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厚生省官制 1938年01月10日

厚生省官制(原文:ひらがな、一部新字体化)

勅令第七号
   厚生省官制
第一条 厚生大臣は国民保健、社会事業及労働に関する事務を管理す
第二条 厚生省に左の五局を置く
  体力局
  衛生局
  予防局
  社会局
  労働局
第三条 体力局に於ては左の事務を掌る
 一 体力向上の企画に関する事項
 二 体力向上の施設に関する事項
 三 体力調査に関する事項
 四 体育運動に関する事項
 五 妊産婦、乳幼児及児童の衛生に関する事項
第四条 衛生局に於ては左の事務を掌る
 一 衣食住の衛生に関する事項
 二 衛生指導に関する事項
 三 医事及薬事に関する事項
 四 其の他国民保健に関する事項にして他の主管に属せざるもの
第五条 予防局に於ては左の事務を掌る
 一 伝染病、地方病其の他の疾病の予防に関する事項
 二 検疫に関する事項
 三 精神病に関する事項
 四 民族衛生に関する事項
第六条 社会局に於ては左の事務を掌る
 一 社会福利施設に関する事項
 二 救護及救療に関する事項
 三 軍事扶助に関する事項
 四 母子及児童の保護に関する事項
 五 其の他社会事業に関する事項
 六 職業の紹介其の他労務の需給に関する事項
第七条 労働局に於ては左の事務を掌る
 一 労働条件に関する事項
 二 工場及鉱山に於ける労働衛生に関する事項
 三 国際労働事務に関する統轄事項
 四 其の他労働に関する事項
第八条 厚生省に労働局参与十五人以内を置き労働局の局務に参与せしむ
 労働局参与は厚生大臣の奏請に依り関係各庁勅任官及学識経験ある者の中より内閣に於て之を命ず
 学識経験ある者の中より命ぜられたる参与の任期は三年とす但し特別の事由ある場合に於ては任期中之を解任することを妨げず
 参与は勅任官の待遇とす但し本官を有する者に付ては本官の受くる待遇に依る
第九条 厚生書記官は専任十六人を以て定員とす
第十条 厚生省に事務官専任二十五人及理事官専任三人を置く奏任とす上官の命を承け事務を掌る
第十一条 厚生省に技師専任三十一人を置く奏任とす但し内一人を勅任と為すことを得
 技師は上官の命を承け技術を掌る
第十二条 厚生省に体育官専任五人を置く奏任とす上官の命を承け体育運動に関する事務を掌る
第十三条 厚生属は専任官百二十一人を以て定員とす
第十四条 厚生省に技手専任二十四人を置く判任とす上官の指揮を承け技術に従事す
第十五条 厚生省に体育館補専任五人を置く判任とす上官の指揮を承け体育運動に関する事務に従事す
第十六条 厚生省に工場監査官、鉱務監査官及調停官を置き書記官、事務官、理事官又は技師を以て之に充つ
 工場監査官は上官の命を承け工場法施行、鉱業及砂鉱業以外の事業に於ける工業労働者最低年齢法施行並に工場法の適用を受くる工場に於ける退職積立金及退職手当法施行に関する事務を掌る
 鉱務監督官は上官の命を承け鉱夫に関する事務、鉱山に於ける労働衛生に関する事務、鉱業及砂鉱業に於ける工業労働者最低年齢法施行に関する事務並に鉱業法の適用を受くる事業に於ける退職積立金及退職手当法施行に関する事務を掌る
 調停官は上官の命を承け労働争議調停に関する事務を掌る
第十七条 厚生省に工場監督官補、鉱務監督官補及調停官補を置き属又は技手を以て之に充つ
 工場監督官補は上官の指揮を受け工場法施行、鉱業及砂鉱業以外の事業に於ける工業労働者最低年齢法施行並に工場法の適用を受くる工場に於ける退職積立金及退職手当法施行に関する事務に従事す
 鉱務監督官補は上官の指揮を承け鉱夫に関する事務、鉱山に於ける労働衛生に関する事務、鉱業及砂鉱業に於ける工業労働者最低年齢法施行に関する事務並に鉱業法の適用を受くる事業に於ける退職積立金及退職手当法施行に関する事務に従事す
 調停官補は上官の指揮を承け労働争議調停に関する事務に従事す
   付 則
本令は公布の日より之を施行す
社会局官制は之を廃止す
(国立公文書館:厚生省官制制定社会局官制廃止(第二百五十四号ヲ以テ本号中改...) 

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