満蒙問題解決方策大綱(要約)
一 満洲における張学良政権の排日方針の緩和については、外務当局と緊密に連絡の上で実現につとめ、関東軍の行動を慎重ならしめることには遺憾なきを期する。
二 右の努力にもかかわらず、排日行動の発展を見るようであれば、ついに軍事行動を必要とすることを予期しなければならない。
三 満洲問題の解決には、内外の理解をうることが絶対に必要である。陸軍大臣は閣議を通じ、現地の情況を各大臣に知悉させることに努力する。
四 全国民特に操觚界(ジャーナリズム)に満洲の実情を承知せしめる。主務は主として軍務局の任とし、第二部はこれに協力する。
五 軍務局と第二部とは緊密に外務省関係局課と連絡の上、関係列国に満洲で行われている排日行動の実際を承知させ、万一にも軍事行動を必要とするような事態にはいったときは、日本の決意を諒とし、不当な反対圧迫の挙に出させないよう事前工作を立案の上、上司の決裁を求め、その実効に着手する。
六 軍事行動の場合、いかなる兵力を必要とするかは、作戦部で関東軍と連絡協議の上計画し、上長の決裁を求める。
七 内外の理解を求むるための施策は、約一カ年すなわち来年春までを期間とし、これが実施の周到を期する。
八 関東軍の首脳部に中央の方針を熟知させ、来たる一年間は、穏忍の上、排日行動から生ずる紛争を避け、万一紛争を生じた時は、局地的に処置することにとどめ、範囲を拡大せぬよう努めさせる。
(戦史叢書008大本営陸軍部<1>-昭和十五年五月まで- P307)
外に原資料として(現代史資料7 満洲事変・みすず書房1964)
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