日独防共協定(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり、一部附属書等省略)
条約第八号
共産「インターナショナル」に對する協定
大日本帝国政府及
独逸国政府は
共産「インターナショナル」(所謂「コミンテルン」)の目的が其の執り得る有らゆる手段に依る現存国家の破壊及暴壓に在ることを認め
共産「インターナショナル」の諸国の国内関係に対する干渉を看過することは其の国内の安寧及社会の福祉を危殆ならしむるのみならず世界平和全般を脅すものなることを確信し
共産主義的破壊に対する防衛の為協力せんことを欲し左の通協定せり
第一条
締結国は共産「インターナショナル」の活動に付相互に通報し、必要なる防衛措置に付協議し且緊密なる協力に依り右の措置を達成することを約す
第二条
締結国は共産「インターナショナル」の破壊工作に依りて国内の安寧を脅さるる第三国に対し本協定の趣旨に依る防衛措置を執り又は本協定に参加せんことを共同に勧誘すべし
第三条
本協定は日本語及独逸語の本文を以て正文とす本協定は署名の日より実施せらるべく且五年間効力を有す締結国は右期間満了前適当の時期に於て爾後に於ける両国協力の態様に付了解を遂ぐべし
右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本協定に署名調印せり
昭和十一年十一月二十五日即ち千九百三十六年十一月二十五日「ベルリン」に於て本書二通を作成す
大日本帝国特命全権大使 子爵武者小路公共(印)
独逸国特命全権対し ヨアヒム、フォン、リッベントロップ(印)
共産「インターナショナル」に対する協定の付属議定書
本日共産「インターナショナル」に対する協定に署名するに当り下名の全権委員は左の通協定せり
(イ)両締約国の当該官憲は共産「インターナショナル」の活動に関する情報の交換並に共産「インターナショナル」に対する啓発及防衛の措置に付緊密に協力すべし
(ロ)両締約国の当該官憲は国内又は国外に於て直接又は間接に共産「インターナショナル」の勤務に服し又は其の破壊工作を助長する者に対し現行法の範囲内に於て厳格なる措置を執るべし
(ハ)前記(イ)に定められたる両締約国の当該官憲の協力を容易ならしむる為常設委員会設置せらるべし共産「インターナショナル」の破壊工作防■の為必要なる爾余の防衛措置は右委員会に於て考究且協議せらるべし
昭和十一年十一月二十五日即ち千九百三十六年十一月二十五日「ベルリン」に於て
大日本帝国特命全権大使 子爵武者小路公共(印)
独逸国特命全権対し ヨアヒム、フォン、リッベントロップ(印)
秘密附属協定
共産「インターナショナル」に対する協定の秘密附属協定
大日本帝国政府及
独逸国政府は
「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府が共産「インターナショナル」の目的の実現に努力し且之が為其の軍を用ひんとすることを認め
右事実は締約国の存立のみならず世界平和全般を最深刻に脅すものなることを確信し
共通の利益を擁護する為左の通協定せり
第一条
締約国の一方が「ソヴィエト」社会主義共和国連邦より挑発に因らざる攻撃を受け又は挑発に因らざる攻撃の脅威を受くる場合には他の締約国は「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の地位に付負担を軽からしむるが如き効果を生ずる一切の措置を講ぜざることを約す
前項に掲ぐる場合の生じたるときは締約国は共通の利益擁護の為執るべき措置に付直に協議すべし
第二条
締約国は本協定の存続中相互の同意なくして「ソヴィエト」社会主義共和国連邦との間に本協定の精神と両立せざる一切の政治的条約を締結することなかるべし
第三条
本協定は日本語及独逸語の本文を以て正文とす本協定は本日署名せられたる共産「インターナショナル」に対する協定と同時に実施せらるべく且之と同一の有効期間を有す
(以下署名等省略)
(附録等省略)
(国立公文書館:共産「インターナショナル」ニ対スル協定及附属議定書・御署名...)
(国立公文書館:枢密院御下附案・昭和十一年 A03033217700)
コメント
コメントを投稿