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国民職業能力申告令 1939年01月06日

国民職業能力申告令(原文:ひらがな、一部新字体化)

勅令第五号
   國民職業能力申告令
第一条 国家総動員法第二十一条の規定に基く帝国臣民の職業能力に関する事項の申告及其の職業能力に関する検査は別に定むるものを除くの外本令に定むる所に依る
第二条 職業能力に関する事項の申告(以下申告と称す)は本令施行地内に居住する年齢十六年以上五十年未満の帝国臣民たる男子にして左の各号の一に該当するもの(以下要申告者と称す)に付之を為さしむるものとす
 一 本令施行地内に於て引続き三月以上厚生大臣の指定する職業に従事する者
 二 引続き一年以上前号の職業に従事して其の職業を罷め其の職業を罷めたる日より五年を経過せざる者
 三 厚生大臣の指定する大学、専門学校、実業学校其の他之に準ずべき各種学校に於て厚生大臣の指定する学科を修め其の学校を卒業したる者
 四 厚生大臣の指定する技能者養成施設に於て所定の課程を修了したる者
 五 厚生大臣の指定する検定又は試験に合格したる者又は厚生大臣の指定する免許を受けたる者
 六 其の他厚生大臣の指定する者
第三条 要申告者及前条第一号の職業に従事する要申告者を使用する者(以下使用者と称す)は要申告者の職業能力に関する事項の申告義務者(以下申告義務者と称す)とす但し要申告者を臨時に使用する者にして命令を以て定むるものは此の限に在らず
第四条 帝国臣民要申告者(第十一条の規定に該当する者を除く)たるに至りたるとき又はま第十一条の規定に該当する要申告者同条の規定に該当せざるに至りたるときは申告義務者は当該事実の生じたる月の翌月末日迄に左に掲ぐる事項を要申告者が第二条第一号の職業に従事する者なる場合に在りては其の者の就業地を管轄する職業紹介所長に、其の他の者なる場合に在りては其の者の居住地を管轄する職業紹介所長に申告すべし申告を為したる後に於て申告者が内地、朝鮮、台湾、樺太又は南洋群島の何れかの地域より他の地域に居住の場所を移したる場合に於て其の地域に於て仍要申告者たるとき亦同じ
 一 氏名
 二 出生の年月日
 三 本籍
 四 居住の場所
 五 兵役関係
 六 学歴
 七 職業に従事する者に在りては其の職業名
 八 第二条第一号の職業に従事する者(就業の場所の一定せざる者を除く)に在りては就業の場所(二以上の就業の場所を有する者に在りては主たる就業の場所)
 九 第二条第一号の職業に従事し又は従事したる者に在りては其の職業の経歴及技能程度
 十 第二条第四号に該当する者に在りては其の修了したる課程に関する事項
 十一 第二条第五号に該当する者に在りては其の受けたる試験、検定又は免許に関する事項
 十二 給料又は賃金を受くる者に在りては其の額
 十三 配偶者の有無及現に扶養する者の数
 十四 精神又は身体の障碍に因り労務に耐え難き者に在りては其の状況
 十五 総動員業務従事に関する希望
 十六 其の他命令を以て定むる事項
 申告義務者前項の申告を為したる後に於て同項第一号、第三号、第五号乃至第八号、第十号又は第十一号に掲ぐる事項に、尚第二条第一号の職業に従事せざる要申告者に在りては前項第四号に掲ぐる事項に異動を生じたるときは当該事実の生じたる月の翌月末日迄に前項の職業紹介所長に其の旨申告すべし
第五条 厚生大臣特に必要ありと認むるときは前条の規定に依る申告の外全部又は一部の要申告者に関し前条第一項各号に掲ぐる事項の全部又は一部に付申告を命ずることを得
第六条 要申告者左の各号の一に該当するに至りたるときは申告義務者は三十日以内に其の旨前に申告を為したる職業紹介所長に申告すべし
 一 要申告者たらざるに至りたるとき(第四条第一項後段の場合を含まず)
