スキップしてメイン コンテンツに移動

煙草専売法 1904年03月31日

  煙草専売法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


法律第十四号

   煙草專賣法

第一条 煙草の製造は政府に専属す

第二条 煙草は政府及政府の命を受けたる者に非されは之を輸入することを得す

第三条 煙草は政府の許可を受けたる者に非されは之を耕作することを得す

第四条 煙草耕作者の収穫したる葉煙草は政府之を収納す

第五条 煙草の耕作区域は政府之を定む

第六条 政府は毎年耕作すへき煙草の種類、耕作段別及葉煙草の賠償価格を定め予め之を公示す

第七条 煙草を耕作せむとする者は毎年煙草苗床の位置及坪数、煙草耕作地の位置及段別、煙草の種類、本数、乾燥場及蔵置場を定め政府に申請し許可を受くへし其の之を変更し又は耕作を廃止せむとするとき亦同し

第八条 相続に因るの外煙草の耕作を承継せむとするときは政府の許可を受くへし

 相続に因り煙草の耕作を承継したるときは政府に届出へし

第九条 煙草耕作者に非されは煙草苗を育成することを得す

 煙草苗の譲渡及譲受は命令の定むる所に依り政府の許可を受くへし

第十条 煙草耕作者は政府の定むる方法及手続に依り其の耕作を完成する義務を負ふ 

第十一条 政府は収穫前に於て葉煙草の収穫量目又は葉数を査定す

 前項査定の場合に於ては煙草耕作者は之に立会ふへし若し立会はさるととは其の査定に対し異議を申立つることを得す

第十二条 煙草耕作者前条の量目又は葉数の査定に不服なるときは即時異議の申立を為すことを得

 異議の申立ありたるときは命令の定むる所に依り二人以上の鑑定人を選定し其の意見を徴し政府之を決定す

 異議申立人の主張に係る葉煙草の量目又は葉数と前項決定額との差か前条の査定額と前項決定額との差より大なるときは鑑定に関する費用は異議申立人の負担とす

第十三条 煙草耕作者は政府の許可を受くるに非されは第十一条の査定前に於て葉煙草を採取し又は幹根を抜除することを得す第十二条に依り異議の申立を為したる者其の決定前に於て亦同し

第十四条 煙草耕作者一番葉の収穫を終りたるときは直に其の幹根を抜除し其の幹に附著する葉煙草は之を廃棄すへし

 種子の採取又は二番葉の収穫を為さむとする者は政府の許可を受くへし

 前項の場合に於て採取又は収穫を終りたるときは第一項の処置を為すへし

第十五条 煙草耕作者の収穫したる葉煙草は乾燥調理の後政府に納付すへし

 納付の期日及場所は政府之を定む

 煙草耕作者の収穫したる葉煙草にして政府の収納に適せさるものは政府の承認を経て之を廃棄すへし

第十六条 煙草耕作者の納付したる葉煙草は鑑定人をして之を鑑定せしめ其の等級に依り賠償金を交付す

 煙草耕作者前項の鑑定に不服なるときは再鑑定を求むることを得但し賠償金の請求を為したるときは此の限に在らす

 再鑑定申立人の主張に係る葉煙草の等級と再鑑定等級との差か第一項の鑑定等級と再鑑定等級との差より大なるときは再鑑定に関する費用は其の申立人の負担とす

 再鑑定に関する規定は命令を以て之を定む

第十七条 煙草耕作者正当の事由なくして政府の査定若は決定したる量目又は葉数以上の葉煙草を納付せさるときは政府は其の不足額に対し第十八条第二項の規定に準して算定したる金額の三倍以下を納付せしむることを得

