露清密約(訳文、ひらがな化、新字体化)
露支同盟密約 千八百九十六年五月
第一条 東方亜細亜に於ける露西亜国領土に対すると又は支那国若は朝鮮国に対するとを問わす日本国の企つる一切の侵略は必然的に本条約の即時適用を招致するものと之を認む
第二条 両締約国か共同動作を執るに至りたるときは他方国の同意を得るに非れは敵国と平和条約を単独に締結することを得さるものとす
第三条 軍事動作中は支那国一切の港は必要ある場合に於て露西亜国軍艦に開放せらるへく露西亜国軍艦は右港に於て其の必要とする一切の援助を支那国官憲より受くるへし
第四条 支那国政府は露西亜国陸軍か侵略せらるるの怖ある地点に接到せることを容易ならしめ且其の抵抗手段を確保する為支那国「アムール」(黒竜江)省及「ギリン」(吉林)省を横断して浦潮斯得の方向に一条の鉄道線を建設することに同意す該鉄道の為西亜国鉄道との連絡は支那国領土又は支那国皇帝陛下の主権を侵害するの口実と為らさるへし該鉄道の敷設及経営は露支銀行に之を許輿し且之か為締結せらるる契約の条款は露西亜国駐在支那国公使及露支銀行間に於て正式に商談せらるへし
第五条 戦時に於ては第一条所定の通り露西亜国は其の軍隊の輸送及軍隊に対する糧食支給の為第四条所定の鉄道を自由に使用することを得へし平時に於ては露西亜国は其の軍隊及軍需品の通過輸送の為同一の権利を有す但し途中停車は輸送事務の必要を理由とする場合の他之を許さす
第六条 本条約は第四条所定の契約を支那国皇帝か確認したる日より実施せらるへく右実施の日より十五年間有効とす右期間終了前六月に於て両締約国は本条約の更改に関し商談すへし
(国立公文書館:満蒙問題関係ノ重要条約摘要)
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