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ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構設立に関する提案) 1944年10月09日

 ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構設立に関する提案)(訳文)


    一般的国際機構設立に関する提案

(「ダンバートン、オークス」会議の結果「ソ」連邦、米国、英国及重慶政権に依り提案せられ千九百四十四年十月九日発表せられたるもの)

(本提案の英文は千九百四十四年十月十一日附「モスコー、ニュース」より之を採り「ストックホルム」電報等に依り長短相補ひたるものなり)


「国際連合」なる名称の下に一の国際機構設立せらるべく其の憲章は左の提案を具現するに必要なる規定を掲ぐべし

   第一章 目的

本機構の目的は左の如くなるべし

一、国際平和及安寧を保持すること、右目的の為平和に対する脅威の防止及除去並に侵略行為又は他の平和侵害行為の抑圧を目的とする効果的且集団的措置を執ること及平和の侵害に至るの虞ある国際紛争を平和的方法に依り調整又は解決すること

二、各国間の友好関係を発展せしめ且世界平和を強化すべき他の適当なる措置を執ること

三、各国間の経済的、社会的及他の人道上の問題の解決の為国際協力を完成すること及

四、右共同目的完成の為各国の行動を調整すべき中心たるべきこと

   第二章 原則

第一章に掲げたる目的を遂行せんが為本機構及其の締盟国は以下の原則に従ひ行動すべし

一、本機構は一切の平和愛好国の主権平等の原則に其の基礎を置くものとす

二、本機構の一切の締盟国は締盟国全部に対し締盟国たるの地位に基く権利及利益を保障する為憲章に従ひ負担したる義務を履行することを約す

三、本機構の一切の締盟国は其の紛争を国際平和及安寧を危殆ならしめざるが如き平和的方法に依り解決すべきものとす

四、本機構の一切の締盟国は其の国際関係に於て本機構の目的と両立せざる如何なる方法に於ても脅威又は兵力の行使を避くるものとす

五、本機構の一切の締盟国は本機構が憲章の規定に従ひ執るべき如何なる行動に於ても之に対し有らゆる援助を与ふるものとす

六、本機構の一切の締盟国は本機構が防遏的又は強制的行動を執行中なる如何なる国家に対しても援助を与ふることを避くるものとす

本機構は、国際平和及安寧保持に必要なる限り本機構の非締盟国が右原則に従ひ行動することを確実ならしむべし

   第三章 締盟国

一切の平和愛好国は本機構の締盟国たり得べし

   第四章 主要機関

一、本機構は其の主要機関として左記を有すべし

 イ、総会

 ロ、安全保障理事会

 ハ、国際司法裁判所

 ニ、事務局

二、本機構は必要なることあるべき補助機関を有すべし

   第五章 総会

    第一節 構成

本機構の一切の締盟国は総会の構成員たるべく且憲章中定めらるべき数の代表者を有すべし

    第二節 機能及権限

一、総会は軍備縮少及軍備の統制に関する原則を含む国際平和及安寧保持の為の協力の一般原則を審議し、本機構の締盟国の一国若は数国又は安全保障理事会の付託に係る国際平和及安寧保持に関する問題を討議し且右原則又は問題に関し勧告を為すの権利を有すべし此の種問題にして行動を必要とするものは討議前又は討議後総会は之を安全保障理事会に付託すべし総会は安全保障理事会に於て処理中の国際平和及安寧保持に関する事項に関しては自発的に勧告を為すべからず

二、総会は安全保障理事会の勧告に基き本機構に対し新締盟国を加入せしむるの権限を与へらるべし

三、総会は安全保障理事会の勧告に基き同理事会に依り防遏的又は強制的行動が執られたる本機構の締盟国に対し締盟国たる権利又は特権の行使の停止するの権限を与へらるべし停止せられたる権利又は特権の行使は安全保障理事会の議決に依り回復せらるることを得総会は安全保障理事会の勧告に基き憲章中に掲げたる原則に執拗に違背する締盟国を除名するの権限を与へらるべし