第十八条 煙草耕作者私に耕作段別を減少し又は耕作を廃止したるときは政府は其の減作地又は廃作地に生産すへき葉煙草の価格に相当する金額を納付せしむることを得

 前項葉煙草の価格は其の年に於ける近傍類似煙草耕作地の葉煙草生産額及之に対する賠償金額を標準とし之を算定す

第十九条 煙草耕作者其の耕作段別を減少し又は耕作を廃止したる場合に於て其の耕作を承継する者なきときは政府は其の現存する煙草又は煙草苗を廃棄せしむることを得

第二十条 煙草耕作者の葉煙草は其の耕作地、乾燥場、蔵置場又は其の収納官署の外他に之を運送することを得す

 政府は必要と認むるときは葉煙草運送の通路及時間を指定することを得

第二十一条 公共団体又は私人に於て試作場を特設し煙草の試作を為さむとするときは命令の定むる所に依り政府の許可を受くへし

 前項の試作に関しては第四条、第七条、第九条、第十五条、第十六条第一項及第十九条の規定を準用す

第二十二条 製造煙草は政府又は政府の指定したる煙草元売捌人若は煙草小売人に非されは之を販売することを得す

 煙草売捌人及煙草の販売に関する規定は命令を以て之を定む

第二十三条 煙草小売人は政府の定めたる価格を以てするに非されは製造煙草を消費者に販売することを得す

第二十四条 煙草売捌人は政府の封緘を施したる製造煙草の包裹を開披し若は之を改装し又は包裹の破損したる製造煙草を販売することを得す

第二十五条 輸出の為葉煙草又は製造煙草の売渡を請求する者あるときは政府は特に定めたる価格を以て之を売渡すことを得

 前項煙草の売渡を受けたる者は命令の定むる所に依り帳簿を調製し其の営業に関する事項を記載すへし

 輸出に供する煙草を製造せむとする者の為政府は一定の地域に於て煙草自由倉庫を設置し又は其の設置を特許することを得

 煙草自由倉庫及其の特許に関する規定は命令を以て之を定む

第二十六条 前条に依り輸出の為葉煙草又は製造煙草を買受けたる者は政府の指定したる期間内に輸出免状に外国仕向港に陸揚を為したることを証すへき書類を添へ政府に差出すへし

 正当の事由なくして前項の免状及書類を差出ささるときは政府は葉煙草に付ては第二十九条製造煙草に付ては第三十条の規定に依り相当金額を納付せしむ

第二十七条 輸出の為政府より買受けたる葉煙草又は製造煙草は輸出前之を他に譲渡し又は消費することを得す但し其の使用に適せさるに至りたるものは政府の許可を受けて之を廃棄することを得

第二十八条 輸出の為政府より買受けたる葉煙草又は製造煙草の輸出を廃止したるとき又は買受の日より一箇月を過き之を輸出せさるときは其の使用に適するものに限り政府之を収納し其の他は之を廃棄せしむ

 前項の収納を為すときは鑑定人をして鑑定せしめ償金を交付す但し其の賠償金は第二十五条に依る売渡価格に超過することを得す

第二十九条 本法の規定に依り輸出し、廃棄し及収納せられたる葉煙草並現在葉煙草の総量目か政府より買受けたる葉煙草の総量目に比し正当の事由なくして不足したるときは政府は輸出者をして其の不足額に対し第二十五条の売渡価格に相当する金額の四倍以下を納付せしむ

第三十条 本法の規定に依り輸出し、廃棄し及収納せられたる製造煙草並現在製造煙草の総量目か政府より買受けたる製造煙草の総量目に比し正当の事由なくして不足したるときは政府は輸出者をして其の不足額に対し第二十三条の売渡価格と第二十五条の売渡価格との差額に相当する金額の二倍以下を納付せしむ

