五榜の掲示(ひらがな、一部新字体化、括弧は筆者追加) 第一札(五倫道徳遵守) 定 一 人たるもの五倫の道を正しくすへき事 一 ■寡弧独■のものを憫むへき事 一 人を殺し家を焼き財を盗む等の悪業ある間敷事 慶応四年三月 太 政 官 第二札(徒党・強訴・逃散禁止) 定 何事に由らす宜しからさる事に大勢申合せ候を徒党と唱へ徒党して強て願ひ事企るを強訴といひ或は申合せ居町居村を立退き候を逃散と申す堅く御法度たり若右類の儀之れあらは早々其筋の役所へ申出へし御褒美下さるへく事 慶応四年三月 太 政 官 第三札(切支丹・邪宗門厳禁) 定 一 切支丹邪宗門の儀は堅く御制禁たり若不審なる者有之は共筋之役所へ可申出御褒美可被下事 慶応四年三月 太 政 官 第四札(万国公法履行) 覚 今般 王政御一新に付 朝廷の御条理を追ひ外国御交際の儀被 仰出諸事於 朝廷直に御取扱被為成万国の公法を以条約御履行被為在候に付ては全国の人民 叡旨を奉戴し心得違無之様被 仰付候自今以後猥りに外国人を殺害し或は不心得の所業等いたし候ものは 朝命に悖り御国難を醸成し候而巳ならす一旦 御交際被 仰出候各国に対し 皇国の御威信も不相立次第甚以不居至極の儀に付其罪の軽重に随ひ士列のものと雖も削士籍至当の典刑に被処候条銘々奉 朝命猥りに暴行の所業無之様被 仰出候事 三 月 太 政 官 第五札(郷村脱走禁止) 覚 王政御一新に付ては速に天下御平定万民安堵に至り諸民其所を得候様 御煩慮被為 在候に付此折柄天下浮浪の者有之候様にては不相済候自然今日の形勢を窺ひ猥に士民とも本国を脱走いたし候儀堅く被差留候万一脱国の者有之不埒の所業いたし候節は主宰の者落度たるへく候尤此御時節に付無上下 皇国の御為又は主家の為筋等存込建言いたし候者は言路を開き公正の心を以て其旨趣を画させ依願太政官代へも可申出被 仰出候事 但今後総て士奉公人不及申農商奉公人に至る迄相抱候節は出処篤と相糺し可申自然脱走の者相抱へ不埒出来御厄害に立至り候節は其主人の落度たるへく候事 三 月 ...