在京独逸大使に対する外務大臣通告覚(原文:ひらがな、一部新字体化)
在京独逸大使ニ対スル外務大臣通告覚
昭和一六、 七、 一
連絡会議決定
左記を「リツベントロツプ」外務大臣に御伝達ありたし
本大臣は在京「オツト」大使及在独大島大使を通し為されたる閣下の要請を敬承し且つ右要請を日本政府に為さるるに当り述へられたる閣下の見解を慎重に検討せり
本大臣は日本は独逸と共に赤化の脅威と積極的に戦ふ為に「ソ」連邦に関し有ゆる起り得る事態に対し準備を進め居る旨を述ふることを欣幸とす日本は豫てより東部「シベリヤ」に於ける共産主義組織を破壊するの決意を有し特に同方面の状況発展を注視し居れり右の目的達成と共に極東方面に於て「ソ」連を其の対独戦争に関し牽制せんか為軍備の増強其他の手段を講することは日本政府の絶えす留意し居る所なることは敢て付言を要せさるものと信す右と同時に予は日本政府に於ては仏領印度支那に於ける軍事基地獲得方決定せる旨を通報せんとす
其の結果日本は右両国に対する圧力を強化する次第なり右と関連し本大臣は日本か南西海面を含む太平洋に於て常に監視を行ひ英米を牽制し得る事実に付閣下の注意を喚起せんと欲す
日本は右努力を続行し必要の場合には更に之を強化すへし本大臣は右か実に吾等の共同目標に対し重要なる貢献を為すものにして此の際日本の独「ソ」戦争介入に劣らさる重要性を有することに付ては閣下に於ても全然同意見なるへしと信す
日本は南方に対する努力を軽減する能はす又軽減せさるへし右は結局戦局全体に対し極めて重大なる影響を有する次第なり本大臣は独伊両国か近く戦勝を博されんことを確信す本大臣は茲に再ひ日本政府か三国条約の目的及精神に基き行動すへき旨を閣下に対し確言す
(国立公文書館:昭和16年7月1日 在京独逸大使に対する外務大臣通告覚)
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