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緊急施策措置要綱 1945年01月11日 

緊急施策措置要綱(原文:ひらがな、一部新字体化)

                 昭和二十年一月十一日
                 最高戦争指導会議決定
                 昭和二十年一月十二日
                 閣議決定
      緊急施策措置要綱
防衛と一般行政との吻合並施策運営の迅速果敢と浸透実践とを図り国内総力を挙けて生産及防衛の一体的強化を期する為左の緊急施策を実施す
一、地方行政協議会の区域及軍管区及鎮守府管区との間に必要なる調整を加ふ
二、地方行政協議会長と軍司令官及鎮守府指令長官との間に密に連繋の方途を講し防衛の完璧並戦力増強の為必要なる軍事と行政一般との吻合推進を図る
三、陸海軍及各省権限の地方移譲を更に拡大す
四、地方行政協議会長の区域内地方長官及各特殊地方行政機関の長に対する権限並軍司令官及鎮守府司令長官等の管内軍機関に対する権限を強化拡大す
五、地方行政協議会長の補佐機関を整備す
六、民間機構に対しても右に照応する体制を採らしむ
七、右の体制に依り中央の方針に基き差当り実行すへき重点施策左の如し
 (一)防空態勢の強化
  敵の空襲愈々激化するの情勢に対応し各地域の防空態勢を飛躍的に強化せしめ特に軍官民防空の一体化を図る
 (二)軍需工場等の企業の再整備と分散疎開
  防衛の強化並労務、資材等の徹底的戦力化を図る為軍需工場等の企業再整備と分散疎開(地下移転を含む)とを徹底的に実施すると共に此等工業の地域的総合自立性の向上に努む
 (三)食糧の飛躍的増産と自給態勢の強化
  食糧に関しては国内自給の飛躍的増強に努む
 (四)勤労態勢の強化と国民皆働動員
  労務の動員及管理に関し一貫調整を強化すると共に当該区域内所要労働に付ては先づ当該区域内人的総動員に依り之か充足を図ることとし特に地方長官は労務の機動的運用並官民の組織的挺身出労を強力に指導するものとす尚軍に於ても積極的に部隊の出勤を考慮す
 (五)所在物資等の徹底的戦力化
  当該区域内所在物資等の現況を的確に把握し之が保護、利用等の処置を万全ならしむると共に特に緊急なる需要に対しては軍官民を通し臨機彼此融通の措置を講ず
八、本件は二月一日より発足する如く準備を促進す
(国立公文書館:昭和20年1月11日 緊急施策措置要綱)

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