スキップしてメイン コンテンツに移動

北満鉄道譲渡協定 1935年03月23日

 北満鉄道讓渡協定(北満鉄道に関する「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の権利を満洲国に譲渡する為の満洲国「ソヴィエト」社会主義共和国連邦間協定)(訳文、ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


(訳文)

   北滿鐵道(東支鐵道)ニ關スル「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ權利ヲ滿洲國ニ譲渡スル爲ノ滿洲國「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦間協定

(前文省略)

   第一条

「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府は同政府が北満鉄道(東支鉄道)に関して有する一切の権利を満洲国政府に譲渡すべく満洲国政府は右に対する代償として日本国通貨一億四千万(一四〇、〇〇〇、〇〇〇)円の額を「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府に支払ふべし

   第二条

北満鉄道(東支鉄道)に関する「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府の一切の権利は本協定実施と同時に満洲国政府に移転すべく且之と同時に北満鉄道(東支鉄道)は満洲国政府の完全なる占有及単独の管理の下に置かるべきものとす

   第三条

一 本協定実施と同時に「ソヴィエト」社会主義共和国連邦人民たる北満鉄道(東支鉄道)管理機関の高級職員は其の職を解かるべし右鉄道管理機関の右高級職員は其の管掌せる記録、帳簿、文書及書類を種類の如何を問はず総て右鉄道の新管理機関に於ける夫々の後任者に引渡すべし

 本条に使用せらるる「北満鉄道(東支鉄道)管理機関の高級職員」なる語は左の者を表示するものとす

(甲) 各理事及監事

(乙) 管理局長及副管理局長

(丙) 稽核局副局長

(丁) 理事会、監事会、稽核局及管理局の各処長及副処長 各特務委員及特務工程師 各科及各分科の高等委員、顧問、科長及分科長

二 右鉄道の平常の機能を確保する目的を以て「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府は「ソヴィエト」社会主義共和国連邦人民たる右鉄道管理機関の高級職員中より左の者を本協定実施の日より一月間顧問として新管理機関の用に供することに同意す

(甲) 管理局長

(乙) 管理局総務処長

(丙) 管理局機務処長

(丁) 管理局財務処長

(戊) 管理局商務処長

三 本協定実施後に於ては何時にても満洲国政府は左の者の何れか又は全部を解雇することを得

(甲) 鉄道管区、停車場及機関庫の各主任

(乙) 右鉄道の左記各附帯事業の主任

イ 林区及伐出作業

ロ 炭坑

ハ 発電所

ニ 印刷所

ホ 商務処付帯事業

ヘ 在哈爾濱苗圃及温室

ト 総工廠

チ 洗毛工場及水壓梱包工場

リ 哈爾濱水道

ヌ 清涼飲料製造工場

ル 製材所

ヲ 大豆混合保管業

ワ 屑物浄化工場

カ 「グランド、ホテル」

ヨ 休養所及療養所

タ 病院及診療所

レ 図書館

ソ 経済調査局

四 本条一に掲げらるる者は本協定実施後一月間満洲国に留り且其の鉄道宿舎を保持するの権利を有すべし

 本条二に掲げらるる者は本協定実施後二月間満洲国に留り且其の鉄道宿舎を保持するの権利を有すべし

 本条三に依り解雇せられたる者は解雇の日より一月間正規の俸給を受くるの権利を有すべし右の者は解雇の日より二月間満洲国に留り且其の鉄道宿舎を保持するの権利を有すべし

   第四条

満洲国政府は千九百三十四年三月二十二日「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府の代表部が日本国外務大臣を通じて満洲国政府の代表部に提出したる北満鉄道(東支鉄道)の千九百三十三年十二月三十一日現在の資産及負債表に基き右鉄道の資産及負債を継承すべし尤も右表は之に掲げられたる資産及負債が同表の日付より最後の表の日付に至る迄に受けたる変化を示す為且千九百三十四年一月一日及其の後発生したる新なる資産及負債を示す為千九百三十五年三月十七日及三月二十一日作成せられたる表に依り補足せられたるものとす

千九百二十四年五月三十一日北京に於て署名せられたる「ソヴィエト」社会主義共和国連邦及支那共和国間諸問題の解決の為の大綱に関する協定第九条(四)の規定及千九百二十四年九月二十日奉天に於て署名せられたる「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府及支那共和国東三省自治政府間の協定第一条(三)の規定は引続き有効なるものとす