四、総会は安全保障理事会の非常任理事国及第九章に規定せらるる経済及社会理事会の構成員を選挙すべし総会は安全保障理事会の勧告に基き本機構の事務総長を選挙するの権限を与へらるべし総会は国際司法裁判所裁判官の選挙に関し裁判所規程に依り付与せらるべき機能を行ふべし

五、総会は本機構の締盟国間に経費を割当つべく且本機構の予算を承認するの権限を与へらるべし

六、総会は政治的、経済的及社会的分野に於ける国際協力を促進し且一般的福祉を阻害するの虞ある事態を調整するの目的を以て調査を開始し且勧告を為すべし

七、総会は国際的経済、社会及他の専門的機関と本機構との協定に従ひ本機構と連繫せしめられたる右機関の政策を調整する為勧告を為すべし

八、総会は安全保障理事会の年次及特別報告並に本機構の他の団体よりの報告を接受し且審議すべし

    第三節 表決

一、各締盟国は総会に於て一箇の表決権を有すべし

二、国際平和及安寧保持に関する勧告、安全保障理事会の理事国の選挙、経済及社会理事会の理事国の選挙、締盟国の加入、締盟国の権利及特権の行使の停止、締盟国の除名並に予算問題を含む総会の重要なる議決は出席投票国の三分の二の多数に依り為さるべし

 三分の二の多数に依り議決せらるべき問題の追加種目の決定を含む他の問題に付ては総会の議決は単純過半数の表決に依り為さるべし

    第四節 手続

一、総会は定期的年次会議を開き且必要に応じ特別会議を開くべし

二、総会は其の手続規則を採択し且各会議毎に其の議長を選挙すべし

三、総会は其の機能遂行上必要と認むる団体及機関を設立するの権限を与へらるべし

   第六章 安全保障理事会

    第一節 構成

安全保障理事会は本機構の締盟国十一箇国の各一名の代表者を以て之を組織すべし

「ソヴィエト」社会主義共和国連邦、「アメリカ」合衆国、「グレート、ブリテン」及北部「アイルランド」連合王国、中華民国(編者注)並に将来「フランス」国は常任理事国たるべし

総会は非常任理事国たるべき六箇国を選挙すべし此等六箇国は二年の任期を以て選挙せらるべく三箇国は毎年解任せらるべし右諸国は引続きては再選の資格なきものとす非常任理事国の第一回選挙に於ては三箇国は一年の任期を以て三箇国は二年の任期を以て総会之を選定すべし

(注)本提案中の「中華民国」とは重慶政権が呼ぶ中華民国を謂う

    第二節 主要機能及権限

一、本機構に依る迅速且効果的行動を確保する為本機構の締盟国は憲章に依り安全保障理事会に対し国際平和及安寧保持の主要なる責任を負はしむべく且前記責任に基き此等の義務を履行する場合に於ては安全保障理事会が締盟国の名に於て行動すべきことに同意すべし

二、此等の義務を履行するに当り安全保障理事会は本機構の目的及原則に従ひ行動すべし

三、此等の義務を履行する為安全保障理事会に付与せられたる特定の権限は第八章に規定せらる

四、本機構の一切の締盟国は安全保障理事会の決定を受諾し且憲章の規定に従ひ之を履行すべき義務を負ふべし

五、軍備の為にする世界の人的及経済的資源の消費を最少ならしめ以て国際平和及安寧の樹立及保持を促進する為安全保障理事会は第八章第二節第九項に掲ぐる軍事委員会の援助を得て本機構の締盟国の採択に付すべき軍備統制体系を確立する為の計画を作成する責任を有すべし

    第三節 表決

(註 安全保障理事会に於ける表決手続は引続き審議中なり)

    第四節 手続

一、安全保障理事会は継続的に機能を発揮し得る如く組織せらるべく各理事国は本機構の本部に常時代表せらるべし同理事会は最も其の事業遂行に便なりと判断する他の場所に於て会議を開催することを得同理事会は定期的会議を開催すべく同会議には各理事国は其の希望に依り政府閣員又は他の特別代表者に依り代表せられ得べし

