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違式詿違条例 1872年12月08日

違式詿違条例(原文:ひらがな、一部新字体化、不明文字あり)

  違式詿違条例
第一条 違式の罪を犯す者は七十五銭より少なからす百五十銭より多からさる贖金を追徴す
第二条 詿違の罪を犯す者は六銭二厘五毛より少なからす十二銭五厘より多からさる贖金を追徴す
第三条 違式詿違の罪を犯し無力の者は實決すること左の如し
 一 違式 笞罪 一十より少なからす二十より多からす
 二 詿違 拘留 一日より少なからす二日より多からす
第四条 違式并に詿違の罪より取上くへき物品は贖金を科するの外別に没収の申渡しを為すへし
第五条 違式詿違の罪を犯し人に損失を蒙らしむる時は先つ其損失に当る償金を出さしめ後に贖金を命す可し
 違式罪目
第六条 地券所持の者諸上納銀を怠り地方の法に違背致す者
第七条 贋造の飲食物并に腐敗の食物を知て販売する者
第八条 往来又は下水外中等へ家作并孫庇等を自在に張出し或は河岸地除地等へ願なく家作する者
第九条 春畫及ひ其類の諸器物を販売する者
第十条 病牛死牛其他病死の禽獣を知りて販売する者
第十一条 身体へ刺繍をなす者
第十二条 男女入込の湯を渡世する者
第十三条 乗馬して猥りに馳驅又は馬車を疾驅して行人を觸倒す者
 但殺傷するは此限にあらす
第十四条 外国人を無届にて止宿せしむる者
第十五条 外国人を私に雑居せしむる者
第十六条 町火消鳶人足共町々普請造営の節地所組合違の者を雇ふヿに故障する者
第十七条 夜中無燈の馬車を以て通行する者
第十八条 人家稠密の場所に於て妄りに火技を玩ふ者
第十九条 火事場に関係なくして乗馬する者
第二十条 願なく床店葭簀張等を取建る者
第二十一条 戯に往来の常燈■を破毀する者
第二十二条 裸体又は袒裼し或は股脚を露はし醜体をなす者
第二十三条 馬及車留の掲示ある道路橋梁を犯して通行する者
第二十四条 無検印の舟車を以て渡世する者
第二十五条 男女相撲並蛇遣ひ其他醜体を見世物に出す者
第二十六条 第二十二条の如き見苦敷き容体にて乗馬する者
第二十七条 川堀下水等へ土芥瓦礫等を投棄し流通を妨くる者
第二十八条 軒外へ木木炭薪等を積置く者
 詿違罪目
第二十九条 狭隘の小路を馬車にて馳走する者
第三十条 夜中無提燈にて人力車を輓き及ひ乗馬する者
第三十一条 暮六つ時より荷車を挽く者
第三十二条 斟酌なく馬車を疾駈せしめて行人へ迷惑を掛けし者
第三十三条 人力車挽の者強て乗車を勧め過言等申掛る者
第三十四条 他人園中の果実を採り食ふ者
第三十五条 馬車及人力車荷車等を往来に置き行人の妨をなし及ひ牛馬を街衢に横たへ行人を妨けし者
第三十六条 禽獣の死する者或は汚穢の物を往来等へ投棄する者
第三十七条 湯屋渡世の者戸口を明放ち或は二階へ見隠簾を垂れさる者
第三十八条 居宅前掃除を怠り或は下水を浚はさる者
第三十九条 婦人にて謂れなく断髪する者
第四十条 荷車及人力車行逢ふ節行人に迷惑をかけし者
第四十一条 下掃除の者蓋なき糞桶を以て搬運する者
第四十二条 旅籠屋渡世の者止宿人名を記載せす或は之を届け出てさる者
第四十三条 往来筋の号札又は人家の番号名札看板を戯に破毀する者
第四十四条 喧嘩口論及ひ人の自由を妨け且驚愕す可き噪閙を為し出せる者
第四十五条 往来常燈を戯に消滅する者
第四十六条 疎忽により人に汚穢者及ひ石礫等を抛■せし者
第四十七条 田園種芸の路なき場をを通行し又は牛馬を牽入る者
第四十八条 物を打掛け電信線を妨害する者
第四十九条 市中往来筋に於て便所にあらさる場所へ小便する者
第五十条 店先に於て往来に向ひ幼穉に大小便せしむる者
第五十一条 荷車及ひ人力車等を並へ挽きて通行を妨けし者
第五十二条 誤て牛馬を放ちて人家に入れしめし者
第五十三条 犬を闘はしめ及戯に人に嗾する者
第五十四条 巨大の紙鳶を揚け妨害を為す者
第五十五条 酔に乗し又は戯に車馬往来の妨碍をなす者
第五十六条 格子を■き墻塀を攀ち徒らに顔面を出し往来を瞰み或は嘲哢する者
(国立公文書館:警保寮職制・東京番人規則・違式詿違条例)

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