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ハバロフスク議定書 1929年11月22日

 ハバロフスク議定書(内容見直し、概要のため)


(概要)

一 ソ連政府の予備条件第一項は一一月二七日付リトヴィノブ電報及びニコリスク・プロトコールに従い、露支・奉露協定を基礎とする紛争前の状態の復旧と解する。中ソ共管時代に発生したあらゆる係争問題は来るべき中ソ会議で決定する。もっとも次の措置は直ちに実行する

(イ) 旧協定に基き、東支鉄道理事会の事務を復旧し、理事会のソヴィエト委員はその職務遂行に就く。今後中国側督辨及びソ連側会辨(副理事長)は奉露協定第一条第六項(35)に基き、協同してのみ行動する

(ロ) 中ソ両国人を長とする事務の従前の比例を復旧する。課長及び次席のソ連人を復職させる(もしソ連側から新候補者を推薦するときは直ちにこれを任命する)

(ハ)  本年七月二〇日以後理事会及び管理局の名で発せられた命令指揮は、それぞれ正当の理事会及び管理局の確認がない場合はその効力を認めない

二 本年五月一日以後及び紛争に関連し中国官憲のため逮捕されたソ連人、並びに五月二七日の在ハルビン領事館捜査の際逮捕されたソ連人を直ちに釈放する。ソ連政府もまた紛争に関連して逮捕した中国人及び俘虜となった中国将校・丘卒をも直ちに釈放する

三 本年七月一〇日以後解職され、または自ら辞職したソ連人民たる一切の労働者及び勤務者は、直ちに離職前の職務に復し、その当時の給料を受ける。解職された者及び自ら辞職した者のうち、前記の権利を利用しない者に対しては労銀、扶助料等による支払いを完全に行なう。欠員の補充は正当な理事会及び管理局の命令によってのみ行なう。紛争中採用された一切のソ連人でないところの旧ロシア国人は必ず直ちに解雇する

四 中国官憲は速かにロシア人白軍の武装を解除し、かつその組織者と鼓吹者を東三省以外に追放する

五 両国間の外交及び領事関係を完全に復旧する問題は、中ソ会議までこれを留保するが、東三省に於けるソ連領事館及びソ連邦極東の当該地点に於ける中国領事館を直ちに再開することは必要と認める。奉天政府は東三省に於けるソ連側領事館に対し、国際法及び慣例による不可侵権及び特典を保障する。ソ連政府は本年五月三一日より断交に至る期間、中国領事館に与えた特別の器をやめ、ソ連邦極東に再開される中国領事館に対し、国際法及び慣例による不可侵権及び特典を与える

六 領事館再開と共に紛争前東三省に存立したソ連側経済機関の正常業務の復旧を直ちに認める。ソ連内に存在し東支鉄道紛争のため閉鎖された中国商企業の復旧を認める。両国間の通商関係全般に関する問題はソ中会議に於て決定する

七 両国協定及び利益の遵守に関する具体的保障問題は来るべき会議に於て解決する

八 あらゆる係象問題調整のための会議は一九三〇年一月二五日モスクワで開催する

九 両国国境に於て直ちに平和状態を復旧し、軍隊を引揚げる

十 本プロトコールは署名の時より効力を発生する

(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaiseiji1957/1970/43/1970_43_25/_article/-char/ja/)

(山ロハバロフスク総領事発、幣原外相宛第二七一号電(一二月二四日))

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