二、安全保障理事会は軍事委員会の地域的小委員会を含む、其の機能遂行上必要と認むる団体又は機関を設立するの権限を与へらるべし

三、安全保障理事会は其の議長選任方法を含む其の手続規則を採択すべし

四、本機構の締盟国は安全保障理事会が右締盟国の利害に特に影響ありと思考するときは同理事会に付託せられたる問題の討議に参加すべし

五、安全保障理事会に議席を有せざる本機構の締盟国及非締盟国は同理事会の審議中なる紛争の当事国たる場合には右紛争に関する討議に参加する様招請せらるべし

   第七章 国際司法裁判所

一、本機構の主要司法機関を構成すべき国際司法裁判所設置せらるべし

二、裁判所は本機構の憲章に附属し且其の一部を成すべき規程に従ひ構成せられ且機能を発揮すべし

三、国際司法裁判所規程は(イ)望ましき修正を加へ効力を存続せしめらるる常設国際司法裁判所規程又は(ロ)常設国際司法裁判所規程を基礎とし準備せられたる新規程の何れかたるべし

四、本機構の一切の締盟国は当然国際司法裁判所規程の当事国たるべし

五、本機構の非締盟国が国際司法裁判所規程の当事国たり得べき条件は各場合に付安全保障理事会の勧告に基き総会之を決定すべし

   第八章 侵略の防止及抑圧を含む国際平和及安寧保持の為の措置

    第一節 紛争の平和的解決

一、安全保障理事会は紛争又は各国間の軋轢に至り若は紛争を惹起すべき事態を、其の継続が国際平和及安寧保持を危殆ならしむるの虞ありや否やを決定する為審査するの権限を与へらるべし

二、本機構の締盟国たると否とを問はず何れの国も右紛争又は事態に付総会又は安全保障理事会の注意を喚起することを得

三、紛争当事国は紛争の継続が国際平和及安寧保持を危殆ならしむるの虞ある場合には先づ外交交渉、居中調停、調停、仲裁裁判若は司法的解決又は其の選択に係る他の平和的手段に依り之が解決を計るの義務を負ふべし安全保障理事会は紛争当事国に対し右手段に依り紛争を解決することを要請すべし

四、前記第三項に掲ぐる性質の紛争当事国が同項所定の方法に依り紛争を解決すること能はざるときは当該紛争当事国は之を安全保障理事会に付託する義務を負ふべし安全保障理事会は各場合に付当該紛争の継続が事実国際平和及安寧保持を危殆ならしむるの虞ありや否や、従て同理事会が之を処理すべきや否や且之を処理すべきものとせば第五項の行動を執るべきや否やを決定すべし

五、安全保障理事会は第三項に掲ぐる性質の紛争の如何なる段階に於ても之が調整に関する適当なる手続又は方法を勧告するの権限を与へらるべし

六、法的紛争は通常国際司法裁判所に付託せらるべし安全保障理事会は他の紛争に関連する法律上の問題に関し同裁判所の意見を求むるの権限を与へらるべし

七、第一節第一項乃至第六項の規定は国際法上専ら関係国の管轄に属する事項に付生じたる事態又は紛争には之を適用せず

    第二節 平和に対する脅威又は侵略行為の決定及之に関する行動

一、安全保障理事会は第一節第三項所定の手続に依り又は第一節第五項に基く勧告に依り紛争を解決すること能はずして国際平和及安寧保持を脅威するものと認むるときは本機構の目的及原則に従ひ国際平和及安寧保持の為必要なる措置を執るべし

二、一般に安全保障理事会は平和に対する脅威、平和の侵害又は侵略行為の存否を決定し並に平和及安寧を保持し又は回復する為執るべき措置を勧告し又は決定すべし

三、安全保障理事会は其の決定を有効ならしむる為執るべき外交的、経済的又は他の兵力行使に至らざる措置を決定し且本機構の締盟国に対し右措置の適用を要請するの権限を与へらるべし右措置は鉄道、船舶、航空機、郵便、電信、「ラジオ」及他の交通機関の全面的又は部分的遮断並に外交的及経済的関係の断絶を含むことを得