第三十一条 政府は標本に供するものに限り葉煙草を交付し又は煙草の輸入を許可することを得

 標本に供する煙草は政府の許可を受け標本として他に譲渡し又は試験の用に供し又は廃棄するの外之を処分することを得す

第三十二条 健康上若は習慣上欠くへからさる製造煙草は自用に供するものに限り自用者に於て政府の許可を受け之を輸入することを得

第三十三条 輸出の為買受けたる煙草は政府の許可を受けたる場所に非されは之を蔵置することを得す

第三十四条 何人と雖本法に於て認めたる場合の外葉煙草、政府の証票を附せさる製造煙草又は煙草製造専用の器具機械及巻紙を所持し、譲渡し若は譲受くることを得す

 前項の物件は本法に依り没収する場合の外政府に於て之を処分す

第三十五条 何人と雖営業の目的を以て煙草に代用すへき物品を製造し又は販売することを得す

第三十六条 煙草製造専用の器具機械及巻紙は政府の許可を受けたる者に非されは之を製作し、販売し又は蔵置することを得す

第三十七条 煙草耕作者、試作者又は煙草製造専用の器具機械及巻紙の製作者、販売者若は蔵置者本法又は本法に基きて発する命令に違反したるときは政府は耕作、試作、蔵置又は営業の許可を取消すことを得

第三十八条 政府は煙草の苗床、耕作地、試作地、乾燥場、蔵置場又は煙草苗、煙草若は煙草製造器具機械及巻紙の所在と認むる場所又は煙草苗、煙草若は煙草製造器具機械及巻紙を検査し又は監督上必要の処分を為すことを得

 当該官吏は前項の検査に際し必要と認むるときは関係人をして之に立会はしむることを得

第三十九条 行政執行の手続に依り費用を納付せしむる場合に於て義務者に交付すへき金額あるときは之を差引することを得

第四十条 本法の規定に依り納付せしむへき金額の徴収に関しては国税徴収法の規定を準用することを得

第四十一条 (罰則、第六十七条まで省略)

第四十二条 

第四十三条 

第四十四条 

第四十五条 

第四十六条 

第四十七条 

第四十八条 

第四十九条 

第五十条 

第五十一条 

第五十二条 

第五十三条 

第五十四条 

第五十五条 

第五十六条 

第五十七条 

第五十八条 

第五十九条 

第六十条

第六十一条 

第六十二条 

第六十三条 

第六十四条 

第六十五条 

第六十六条 

第六十七条

   附 則

第六十八条(以下第八十九条まで省略)

(国立公文書館:煙草専売法・御署名原本・明治三十七年・法律第十四号 A03020588100)

コメント

このブログの人気の投稿

徴兵の詔(徴兵令詔書及ヒ徴兵告諭) 1872年12月28日

徴兵令詔書及び徴兵告諭(口語訳)  今回、全国募兵の件に付き、別紙の詔書の通り徴兵令が仰せ出され、その定めるところの条々、各々天皇の趣意を戴き、下々の者に至るまで遺漏なきように公布しなさい。全体として詳細は陸軍・海軍両省と打ち合わせをしなさい。この趣旨を通達する。  ただし、徴兵令および徴募期限については追って通達するべきものとする。 (別紙) 詔書の写し   私(明治天皇)が考えるに、往昔は郡県の制度により、全国の壮年の男子を募って、軍団を設置し、それによって国家を守ることは、もとより武士・農民の区別がなかった。中世以降、兵は武士に限られるようになり、兵農分離が始まって、ついに封建制度を形成するようになる。明治維新は、実に2千有余年来の一大変革であった。この際にあたり、海軍・陸軍の兵制もまた時節に従って、変更しないわけにはいかない。今日本の往昔の兵制に基づいて、海外各国の兵制を斟酌し、全国から兵を徴集する法律を定め、国家を守る基本を確立しようと思う。おまえたち、多くのあらゆる役人は手厚く、私(明治天皇)の意志を体して、広くこれを全国に説き聞かせなさい。 明治5年(壬申)11月28日  わが国古代の兵制では、国をあげて兵士とならなかったものはいなかった。有事の際は、天皇が元帥となり、青年壮年兵役に耐えられる者を募り、敵を征服すれば兵役を解き、帰郷すれば農工商人となった。もとより後世のように両刀を帯びて武士と称し、傍若無人で働かずに生活をし、甚だしい時には人を殺しても、お上が罪を問わないというようなことはなかった。  そもそも、神武天皇は珍彦を葛城の国造に任命し、以後軍団を設け衛士・防人の制度を始めて、神亀天平の時代に六府二鎮を設けて備えがなったのである。保元の乱・平治の乱以後、朝廷の軍規が緩み、軍事権は武士の手に落ち、国は封建制の時代となって、人は兵農分離とされた。さらに後世になって、朝廷の権威は失墜し、その弊害はあえていうべきものもなく甚だしいものとなった。  ところが、明治維新で諸藩が領土を朝廷に返還し、1871年(明治4)になって以前の郡県制に戻った。世襲で働かずに生活していた武士は、俸禄を減らし、刀剣を腰からはずすことを許し、士農工商の四民にようやく自由の権利を持たせようとしている。これは上下の身分差をなくし、人権を平等にしようとする方法で、とりもな...

