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防空法 1937年04月02日

防空法(原文:ひらがな、一部新字体化)

法律第四十七号
   防空法
第一条 本法に於て防空と称するは戦時又は事変に際し航空機の来襲に因り生ずべき危害を防止し又は之に因る被害を軽減する為陸海軍の行ふ防衛に即応して陸海軍以外の者の行ふ燈火管制、消防、防毒、避難及救護並に此等に関し必要なる監視、通信及警報を、防空計画と称するは防空の実施及之に関し必要なる設備又は資材の整備に関する計画を謂ふ
第二条 防空計画は勅令の定むる所に依り地方長官(東京府に在りては警視総監を含む以下之に同じ)又は地方長官の指定する市町村長防空委員会の意見を徴し之を設定し主務大臣又は地方長官の認可を受くべし
第三条 主務大臣は勅令の定むる所に依り規模大なる事業又は施設にして防空上特に必要あるものに付行政庁に非ざる者を指定して防空計画を設定せしむることを得
 前項の防空計画は主務大臣の認可を受くべし
第四条 防空計画の設定者は其の防空計画に基き防空を実施し又は防空の実施に関し必要なる設備若は資材の整備を為すべし
第五条 地方長官は勅令の定むる所に依り防空計画に基き特殊施設の管理者又は所有者をして防空の実施に関し必要なる設備若は資材の整備を為さしめ又は防空の実施に際し必要なる設備若は資材を供用せしむることを得
第六条 地方長官は勅令の定むる所に依り特殊技能を有する者をして防毒、救護其の他防空の実施に従事せしむることを得
 第三条第一項の規定に依る防空計画の設定者は其の従業者をして防空の実施に従事せしむることを得
第七条 防空の実施の開始及終止に関し必要なる事項は勅令を以て之を定む
第八条 燈火管制を実施する場合に於ては命令の定むる所に依り其の実施区域内に於ける光を発する設備又は装置の管理者又は之に準ずべき者は他の法令の規定に拘らず其の光を秘匿すべし
第九条 防空の実施に際し緊急の必要あるときは地方長官又は市町村長は他人の土地若は家屋を一時使用し、物件を収用若は使用し又は防空の実施区域内に在る者をして防空の実施に従事せしむることを得
 行政執行法第五条及第六条の規定並に之に基きて発する命令は前項の規定に基きて為す処分に依りて負ふ義務の履行を市町村長が強制する場合に之を準用す
第十条 主務大臣は防空計画の設定者に対し防空計画の全部又は一部に基き防空の訓練を為すべきことを命ずることを得
 前項の規定に依り防空の訓練を為す場合に於ては第三条第一項の規定に依る防空計画の設定者は其の従業者をして防空の訓練に従事せしむることを得
 第一項の規定に依り燈火管制の訓練を為す場合に於ては命令の定むる所に依り訓練区域内に於ける光を発する設備又は装置の管理者又は之に準ずべき者は他の法令の規定に拘らず其の光を秘匿すべし
(以下一部省略)
第十一条 (資料提出、検査の実施)
第十二条 (葬祭経費の負担)
第十三条 (設備使用による損失補償)
第十四条 (実費の弁償)
第十五条 (経費の負担)
第十六条 防空委員会に関する規程は勅令を以て之を定む
第十七条 (国庫に依る経費の補助)
第十八条 (罰則)
第十九条 (罰則)
第二十条 町村組合にして町村の事務の全部又は役場事務を共同処理するものは本法の適用に付ては之を一町村、其の組合管理者は之を町村長と看做す
 町村制を施行せざる地に於ては本法中町村に関する規定は町村に準ずべきものに、町村長に関する規定は町村長に準ずべき者に之を適用す
第二十一条 国に於て管理する施設に関する防空に付ては勅令の定むる所に依る
第二十二条 本法を朝鮮、台湾又は樺太に施行する場合に於て必要あるときは勅令を以て特別の定を為すことを得
   附 則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
(国立公文書館:防空法(勅令第五百四十八号参看)・御署名原本・昭和十二年・...)

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