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米穀配給統制法 1939年04月11日

 米穀配給統制法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


法律第八十一号

   米穀配給統制法

第一条 米穀の買入若は売渡又は其の代理若は媒介の業務を行はんとする者は勅令の定むる所に依り政府の許可を受くべし但し勅令を以て定むる者は此の限に在らず

第二条 前条の許可を受けたる者命令の定むる所に依り正当の事由なくして業務を開始せざるとき又は其の業務を休止したるときは政府は其の許可を取消すことを得

第三条 政府第一条の許可をうけたる者の行為が本法若は本法に基きて発する命令又は之に基きて為す処分に違反し又は公益を害し若は害するの虞ありと認むるときは其の許可を取消し又は其の業務を制限し若は停止することを得

第四条 政府は特に必要ある場合米穀の買入若は売渡又は其の代理若は媒介を為す者に対し勅令の定むる所に依り米穀の配給統制に関する命令を為すことを得

 政府必要と認むるときは何時にても第一条の許可を受けたる者に対し其の業務に関する諸般の報告を命じ又は其の帳簿物件を検査することを得

第五条 米穀市場は日本米穀株式会社に限り之を開設することを得

 日本米穀株式会社米穀市場を開設せんとするときは命令の定むる所に依り市場毎に政府の認可を受くべし

 何人と雖も米穀市場に類似の施設を為し又は其の施設に依り取引を為すことを得ず

第六条 米穀市場の売買取引は差金の授受に依り其の決済を為すことを得ず但し履行期に於ける決済にして勅令を以て定むるものに付ては此の限に在らず

 日本米穀株式会社は命令の定むる所に依り米穀市場の売買取引に付証拠金を納めしめ又は手数料を徴収することを得

 米穀市場の売買取引の方法其の他売買取引に関し必要なる事項は勅令を以て之を定む

第七条 米穀市場の売買取引の価格は勅令の定むる所に依り米穀統制法第二条の最低価格及最高価格に準拠して定むる価格の範囲を超ゆることを得ず

第八条 米穀市場の売買取引は其の市場の市場員に限り之を為すことを得但し命令を以て定むる場合に於ては此の限に在らず

 市場員たらんとする者は命令の定むる所に依り政府の免許を受くべし

第九条 左の各号の一に該当する者は前条第二項の免許を受くることを得ず但し勅令を以て定むる者は此の限に在らず

一 帝国臣民又は帝国法令に依り設立したる法人に非ざる者

二 破産者にして復権を得ざるもの

三 禁錮以上の刑に処せられ其の執行を終り又は執行を受くることなきに至りたる後三年を経過するに至る迄の者

四 米穀市場の市場員にして除名せられ除名の日より三年を経過せざるもの

五 第二十条の規定に依り免許を取消され取消の日より三年を経過せざる者

六 営業に関し成年者と同一の能力を有せざる未成年者又は禁治産者にして其の法定代理人が前各号の一に該当するもの

七 法人にして其の業務を執行する役員中第一号乃至第五号の一に該当する者あるもの

第十条 米穀市場の市場員前条第一号乃至第四号、第六号若は第七号に該当するに至りたるとき又は日本米穀株式会社の役員と為りたるときは勅令の定むる所に依り免許は其の効力を失ふ

 政府は不正の手段に依り第八条第二項の免許を受けたる者あることを発見したるときは其の免許を取消すことを得

第十一条 本法に規定するものの外市場員の資格其の他市場員に関し必要なる事項は勅令を以て之を定む

第十二条 市場員は命令の定むる所に依り日本米穀株式会社に身元保証金を納付すべし

第十三条 日本米穀株式会社は米穀市場の秩序を保持する為定款の定むる所に依り市場員の業務を停止し、千円以内の過怠金を課し又は政府の認可を受け市場員を除名することを得

第十四条 市場員は業務を廃止したる後と雖も米穀市場の売買取引の結了及監督の目的の範囲内に於ては取引結了後二週間を経過する迄仍業務を廃止せざるものと看做す

 市場員死亡し若は解散し又は其の免許が取消され若は効力を失ひたる場合に於ては米穀市場の売買取引の結了に至る迄亦前項に同じ

 前二項の場合に於て市場員の行為を為す者なきときは日本米穀株式会社は定款の定むる所に依り他人をして其の行為を為さしむることを得

第十五条 市場員は其の米穀市場に依らずして米穀の売買取引を為すことを得ず但し勅令を以て定むる場合に於ては此の限に在らず

 前項但書の場合に於ける米穀の売買取引に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

第十六条 市場員は委託を受けたる米穀市場の売買取引に付米穀市場に於て其の売付、買付又は受渡を為さずして之を為したると同一又は類似の計算を以て委託者に対し其の決済を為すことを得ず