   第五条

「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府は在哈爾濱同連邦総領事館用として左の財産を永久且無償の貸付に依り維持するの権利を有すべし

イ 現在右総領事館に依り占有せられ居る土地及建物

 所在地 秦家崗耀景街

 面積 一四、八七三・六八平方メートル

 建物 事務所第千四十九号 二、一七四・九〇平方メートル

    官舎第千四十七号 六八五・三七平方メートル

    官舎第千四十八号 一、四四七・六一平方メートル

    自動車車庫及附属家屋第千五十一号 二四五・八八平方メートル

    守衛詰所第千五十二号 三八・九〇平方メートル

ロ 現在右総領事館の職員に依り占有せられ居る土地及建物

 所在地 秦家崗海城街

 面積 二、五三〇平方メートル

 建物 第九百三十四号 二五八・五一平方メートル

左の財産は本協定実施の日に於て在哈爾濱「ソヴィエト」社会主義共和国連邦総領事に対し無償且無期限にて貸付らるべく左に定むる目的にのみ使用せらるる為直に在哈爾濱「ソヴィエト」社会主義共和国連邦居留民団の占有及管理の下に置かるべし

イ 右居留民団の初等及中等教育の為に使用せらるべき哈爾濱道裡商務街第三十五号に在る北満鉄道(東支鉄道)第四学校並に同所所在の建物及財産

ロ 第九百四十九号の番号にて知られ居る土地(哈爾濱道裡高士街と警察街との角)及右土地に在る一切の建物にして将来病院として使用せらるべきもの

本協定実施の日より一月以内に在哈爾濱北満鉄道(東支鉄道)図書館の蔵書中より満洲国の地方官憲と在哈爾濱「ソヴィエト」社会主義共和国連邦総領事との合意に依り前記第四学校用として図書を選定すべし斯く選定せられたる図書は右学校に譲渡せらるべきものとす

   第六条

北満鉄道(東支鉄道)に依り占有せらるる財産にして「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府に依り同政府に属し且右鉄道に属せずと主張せらるるもの及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の領域内に在る財産にして満洲国政府に依り北満鉄道(東支鉄道)に属すと主張せらるるものは夫々の政府に依り互に他方の政府の為に放棄せられたるものと看做され将来何れの政府も右財産に関し他方の政府に対して何等の要求を提起せざるべし

右規定は現在満洲里に在る「トランスバイカル」鉄道の財産(建物及其の敷地並に他の鉄道財産)及現在綏芬河に在る「ウスリー」鉄道の財産にして現に夫々右両鉄道に依り占有せられ且右鉄道の管理下に於て其の財産として残るべきものには適用せられざるべし

   第七条

本協定第一条に掲げらるる日本国通貨一億四千万(一四〇、〇〇〇、〇〇〇)円の額の中四千六百七十万(四六、七〇〇、〇〇〇)円の額は本協定第八条の規定に従ひ現金にて支払はるべく残額九千三百三十万(九三、三〇〇、〇〇〇)円の決済は本協定第九条の規定に従ひ「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府に引渡さるる物品に対する満洲国政府の支払を以て行はるべし

   第八条

本協定第七条の規定に従ひ現金にて支払はるべき四千六百七十万(四六、七〇〇、〇〇〇)円の額の中二千三百三十万(二三、三〇〇、〇〇〇)円の額は本協定の署名と同時に支払はるべし

残額二千三百四十万(二三、四〇〇、〇〇〇)円及年三分の単利は満洲国政府の国庫証書を以て満洲国政府より「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府に支払はるべし右国庫証書は後記の額にて後記の日を支払期日として発行せらるべし即ち千九百三十五年十二月二十三日を支払期日とする六百三十七万六千五百(六、三七六、五〇〇)円、千九百三十六年九月二十三日を支払期日とする六百二十四万四千八百七十五(六、二四四、八七五)円、千九百三十七年六月二十三日を支払期日とする六百十一万三千二百五十(六、一一三、二五〇)円、千九百三十八年三月二十三日を支払期日とする五百九十八万千六百二十五(五、九八一、六二五)円 前記の満洲国政府の国庫証書は「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府の為に発行せられ且本協定の署名と同時に満洲国政府の代表者より「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府の代表者に交付せらるべく株式会社日本興業銀行に於て支払はるべし

