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売薬規則 1877年01月20日

 売薬規則(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり)


第七号

賣藥規則

   第一章

第一条 此規則に称する処の売薬とは丸薬膏薬煉薬水薬浴剤散薬煎薬等を調製し効能書を附し販売するものを云ふ

第二条 此売薬営業者は薬味分量用法功能を詳記したる書に族籍氏名を記し其管轄庁を経由して内務省に願出免許鑑札を受くへし

  但免許を受けたる者二ヶ所以上に於て之を調製する時は其箇所毎に免許鑑札を受くへし

第三条 内務省に於ては願書を検査し其製薬配伍の薬品劇毒微毒に拘はらす取扱上失誤を生し易きもの及ひ毒薬取締に関係するものは之を許ささるへし

第四条 第八条に記したる期限中薬味分量用法服量能書を改正せんと欲するもの其由を届出旧鑑札を返納して更に新鑑札を願受くへし

第五条 売薬を請売せんと欲し其営業者の許諾を得たるものは族籍氏名を記したる願書に営業者所持の免許鑑札写及ひ営業者と取結たる約定書とを添へ其管轄庁へ願出免許鑑札を受け管轄庁は之を内務省へ届出へし

第六条 売薬営業者及ひ請売者共必す免許の看板を掲くへし

第七条 売薬営業者及ひ請売者に於て自ら行商し又は売子を派出して行商を為さしめんと欲する■は其由を管轄庁へ届出行商鑑札を願受け行商する時は必す之を所持すへし

第八条 営業鑑札請売鑑札行商鑑札は其鑑札記載の月より満五年を以て免許の期限とす此期限を過き尚免許を得んと欲するものは旧鑑札を返納し更に新鑑札を願受くへし

第九条 第八条に記したる期限中第四条の改正発売を願出之を免許する時は新鑑札記載の月を以て一期の初月となすへし

第十条 免許期限内と雖も其製薬第三条に掲くる処の有毒品なるを更に発見する時或は営業者製薬を粗悪にする等の事ある時は直に鑑札を取上け発売を禁止する事あるへし

第十一条 営業者廃業するか又は禁止せらるる時は其請売者及ひ売子共其販売を許さす

第十二条 諸鑑札を遺失し又は水火盗難に因て毀失したる時は其仔細を詳記して管轄庁へ届出再ひ之を願受くへし

第十三条 免許鑑札を他人に譲渡さんと欲する者は双方連印の願書を管轄庁に差出し名前書換を請ふへし

第十四条 売薬営業者及ひ請売者免許期限中其相続人に於て之を相続する時は其由を記し管轄庁へ鑑札名前書換を請ふへし

第十五条 売薬営業者廃業し若しくは禁止せられたる■は営業者は勿論其請売者に於ても総て諸鑑札を返納すへし

   第二章

第十六条 売薬営業者及ひ請売者は左の通税金並鑑札料を上納すへし

  売薬営業税    薬剤一方に付一箇年        金二円

  右鑑札料     薬剤一方に付一枚         金二十銭

  但第二条但書に依り免許鑑札を受くる者は其箇所毎に本文の税金並鑑札料を納むへし

  売薬請売鑑札料 薬剤の方数に拘はらす一枚       金二十銭

  売薬行商鑑札料 薬剤の方数に拘はらす一人一枚     金二十銭

第十七条 水火盗難に因り鑑札を毀失し更に新鑑札を願受る時は其鑑札料の半高を納むへし

第十八条 税金は毎年両度に区分し前半年分は七月三十一日限り後半年分は翌年一月三十一日限り鑑札料は其都度並に管轄庁に上納すへし

第十九条 税金は六月以前免許の者は全年分七月以後は半年分廃業の者は七月以後は全年分六月以前は半年分を納むへし

  但第十条の有毒品なるを更に発見せし時に限り月割を以て税金を納めしむへし

   第三章

第二十条 無鑑札又は鑑札を借受け自ら行商し又は行商せしむる者及ひ之を貸す者又は期限過たる鑑札を以て自ら行商し又は行商せしむる者は其鑑札を取上け薬剤一方に付五円の罰金を科すへし

第二十一条 無鑑札又は鑑札を借受け又は期限過たる鑑札を以て請売する者及ひ無鑑札の者をして請売せしめ又は鑑札を貸す者は其鑑札を取上け製薬を没入し薬剤一方に付十円の罰金を科すへし

第二十二条 免許を受けすして私に薬味分量用法服量能書等を改更し又は許可を経すして無稽の妄説を記載し世人を衒惑する者は其鑑札を取上け製薬を没入し薬剤一方に付十円以上二十五円以下の罰金を科すへし

第二十三条 無鑑札にて営業する者は其製薬及ひ売得金を没入し薬剤一方に付二十五円以上五十円以下の罰金に科すへし

第二十四条 諸鑑札を偽造し又は他人の売薬を贋造して発売する者は其製薬及ひ其売得金を没入し薬剤一方に付五十円以上百円以下の罰金に科すへし

第二十五条 私に有毒薬を配伍する者は其鑑札を取上け製薬及ひ其売得金を没入し薬剤一方に付百円以上五百円以下の罰金に科すへし

第二十六条 以上の犯則者を見届け訴出る者ある時は事実取糺の上相違なきに於ては其賞として其罰金の半高を与ふへし

(明治十年法令全書P2~)

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