滿洲五案件ニ關スル協約(原文:一部新字体化)
大日本國政府及大清國政府ハ滿洲ニ於テ雙方共ニ關係ヲ有スル事項ヲ明確ニ議定シ將來ノ誤解ヲ防キ以テ兩國善隣ノ關係ヲ益鞏固ニセムコトヲ希望シ茲ニ左ノ條款ヲ訂立セリ
第一條 清國政府ハ新民屯法庫門間ノ鐵道ヲ敷設セムトスル場合ニハ豫メ日本國政府ト商議スルコトニ同意ス
第二條 清國政府ハ大石橋營口支線ヲ南滿洲鐵道支線ト承認シ南滿洲鐵道期限滿了ノ際一律清國ニ交還スルコト並ニ該支線ノ末端ヲ營口ニ延長スルコトニ同意ス
第三條 日清兩國政府ハ撫順及煙臺兩處ノ炭鑛ニ關シ和平商定スルコト左ノ如シ
甲 清國政府ハ日本國政府カ上記兩炭鑛採掘權ヲ有スルコトヲ承認ス
乙 日本國政府ハ清國ノ一切ノ主權ヲ尊重シ並ニ上記兩炭鑛ノ採炭ニ對シ清國政府ニ納税スルコトヲ承諾ス右ノ税率ハ清國他處ノ石炭ニ對スル最惠ノ税率ヲ標準トシ別ニ協定スヘシ
丙 清國政府ハ上記兩炭鑛ノ採炭ニ對シ他處ノ石炭ニ對スル最惠ノ輸出税率ヲ適用スルコトヲ承諾ス
丁 炭鑛ノ區域並ニ一切ノ細則ハ別ニ委員ヲ派シテ協定スヘシ
第四條 安奉鐵道沿線及南滿洲鐵道幹線沿線ノ鑛務ハ撫順及煙台ヲ除キ明治四十年即チ光緒三十三年東三省督撫カ日本國總領事ト議定セル大綱ヲ按照シ日清兩國人ノ合辨ト爲スベク其細則ハ追テ督撫ト日本國總領事トノ間ニ商訂スヘシ
第五條 京奉鐵道ヲ奉天城根ニ延長スルコトハ日本國政府ニ於テ異議ナキコトヲ聲明ス其實行ノ辨法ハ地方ニ於ケル兩國官憲並ニ專門技師ヲシテ妥實商訂セシムヘシ
右證據トシテ下名ハ各其本國政府ヨリ相當ノ委任ヲ受ケ日本文及漢文ヲ以テ作製セル各二通ノ本協約ニ記名調印スルモノナリ
明治四十二年九月四日
宣統元年七月二十日
北京ニ於テ
大日本國特命全權公使 伊集院彦吉
大清國欽命外務部尚書會弁大臣 梁敦彦
(日本公文書館:満洲五案件に関する協約)
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