在京「ソ」連大使に対する外務大臣回答(原文:ひらがな、一部新字体化)
在京「ソ」聯大使ニ対スル外務大臣囘答
昭和一六、 七、 一
連絡会議了解
本大臣は茲に閣下に対し日本か今回不幸にして勃発せる独「ソ」戦争に対し当然深甚なる関心を抱くものなり
率直に述ふれは日本は一方の同盟国たる独伊他方即漸く近来善隣有好の関係を維持せんとする真摯なる国交を進めたる「ソ」連邦との間に戦争勃発に直面し日本は甚しく当惑し居れり
斯くの如き次第にて日本は敵対行為の終結に付関心を有する所右か少くとも日本の重要利害を有する極東近接地帯以外の地域に限局せられんことを切に希望するものなり日本政府は此の機会に於て其の対「ソ」政策は日本同盟国に対し何等誤解を生せしめさらんとする自然なる顧慮を除きては之を修正するの必要に迫られ居らすと認め居ることを茲に述へんとす
日本政府は其の利害を擁護すると共に同盟国との間に相互信頼の精神を維持し且つ同時に「ソ」連邦とも良好なる関係を継続するか如き政策を執り得へきことを衷心より希望するものなり
申す迄もなきことなから「スターリン」及「モロトフ」両閣下か本大臣に於て右の方針により最善を尽すへきこと信頼せられて可なり
然れとも日本政府か敍上の政策を矛盾なしに遵守し得るや否やは主として将来に於ける事態の発展に係るものなることを敢て付言するの必要なかるへし
(国立公文書館:昭和16年7月1日 在京「ソ」連大使に対する外務大臣回答)
コメント
コメントを投稿