第十五回御前会議議事録(ひらがな化、一部新字体化)
八月十四日
御前会議(宮中防空壕)
午前十時五十分
十二時
出席 総理、全閣僚
枢密院議長(平沼)
両統帥部総長
両軍務局長、書記官長、計画局長
総理より経過報告
参謀総長--反対論
軍令部総長-同様
陸軍大臣--同様
陛下 皆の意見は解つた 朕の考を述べる
先般の回答に就ては朕は戦力、国力等を充分考へて決定したのであつて決して軽々に決心したのではない 今日に於ても朕の考には変りはない
敵側の回答に付ては総長及陸軍大臣の反対があり国体に動揺を来すと云ふが朕はかく考へぬ 保証占領後危険ありと云ふが敵が悪意あるとはあの文面からは考へられぬ 朕も多少の不安あるも然し此の儘戦を継続しては国土も民族も国体も破滅し只単に玉砕に終るのみ 今にして多少の不安あるも戦争を中止すれば未だ復活の力が存するのだ どうか反対の者も朕の意見に同意してくれ
忠良なる軍隊の武装解除、犯罪人としての処罪のことを考へなば朕は情に於てとうてい出来ない処であるが国家の為已むを得ないのである(一同哭泣す)(陛下も龍顔に御涙を拝す)
忍ぶべきを忍べ 明治大帝の三国干渉の時の心を心とすべきである 陸海軍の統制が困難であると云ふことであるが統制は仲々六ヶ敷いと思ふ
政府は速に詔書を準備せよ 陸海軍も亦然り 而して今述べた朕の意図をよく伝へよ
之が徹底の為には朕はラジオ放送を行つても宜しい 非常手段を採れ
(国立公文書館:政務官会議史料 8月14日 C14020185100)
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