四、安全保障理事会は右措置を不充分なりと認むるときは国際平和及安寧を保持し又は回復する為必要なる空軍、海軍又は陸上軍に依る行動を執るの権限を与へらるべし右行動は本機構の締盟国の空軍、海軍又は陸上軍に依る示威、封鎖及他の行動を含むことを得

五、本機構の一切の締盟国が国際平和及安寧保持に貢献する為締盟国は安全保障理事会に対し其の要請に基き且締盟国間に締結せらるべき特別協定に依り国際平和及安寧を保持する目的の為に必要なる兵力、便益及援助を利用せしむることを約す右協定は提供せらるべき兵力の数量及種類並に便益及援助の性質を規定すべし特別協定は成るべく速に締結せらるべく而して各場合に付安全保障理事会の承認及各国の憲法上の手続に依る締約国の批准を受くべし

六、本機構が緊急なる軍事措置を執ることを可能ならしむる為本機構の締盟国は共同国際強制行動の為の国家空軍部隊を直に利用し得る様保持すべし此等部隊の兵力及装備の程度並に其の共同行動の計画は前記第五項に掲ぐる特別協定の規定する限界内に於て軍事委員会の援助を受け安全保障理事会之を決定すべし

七、国際平和及安寧保持の為安全保障理事会の決定を執行するに要する行動は安全保障理事会の決定する所に依り本機構の一切の締盟国協同し又は締盟国の一部之を行ふべし右義務は本機構の締盟国自らの行動に依り且其の加盟せる適当なる専門的機構及機関の行動を通じ履行せらるべし

八、兵力適用の計画は下記第九項に掲ぐる軍事委員会の援助を受け安全保障理事会之を作成すべし

九、一の軍事委員会設立せらるべく其の機能は国際平和及安寧保持の為の安全保障理事会の軍事的要請、同理事会の利用し得べき兵力の使用及統率、軍備の統制並に可能なる軍備縮少に関する一切の問題に付安全保障理事会に意見を具申し且之を援助することたるべし右委員会は安全保障理事会の下に於て同理事会の利用し得べき兵力の作戦的指揮の責に任ずべし右委員会は安全保障理事会の常任理事国の参謀総長又は其の代表者を以て組織せらるべし右委員会に常時代表せられざる締盟国は同委員会の責任を有効に遂行する為之を同委員会の事業に参加せしむる要あるときは同委員会と連合せしむる為之に依り招請せらるべし兵力の統率に関する問題は追て作成せらるべし

十、本機構の締盟国は安全保障理事会に依り決定せらるる措置を執行するに際し相互援助の供与に協力すべし

十一、各国は本機構の締盟国たると否とを問はず安全保障理事会に依り決定せらるる措置の執行より生ずる特別なる経済問題に直面するときは同問題の解決に関し安全保障理事会と協議する権利を有すべし

    第三節 地域的取極

一、憲章は国際平和及安寧保持に関する問題にして地域的行動に適切なるものを処理すべき地域的取極又は機関の存在を妨ぐることなかるべし但し右取極又は機関及其の行動は本機構の目的及原則に一致するものなることを要す安全保障理事会は関係国の発議に基き又は同理事会の付託に依り右地域的取極を通じ又は右地域的機関に依る地方的紛争の解決を助長すべし

二、安全保障理事会は適当なる場合其の権限に属する強制行動の為右取極又は機関を利用すべし但し強制行動は安全保障理事会の許可なくしては地域的取極に基き又は地域的機関に依り執らるることなかるべし

三、安全保障理事会は地域的取極に基き又は地域的機関に依り国際平和及安寧保持の為執行せられ又は考慮中の行動に関し常時完全に通報せらるべし

   第九章 各国間の経済的及社会的協力の為の取極

    第一節 目的及関係

一、各国間の平和的且有効的関係に必要なる安定及福祉の条件を招来せんが為本機構は各国間の経済的、社会的及他の人道上の問題の解決を容易ならしめ且人権及基本的自由の尊重を促進すべし右機能遂行の責任は総会に而して総会の権限の下に経済及社会理事会に帰属せしめらるべし