 二 第十一条の規定に該当するに至りたるとき
第七条 同一の要申告者に付其の者及其の使用者共に申告義務者たる場合に於ける申告は申告義務者共同して之を為すべし
第八条 地方長官又は職業紹介所長は命令の定むる所に依り当該官吏をして要申告者に就き技其の他の職業能力に関し検査を為さしむることを得
第九条 地方長官又は職業紹介所長は命令の定むる所に依り本令の申告又は検査に関し国家総動員法第三十一条の規定に基く報告を徴することを得
 地方長官又は職業紹介所長は本令の申告又は検査に関し必要ありと認むるときは国家総動員法第三十一条の規定に基き当該官吏をして工場、事業場其の他の場所に臨検し業務の状況又は帳簿書類其の他の物件を検査せしむることを得此の場合に於ては当該官吏をして其の身分を示す証票を携帯せしむべし
第十条 厚生大臣必要ありと認むる場合に於ては他の大臣に嘱託して其の所轄する官衙の長をして前二条の規定に準じ検査に関する職権を行はしむることを得
第十一条 本令は第六条第二号の規定に依る申告に関する規定を除くの外陸海軍軍人にして現役中のもの(帰休下士官兵を除く)及戦時若は事変に際し又は兵役法第五十五条第二項の規定(志願に依り兵籍に編入せられたる者に付ては之に該当する勅令の規定を含む)に依り召集中のもの、兵籍に編入せられたる陸海軍学生生徒(海軍予備練習生及海軍予備補習生を含む)、陸海軍軍属、国家総動員法第四条の規定に依り徴用中の者、医療関係者職業能力申告令の規定に依り申告を為すべき者、獣医師法に依り農林大臣の免許を受けたる獣医師(朝鮮に在りては朝鮮総督の免許を受けたる獣医師、台湾に在りては台湾総督の免許証を受けたる獣医、樺太に在りては樺太庁長官の仮免状を受けたる獣医、南洋群島に在りては南洋庁長官の指定する者を含む)並に船員法の船員及朝鮮船員令の船員に関する申告及職業能力の検査には之を適用せず
第十二条 要申告者にして左の各号の一に該当するものの申告に関しては命令の定むる所に依り申告期限を延長することを得
 一 陸海軍軍人にして召集中のもの(前条の規定する召集中の者を除く)
 二 外国旅行中の者
 三 其の他命令を以て定むる者
第十三条 二以上の就業の場所を有する者に付いては主たる就業の場所の所在地を以て、就業の場所一定せざる者及船舶内に於て就業するの常況にある者に付ては居住地を以て本令の就業地と看做す
第十四条 要申告者にして厚生大臣の指定する官庁に使用せられ又は使用せられるものに関する申告及職業能力の検査に付ては命令を以て別段の定を為すことを得
第十五条 本令中厚生大臣とあるは朝鮮に在りては朝鮮総督、台湾に在りては台湾総督、樺太に在りては樺太庁長官、南洋群島に在りては南洋庁長官とし地方長官とあるは朝鮮に在りては道知事、台湾に在りては州知事又は庁長、樺太に在りては樺太庁長官、南洋群島に在りては南洋庁長官とし職業紹介所長とあるは朝鮮に在りては府尹、郡守又は島司、台湾に在りては市尹又は郡守(澎湖庁に在りては庁長)、樺太に在りては樺太庁支庁長、南洋群島に在りては南洋庁市庁長とし職業紹介所とあるは朝鮮に在りては府郡島、台湾に在りては市郡(澎湖庁に在りては庁)、樺太及南洋群島に在りては支庁とす
第十六条 本令に規定するものの外申告に関し必要なる事項は命令を以て之を定む
   付 則
本令は昭和十四年一月二十日より之を施行す但し朝鮮、台湾、樺太及南洋群島に於ける申告及検査に関する規定は昭和十四年六月一日より之を施行す
本令の申告にして昭和十四年三月末日前に其の申告期限の到来するものは同日迄に之を為すを妨げず
(国立公文書館:国民職業能力申告令・御署名原本・昭和十四年・勅令第五号)

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