以て帝国の協力に応へむことを期待す。固より国民政府と雖も従来の指導政策を一擲し、その人的構成を改替して更生の実を挙げ、新秩序の建設に来り参ずるに於ては敢て之を拒否するものにあらず。  帝国は列国も亦帝国の意図を正確に認識し、東亜の新情勢に適応すべきを信じて疑はず。就中、盟朋諸国従来の厚誼に対しては深くこれを多とするものなり。  惟ふに東亜に於ける新秩序の建設は、我が肇国の精神に淵源し、これを完成するは、現代日本国民に課せられたる光栄ある責務なり。帝国は必要なる国内諸般の改新を断行して、愈々国家総力の拡充を図り、万難を排して斯業の達成に邁進せざるべからず。  茲に政府は帝国不動の方針と決意とを声明す。 (国立公文書館:「近衛首相演述集」(その二)/1 第一章 「声明、告諭、訓令、訓辞」 B02030031600)