二、各種専門的なる経済的、社会的並に他の機構及機関は其の規程の定むる所に従ひ各自の分野に於て責任を有す右各機構又は機関は経済及社会理事会と専門的機構又は機関の当該官憲との協定に依り総会の承認を条件として決定せらるべき条項に基き本機構と連繋せしめらるべし

    第二節 経済及社会理事会の構成及表決

経済及社会理事会は本機構の締盟国十八箇国の代表者を以て之を組織すべし右目的の為代表せらるべき国は三年の機関を以て総会之を選挙すべし

右各国は各一命の代表者を有すべく右代表者は各一箇の表決権を有すべし経済及社会理事会の議決は出席投票国の単純過半数に依るべし

    第三節 経済及社会理事会の機能及権限

経済及社会理事会は左の権限を有すべし

(イ) 其の機能の範囲内に於て総会の勧告を履行すること

(ロ) 各国間の経済的、社会的及他の人道上の問題に関し自発的に勧告を為すこと

(ハ) 本機構と連繋せしめられたる経済的、社会的及他の機構又は機関の報告を接受し及審議し並に右機構若は機関との協議又は之に対する勧告に依り其の活動を調整することを得

(ニ) 右専門的機構又は機関に勧告する目的を以て関係機構又は機関の行政予算を審査すること

(ホ) 事務総長が安全保障理事会に対し情報を提供することを可能ならしむること

(ヘ) 安全保障理事会の要請に基き之を援助すること

(ト) 総会に依り之に委託せらるることあるべき他の機能を其の権限の一般的範囲内に於て行ふこと

    第四節 経済及社会理事会の組織及手続

一、経済及社会理事会は経済委員会、社会委員会及必要なる他の委員会を設立すべし此等委員会は専門家を以て之を組織すべし本機構の事務局の一部を構成すべき常任職員設けらるべし

二、経済及社会理事会は専門的機構又は機関の代表者が同理事会及其の設立する委員会の議事に表決権なくして参加するが如き適当なる取極を作成すべし

三、経済及社会理事会は其の手続規則及其の議長選任の方法を採択すべし

   第十章 事務局

一、事務総長及必要なる職員より成る事務局設けらるべし事務総長は本機構の首席行政官たるべし事務総長は憲章に定めらるべき任期及条件を以て安全保障理事会の勧告に基き総会之を選挙すべし

二、事務総長は総会、安全保障理事会並に経済及社会理事会の一切の会議に於て其の資格に於て行動すべく且本機構の事業に関し総会に年次報告を為すべし

三、事務総長は国際平和及安寧を脅威するの虞ありと認むる問題に付安全保障理事会の注意を喚起するの権利を有すべし

   第十一章 改正

憲章の改正は総会構成員の三分の二の多数の表決に依り採択せられ並に安全保障理事会の常任理事国たる本機構の締盟各国及本機構の他の締盟国の過半数に依り其の各自の憲法上の手続に依り批准せられたるとき本機構の一切の締盟国に対し効力を生ずべし

   第十二章 経過的取極

一、第八章第二節第五項に掲ぐる特別協定の効力発生に至る迄及千九百四十三年十月三十日「モスコー」に於て署名せられたる四国宣言第五項の規定に依り同宣言の当事国は国際平和及安寧保持の目的の為必要なることあるべき共同行動を本機構の名に於て執るの目的を以て相互に且必要あるときは本機構の他の締盟国と協議すべし

二、憲章の規定は其の行動に付責任を有する政府が今次戦争の結果として敵国に関し執り又は認許すべき行動を妨げず


(註 第六章に掲ぐる安全保障委員会に於ける表決手続の問題の外に数箇の他の問題は引続き審議中なり)

(国立公文書館:標題:5.ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構の設立に関する提案) B19010292400)

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