本条に規定せらるる第二回及其の後の各割賦金の支払期日の前日の「ロンドン」に於ける円及瑞西「フラン」の各為替相場に基き算出せらるる瑞西「フラン」にて示さるる円の為替相場が本協定実施の日の「ロンドン」に於ける円及瑞西「フラン」の各為替相場に基き算出せらるる瑞西「フラン」にて示さるる円の為替相場に比較して八分以上低きか又は高きときは前記割賦金の額は瑞西「フラン」にて示さるる割賦金の価値を本協定実施の日に於けるものと同一ならしむるが如く場合に応じて増加又は減少せらるべし

瑞西「フラン」の現在の金平価(一瑞西「フラン」は純金一グラム三十一分の九に相当す)が変更せられ又は瑞西「フラン」の金兌換が停止せらるるときは前項に規定せらるる方法に代り左の方法が採用せらるべし

本条に規定せらるる第二回及其の後の各割賦金の支払期日の前日の「ロンドン」に於ける金の価格及円の為替相場に基き算出して当該割賦金の額に等しき価値を有する純金の重量が本協定実施の日の「ロンドン」に於ける金の価格及円の為替相場に基き算出して右割賦金に等しき価値を有する純金の重量に比較して八分以上少きか又は多きときは右賦課金の額は純金にて示さるる割賦金の価値を本協定実施の日に於けるものと同一ならしむるが如く場合に応じて増加又は減少せらるべし

   第九条

(支払方法に関する規定、省略)

   第十条

(解雇される従業員に関する規定、省略)

   第十一条

(解雇される従業員の退職金に関する規定、省略)

   第十二条

「北満鉄道(東支鉄道)」なる語は之に属する一切の権利、事業及財産を包含するものとす

   第十三条

満洲国政府及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府は両国間の交通及運輸を増進し且容易ならしむる目的を以て本協定実施後三月以内に旅客、手荷物及貨物の通過輸送、「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の鉄道停車場と北満鉄道(東支鉄道)停車場との間に於ける旅客、手荷物及貨物に付ての直通輸送並に技術的条件の許す限り「ウスリー」鉄道と北満鉄道(東支鉄道)との間に於ける貨物の積換なき綏芬河停車場経由の直通輸送に関する問題の解決に付規定する別約を締結すべし

右三月の期間内に両国政府は更に従来北満鉄道(東支鉄道)の運用せる電信路と「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の電信路との間に於ける電信連絡に付規定する別約を締結すべし

   第十四条

本協定は署名の日より実施せらるべし

(以下署名等省略)

(国立公文書館:標題:五、北満鉄道(東支鉄道)ニ関スル「ソヴィエト」社会主義共和国連邦ノ権利・・・ B02130950100)



満洲國及「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ各代表者ト共ニ署名調印シタル議定書


条約第二号

    議定書

(前文省略)

   第一条

「ソヴィエト」社会主義共和国連邦通商代表部が北満鉄道(東支鉄道)に関する「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の権利を満洲国に譲渡する為の満洲国「ソヴィエト」社会主義共和国連邦間協定第九条に従ひ日本国又は満洲国に於て生産又は製造せられたる物品を右両国の何れかの臣民又は法人より購入する場合には日本国及満洲国の政府は前記協定実施の日より六月以内に購入契約が締結せらるることを確保する様商議が公正且正常に行はるる為及購入契約が正確に履行せらるる為通商代表部に対し能ふ限の便宜及援助を供与すべし

本議定書に於て「日本国又は満洲国に於て製造せられたる物品」及「日本国又は満洲国の法人」なる語は夫々前記協定第九条に依り定められたる意味に使用せらるるものとす

   第二条

日本国政府及満洲国政府は前記臣民又は法人が通商代表部との契約に関する商議に於て不当に高き価格を要求し以て契約の締結を不可能ならしめざる為関係官憲を通じ必要なる措置を執るの用意あることを宣言す

「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府は通商代表部が日本国又は満洲国の臣民又は法人との契約に関する商議に於て不当に低き価格を要求し以て契約の締結を不可能ならしめざる為通商代表部に対し必要なる措置を執るの用意あることを宣言す

