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満ソ国境紛争処理要綱(滿「ソ」國境紛爭處理要綱) 1939年04月25日

満ソ国境紛争処理要綱(原文:ひらがな化、一部新字体化)

關作命第一四八八号別冊
滿「ソ」國境紛爭處理要綱
   方  針
一、軍は侵さす侵さしめさるを満洲防衛の根本基調とす之か為満「ソ」国境における「ソ」軍(外蒙軍を含む)の不法行為に対しては周到なる準備の下に徹底的にこれを膺懲し「ソ」軍を慴伏せしめ其の野望を初動に於て封殺破摧す
   要  領
二、彼の不法行為に対しては断乎徹底的に膺懲することに依りてのみ事件の頻発又は拡大を防止し得ることは「ソ」軍の特性と過去の実績とに微し極めて明瞭なる所以を部下に徹底し特に第一線部隊に於ては国境接壌の特性を認識し国境付近に生起する小戦の要領を教育し苟も戦へは兵力の多寡理非の如何に拘らす必勝を期す
三、国境線の明瞭なる地点に於ては我より進んて彼を侵ささる如く厳に自戒すると共に彼の越境を認めたるときは周到なる計画準備の下に十分なる兵力を用ひ之を急殲滅す右目的を達成する為一時的に「ソ」領に進入し又は「ソ」兵を満領内に誘致滞留せしむることを得
 此際我か死傷者等を「ソ」領内に遺留せさることに関し万全を期すると共に勉めて敵の屍体俘虜等を獲得す
四、国境線明確ならさる地域に於ては防衛司令官に於て自主的に国境線を認定して之を第一線部隊に明示し無用の紛争惹起を防止すると共に第一線の任務達成を容易ならしむ而て右地域内には必要以外の行動を為ささると共に苟も行動の要ある場合に於ては至厳なる警戒と周到なる部署を以てし万一衝突せは兵力の多寡国境の如何に拘わらす必勝を期す
五、斥候巡察等は勉めて将校の指揮する有力なるものを充当し其の行動を適切ならしむる為必す明確なる任務を与ふ
六、事件発生せは速に之を報告通報すると共に爾後に於ける処理の経過を適時報告通報し神速適切なる対策に上下左右遺憾なきを期す
七、国境に位置する第一線部隊は能く国境接壌の特性を認識し無用の事端を惹起せさることに関し万全を期すると共に常に彼の動静を明にし万一紛争を惹起せは任務に基き断乎として積極果敢に行動し其の結果派生すへき事態の収拾処理に関しては上級司令部に信倚し意を安んして唯第一線現場に於ける必勝に専念し万全を期す
八、従来の指示通牒等は自今一切之を廃棄す
   備  考
 第四項に於て防衛司令官か自主的に認定指示したる国境線は速に軍に報告するものとす
(国立公文書館:第2節/別紙第4 関作命第1488号別冊 満「ソ」国境紛争処理要綱)

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