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地租条例 1884年03月15日

 地租条例(ひらがな、一部新字体化)


地租條例

第一条 地租は地価百分の二箇半を以て一年の定率とす

  但本条例に地価と称するは地券に掲けたる価額を謂ふ

第二条 地租は年の豊凶に由りて増減せす

第三条 有租地を区別して二類と為す

  第一類 田、畑、郡村宅地、市街宅地、塩田、鉱泉地、

  第二類 池沼、山林、原野、雑種地、

 第一類中又は第二類中の各地目変換するものを地目変換と謂ふ

 第二類地に労費を加へ第一類地と為すものを開墾と謂ふ

 第一類地又は第二類地の山崩、川欠、押堀、石砂入、川成、海成、湖水成、等の如き天災に罹り地形を変したるものを荒地と謂ふ

第四条 公立学校地、郷村社地、墳墓地、用悪水路、溜池、隄塘、井溝、及公衆の用に供する道路は地租を免す

第五条 土地の丈量は曲尺を用ひ六尺を間と為し方台間を以て歩と為し三十歩を畝と為し十畝を段と為し十段を町と為す但市街宅地は方台間を以て坪と為し坪の十分一を合と為し合の十分一を勺と為す

第六条 開墾鍬下年期明荒地免租年期明にて地価を定るとき又は地目変換するときは地盤を丈量す

第七条 地価は地目変換又は開墾に非されは修正せす

第八条 一般に地価の改正を要するときは前以て其旨を布告すへし

第九条 地価は其地の品位等級を詮定し其所得を審査し尚ほ其土地の情況に応し之を定む

第十条 地目を変換するときは之を地方庁に届出へし地価は其地の現況に依り之を修正す

第十一条 免租地を有租地と為さんとするときは地方庁の許可を受くへし地価は其地の現況に依り之を定む

第十二条 地租は地券記名者より徴収す但質入の土地は其質取主に於て之を納むへし

第十三条 有租地を公立学校地、郷村社地、墳墓地、と為すとき其地租は許可を得し月分より月割を以て之を免し用悪水路、溜池、隄塘、井溝、公衆の用に供する道路、と為すとき其地租は其地工事着手の月分より月割を以て之を免す

 免租地を有租地と為すとき其地租は許可を得し翌月分より月割を以て徴収す

第十四条 地目変換は其地価修正の年より修正地価に依り地租を徴収す

第十五条 開墾地は鍬下年期明荒地は免租年期明の翌年分より更定地価に依り地租を徴収す

第十六条 開墾を為さんとするときは地方庁の許可を受くへし開墾地は十五年以内の鍬下年期を許可す但年期中は原地価に依り地租を徴収す

第十七条 鍬下年期中当初の目的を改め他の地目に変するときは之を地方庁に届出へし此場合に於ては直に其地価を定め又は更に鍬下年期を許可することあるへし

第十八条 鍬下年期明に至り開墾の成功に至らさるものは更に十五年以内鍬下継年期を許可す

第十九条 鍬下年期明のときは其地価を修正す若し其開墾当初の目的に達せす他の地目に変するものは其地の現況に依り地価を修正す

第二十条 荒地は其被害の年より十年以内免租年期を定め年期明に至り原地価に復す

第二十一条 免租年期明に至り其地の現況原地価に復し難きものは十年以内七割以下の低価年期を定め年期明に至り原地価に復す

第二十二条 低価年期明に至り尚ほ原地価に復し難きもの及ひ免租年期明に至り原地目に復せす他の地目に変するものは其地の現況に依り地価を定む

第二十三条 免租年期明に至り尚ほ荒地の形状を存するものは更に十年以内免租継年期を定む其年期明に至り原地価に復し難きものは第二十一条第二十二条に依て処分す

第二十四条 川成、海成、湖水成、にして免租年期明に至り原形に復し難きものは更に二十年以内免租継年期を許可す其年期明に至り尚ほ原地目に復せす他の地目に変せさるものは川、海、湖、に帰するものとし其地券を還納せしむ

第二十五条 土地を欺隠し地租を逋脱する者は四円以上四十円以下の罰金に処し現地目に依り地価を定め欺隠年間の地租を追徴す但地租改正の初年以前に遡ることを得す

第二十六条 第十一条第十六条に違犯する者は三円以上三十円以下の罰金に処す其免租地を有租地と為し又は開墾を為すことを許可すへきものは現地目に依り地価を定め其地租増額を追徴す但地租改正の初年以前に遡ることを得す

第二十七条 第十条第十七条に違犯する者は一円以上一円九十五銭以下の科料に処す

第二十八条 第二十五条以下の所犯借地人、小作人、の所為に係り所有主其情を知らさるときは其借地人、小作人、を罰し地租は所有主より追徴す

第二十九条 第二十五条第二十六条第二十七条第二十八条の刑に当る者自首するときは其罰金科料を免す但其追徴すへき地租は仍ほ之を納めしむ

(官報:明治十七年三月十五日)

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内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より

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