   第三条

購入契約の締結に関する商議に於て通商代表部及日本国又は満洲国の臣民又は法人が物品の価格並に物品に対する支払及其の引渡に関する他の条件に付意見の一致を見るに至らざる場合には商議の当事者は共同又は単独にて常設調停委員会に対し意見の不一致に関し調停を申請することを得右委員会は本議定書実施後十日以内に設置せらるべく右委員会は日本国政府に依り任命せらるる一名の委員、満洲国政府に依り任命せらるる一名の委員及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦政府に依りにんめいせらるる二名の委員を以て構成せらるべし

調停員会は右申請を受理したるときは其の公正と認むる意見を定め商議の当事者の何れか一方又は双方に対し右意見に従ひ契約を締結することを勧奨すべし物品の価格に関する申請の場合に在りては委員会は右意見の決定に当り基準として日本国又は満洲国の適当なる取引所に於ける当該物品の価格を採用し右価格なき場合には輸出価格を採用し輸出価格なき場合には各場合に応じ日本国又は満洲国の適当なる主要市場に於ける一般卸売価格を採用すべく右に掲げられたる取引所に於ける価格、輸出価格又は卸売価格を基礎として価格を定むること能はざる物品に関しては委員会は当該物品に関し入手し得らるる情報の全部を基礎として公正なる価格を定むべし

調停委員会に依る一切の事件の審理は委員会が申請を受理したる日より六週間以内に完了せらるべし

   第四条

通商代表部及日本国又は満洲国の臣民又は法人が其の間に締結せる購入契約に依り規定せらるる義務の履行に関し意見の不一致を来したる場合には当事者は共同又は単独にて第三条第一項に掲げらるる調停委員会に対し意見の不一致に関し調停を申請することを得但し当該契約中に各当事者が右申請を為すことを得る旨の規定ある場合に限る

調停委員会は右申請を受理したるときは当該契約の規定及意見の不一致に関係ある一切の事項を審査し其の公正と認むる意見を定め当事者の何れか一方又は双方に対し右意見に従ひ意見の不一致を解決することを勧奨すべし

本条の場合に於ける調停委員会の事件審理期間は第三条の場合に同じ

   第五条

調停委員会が所定の審理期間内に決定に到達し得ざる場合又は到達する決定が二週間以内に困難を除去し得ざるときは事件は意見不一致の当事者の何れか一方又は双方の申請に依り公正且妥当なる解決の為関係締約政府間の商議に移さるべし但し右は当事者間に予め其の旨の合意ある場合に限る

   第六条

両関係当事者が希望するときは契約其の他に於て本議定書第三条、第四条及第五条の規定に従ひ調停委員会に依り又は関係締約政府間の商議に依り到達せる決定は両当事者を拘束すべき旨を定むる取極を設定することを得るものとす此の場合に於ては右決定は右取極に依り予見せらるる態様に於て効力を生ずべし

   第七条

本議定書は署名の日より実施せらるべし


右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本議定書に署名調印せり

(以下、日付署名省略)

(官報:1935年03月25日)