 前項の規定に違反したる市場員は日本米穀株式会社定款の定むる所に依り之に二週間以上業務停止を命じ又は之を除名すべし

第十七条 日本米穀株式会社は政府の認可を受け米穀市場の売買取引の違約より生ずる損害に付賠償の責に任ずることを得

 日本米穀株式会社前項の規定に依り損害を賠償したるときは違約者に対し其の賠償したる金額及之に要したる費用に付求償権を有す

第十八条 日本米穀株式会社は証拠金及身元保証金に付他の債権者に対し優先権を有す

 市場員に対し米穀市場の売買取引の委託を為したる者は委託契約に基きて生ずる債権に関し其の市場員の身元保証金に付他の債権者に対し優先権を有す

 第一項の優先権は前項の優先権に対し優先の効力を有す

第十九条 政府は市場員に対し米穀市場の売買取引に関し米穀の配給統制上必要なる命令を為すことを得

 政府必要と認むるときは何時にても市場員に対し業務に関する諸般の報告を命じ又は市場員の帳簿物件を検査することを得

第二十条 政府市場員の行為が本法若は本法に基きて発する命令又は之に基きて為す処分に違反し又は公益を害し若は害するの虞ありと認むるときは其の免許を取消し又は其の業務を制限し若は停止することを得

第二十一条 日本米穀株式会社は米穀の配給の統制を図る為必要なる事業を営むことを目的とする株式会社とす

第二十二条 日本米穀株式会社の資本は三千万円とす但し政府の認可を受け之を増加することを得

第二十三条 日本米穀株式会社の株式は記名式とし政府、公共団体、帝国臣民又は帝国法人にして社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が外国人又は外国法人に属せざるものに限り之を所有することを得

第二十四条 政府は千五百万円を限り日本米穀株式会社に出資すべし

 前項の規定に依る出資払込金は米穀需給調節特別会計の歳出とし該出資に因り政府の取得したる株式は同特別会計の所属物件とす

 政府所有の株式の株金払込は其の他の株式の株金払込と之を異にすることを得

第二十五条 日本米穀株式会社に非ざるものは日本米穀株式会社又は之に類似の名称を以て其の商号と為すことを得ず

第二十六条 (役員に関する規定、第二十八条まで省略)

第二十七条 

第二十八条 

第二十九条 日本米穀株式会社は左の事業を営むものとす

 一 米穀市場の開設

 二 政府の委託に依る米穀の買入又は売渡

 三 前二号の事業に附帯する事業

 四 其の他本会社の目的達成上必要なる事業

 日本米穀株式会社前項第三号又は第四号の事業を営まんとするときは政府の認可を受くべし

 日本米穀株式会社は命令の定むる所に依り政府の認可を受くるに非ざれば其の事業の全部又は一部を廃止し又は休止することを得ず

第三十条 日本米穀株式会社の役員又は使用人は勅令を以て定むる場合を除くの外何人の名義を以てするを問はず米穀市場の売買取引を為し又は其の委託を為すことを得ず

 日本米穀株式会社の役員又は使用人は市場員との間に資金の供与、損益の分配其の他市場員の業務に付特別の利害関係を有することを得ず

第三十一条 政府は日本米穀株式会社の業務を監督す

第三十二条 定款の変更、利益金の処分、社債の募集、合併及解散の決議は政府の認可を受くるに非ざれば其の効力を生ぜず

第三十三条 政府は日本米穀株式会社監理官を置き日本米穀株式会社の業務を監視せしむ

 日本米穀株式会社監理官は何時にても日本米穀株式会社の金庫、帳簿及諸般の文書物件を検査することを得

 日本米穀株式会社監理官必要と認むるときは何時にても日本米穀株式会社に命じ業務に関する諸般の計算及状況を報告せしむることを得

 日本米穀株式会社監理官は株主総会其の他諸般の会議に出席し意見を陳述することを得

第三十四条 日本米穀株式会社は毎営業年度に於ける配当し得べき利益金額が政府以外の者の所有する株式の払込みたる株金額に対し年百分の六の割合に達する迄政府の所有する株式に対し利益の配当を為すことを要せず

 日本米穀株式会社の毎営業年度に於ける配当し得べき利益金額が政府以外の者の所有する株式の払込みたる株金額に対し年百分の六の割合を超過する場合に於て政府以外の者の所有する株式に対し年百分の六の割合を超え利益配当を為さんとするときは其の超過する利益金額は利益配当が総株式に付払込みたる株金額に対し均一の割合に達する迄政府以外の者の所有する株式の払込みたる株金額及政府の所有する株式の払込みたる株金額に対し一と四との割合を以て之を配当すべし

第三十五条 政府は日本米穀株式会社に対し米穀の配給統制上必要なる命令を為すことを得

 政府は日本米穀株式会社に対し其の業務及財産の状況に関し報告を為さしめ、検査を為し其の他監督上必要なる命令又は処分を為すことを得

第三十六条 政府は日本米穀株式会社の決議又は役員の行為が法令、法令に基きて為す処分若は定款に違反し又は公益を害し若は害するの虞ありと認むるときは決議の取消、役員の解任又は事業の停止若は禁止を為すことを得

第三十七条 (以下第五十一条まで罰則規定、省略)

第三十八条 

第三十九条 

第四十条 

第四十一条 

第四十二条 

第四十三条 

第四十四条 

第四十五条 

第四十六条 

第四十七条 

第四十八条 

第四十九条 

第五十条 

第五十一条 

第五十二条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条の規定は前二条の過料に之を準用す

   附 則

第五十三条 (以下第六十条まで省略)

第五十四条 

第五十五条 

第五十六条 

第五十七条 

第五十八条 

第五十九条 

第六十条 

(国立公文書館:米穀配給統制法制定取引所税法中改正(勅令第二百十二号、第五... ) 

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