日清修好条規 1871年09月13日

内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より...

帝国陸海軍作戦計画大綱 1945年01月25日

 帝国陸海軍作戦計画大綱(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)  帝国陸海軍作戦計画大綱(昭和二十年一月二十日)    目 次(略)    第一 作戦方針  帝国陸海軍は機微なる世界情勢の変転に莅み重点を主敵米軍の進攻破摧に指向し随処縦深に亙り敵戦力を撃破して戦争遂行上の要域を確保し以て敵戦意を挫折し以て戦争目的の達成を図る    第二 作戦の指導大綱 一 陸海軍は戦局愈々至難なるを予期しつつ既成の戦略態勢を活用し敵の進攻を破摧し速に自主的態勢の確立に努む   右自主的態勢は今後の作戦推移を洞察し速に先つ皇土及之か防衛に緊切なる大陸要域に於て不抜の邀撃態勢を確立し敵の来攻に方りては随時之を撃破すると共に其の間状況之を許す限り反撃戦力特に精錬なる航空戦力を整備し以て積極不羈の作戦遂行に努むるを以て其の主眼とす 二 陸海軍は比島方面に来攻中の米軍主力に対し靭強なる作戦を遂行し之を撃破して極力敵戦力に痛撃を加ふると共に敵戦力の牽制抑留に努め此の間情勢の推移を洞察し之に即応して速に爾他方面に於ける作戦準備を促進す 三 陸海軍は主敵米軍の皇土要域方面に向ふ進攻特に其の優勢なる空海戦力に対し作戦準備を完整し之を撃破す   之か為比島方面より皇土南陲に来攻する敵に対し東支那海周辺に於ける作戦を主眼とし二、三月頃を目途とし同周辺要地に於ける作戦準備を速急強化す   敵の小笠原諸島来攻(硫黄島を含む)に対し極力之か防備強化に努む   又敵一部の千島方面進攻を予期し又状況に依り有力なる敵の直接本土に暴進することあるを考慮し之に対処し得るの準備に遺憾なからしむ 四 陸海軍は進攻する米軍主力に対し陸海特に航空戦力を総合発揮し敵戦力を撃破し其の進攻企図を破摧す 此の間他方面に在りては優勢なる敵空海戦力の来攻を予想しつつ主として陸上部隊を以て作戦を遂行するものとす   敵戦力の撃破は渡洋進攻の弱点を捕へ洋上に於て痛撃を加ふるを主眼とし爾後上陸せる敵に対しては補給遮断と相俟つて陸上作戦に於て其の目的を達成す 此の際火力の集団機動を重視す   尚敵機動部隊に対しては努めて不断に好機を捕捉し之を求めて漸減す 五 支那大陸方面に在りては左に準拠し主敵米軍に対する作戦を指導す (一) 支那大陸に於ける戦略態勢を速に強化し東西両正面より進攻する敵特に米軍を撃破して其の企図を破摧し皇土を中核とする大...