南方占領地帰属に関する思想調整の腹案(ひらがな化、一部新字体化)
南方占領地歸屬ニ關スル思想調整ノ腹案
昭和一六、一二、一九
連絡会議懇談案
占領地の将来の帰属は差し当り左記の如く予定し中央に於ける諸施策の準拠たらしむ
但し情勢の推移に応じ変更することあり
尚本腹案は厳に機密を保持し別に定むる時機迄は現地に示達せず且占領地官民にも言質を与へざるものとす
左 記
一、帝国領土とすべき地域
香港(九龍半島の租借は一応之を継承す)
直轄領とす
(外務省は次の件挿入を希望す)
(「支那との関係は別に定む」)
英領馬來
海峡殖民地及星港前面の蘭領島嶼は直轄領
馬來各州は保護領とす
「アンダマン」及「ニコバル」各諸島
直轄領とす
「スマトラ」及同附属諸島
保護領(一部は直轄領)とす
「ボルネオ」 保護領(一部は直轄領)とす
「セレベス」 保護領とす
「ニューギニヤ」諸島(「ニューギニヤ」、「ビスマーク」、「ソロモン」各諸島及「ハルマヘラ」「チモール」連絡線以東の蘭領)は直轄領とす
「ナウル」及「オウシヤン」島は直轄領とす
瓦無島
(外務省は次の件挿入を希望す )
(「編入の方法は慎重に之を考慮す」)
直轄領とす
二、「ジヤバ」及附属諸島
独立せしむ
但し帝国の強度保護下に置き軍事は帝国之を管掌し外交及経済は帝国之に干与す
三、「ビルマ」
独立せしむ
但し帝国の保護下に置き軍事は帝国之を管掌し外交経済は緊密に提携す
四、比島
現地域を以て独立せしむ
但し海軍を有せしめず所要の治安軍を保持せしむ
備 考
(一)仏印は当分の間現状の儘とし将来仏本国より切り離し帝国の強度保護下に独立せしむる如く努む
(二)泰は其の独立を尊重し失地恢復に関しては必要に応じ考慮す
(三)印度、濠州、「ニユージーランド」及太平洋上の諸島嶼の処理に関しては情勢の推移に応じ別に之を定む
(四)太平洋に於ける独逸領に関しては日独伊三国同盟附属交換公文に鑑み適時独逸と交渉し帝国領土と為すことを承認せしむ
(終)
(国立公文書館:3.南方占領地帰属ニ関スル思想調整ノ腹案(昭一六、一二、一九連絡会議決定):B02032970700)
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