コメント

このブログの人気の投稿

徴兵の詔(徴兵令詔書及ヒ徴兵告諭) 1872年12月28日

徴兵令詔書及び徴兵告諭(口語訳)  今回、全国募兵の件に付き、別紙の詔書の通り徴兵令が仰せ出され、その定めるところの条々、各々天皇の趣意を戴き、下々の者に至るまで遺漏なきように公布しなさい。全体として詳細は陸軍・海軍両省と打ち合わせをしなさい。この趣旨を通達する。  ただし、徴兵令および徴募期限については追って通達するべきものとする。 (別紙) 詔書の写し   私(明治天皇)が考えるに、往昔は郡県の制度により、全国の壮年の男子を募って、軍団を設置し、それによって国家を守ることは、もとより武士・農民の区別がなかった。中世以降、兵は武士に限られるようになり、兵農分離が始まって、ついに封建制度を形成するようになる。明治維新は、実に2千有余年来の一大変革であった。この際にあたり、海軍・陸軍の兵制もまた時節に従って、変更しないわけにはいかない。今日本の往昔の兵制に基づいて、海外各国の兵制を斟酌し、全国から兵を徴集する法律を定め、国家を守る基本を確立しようと思う。おまえたち、多くのあらゆる役人は手厚く、私(明治天皇)の意志を体して、広くこれを全国に説き聞かせなさい。 明治5年(壬申)11月28日  わが国古代の兵制では、国をあげて兵士とならなかったものはいなかった。有事の際は、天皇が元帥となり、青年壮年兵役に耐えられる者を募り、敵を征服すれば兵役を解き、帰郷すれば農工商人となった。もとより後世のように両刀を帯びて武士と称し、傍若無人で働かずに生活をし、甚だしい時には人を殺しても、お上が罪を問わないというようなことはなかった。  そもそも、神武天皇は珍彦を葛城の国造に任命し、以後軍団を設け衛士・防人の制度を始めて、神亀天平の時代に六府二鎮を設けて備えがなったのである。保元の乱・平治の乱以後、朝廷の軍規が緩み、軍事権は武士の手に落ち、国は封建制の時代となって、人は兵農分離とされた。さらに後世になって、朝廷の権威は失墜し、その弊害はあえていうべきものもなく甚だしいものとなった。  ところが、明治維新で諸藩が領土を朝廷に返還し、1871年(明治4)になって以前の郡県制に戻った。世襲で働かずに生活していた武士は、俸禄を減らし、刀剣を腰からはずすことを許し、士農工商の四民にようやく自由の権利を持たせようとしている。これは上下の身分差をなくし、人権を平等にしようとする方法で、とりもな...

日清修好条規 1871年09月13日

内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より...

帝国陸海軍作戦計画大綱 1945年01月25日

 帝国陸海軍作戦計画大綱(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)  帝国陸海軍作戦計画大綱(昭和二十年一月二十日)    目 次(略)    第一 作戦方針  帝国陸海軍は機微なる世界情勢の変転に莅み重点を主敵米軍の進攻破摧に指向し随処縦深に亙り敵戦力を撃破して戦争遂行上の要域を確保し以て敵戦意を挫折し以て戦争目的の達成を図る    第二 作戦の指導大綱 一 陸海軍は戦局愈々至難なるを予期しつつ既成の戦略態勢を活用し敵の進攻を破摧し速に自主的態勢の確立に努む   右自主的態勢は今後の作戦推移を洞察し速に先つ皇土及之か防衛に緊切なる大陸要域に於て不抜の邀撃態勢を確立し敵の来攻に方りては随時之を撃破すると共に其の間状況之を許す限り反撃戦力特に精錬なる航空戦力を整備し以て積極不羈の作戦遂行に努むるを以て其の主眼とす 二 陸海軍は比島方面に来攻中の米軍主力に対し靭強なる作戦を遂行し之を撃破して極力敵戦力に痛撃を加ふると共に敵戦力の牽制抑留に努め此の間情勢の推移を洞察し之に即応して速に爾他方面に於ける作戦準備を促進す 三 陸海軍は主敵米軍の皇土要域方面に向ふ進攻特に其の優勢なる空海戦力に対し作戦準備を完整し之を撃破す   之か為比島方面より皇土南陲に来攻する敵に対し東支那海周辺に於ける作戦を主眼とし二、三月頃を目途とし同周辺要地に於ける作戦準備を速急強化す   敵の小笠原諸島来攻(硫黄島を含む)に対し極力之か防備強化に努む   又敵一部の千島方面進攻を予期し又状況に依り有力なる敵の直接本土に暴進することあるを考慮し之に対処し得るの準備に遺憾なからしむ 四 陸海軍は進攻する米軍主力に対し陸海特に航空戦力を総合発揮し敵戦力を撃破し其の進攻企図を破摧す 此の間他方面に在りては優勢なる敵空海戦力の来攻を予想しつつ主として陸上部隊を以て作戦を遂行するものとす   敵戦力の撃破は渡洋進攻の弱点を捕へ洋上に於て痛撃を加ふるを主眼とし爾後上陸せる敵に対しては補給遮断と相俟つて陸上作戦に於て其の目的を達成す 此の際火力の集団機動を重視す   尚敵機動部隊に対しては努めて不断に好機を捕捉し之を求めて漸減す 五 支那大陸方面に在りては左に準拠し主敵米軍に対する作戦を指導す (一) 支那大陸に於ける戦略態勢を速に強化し東西両正面より進攻する敵特に米軍を撃破して其の企図を破摧し皇土を中核とする大...