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戦争経済基本方略 1941年11月12日

戦争経済基本方略(原文:ひらがな、新字体化)

     戰爭經濟基本方略
                      一六、一一、一二
                      連絡会議決定
東亜共栄圏地域に於ける国防資源及物資を我方に確保し我国の戦争遂行力の急速なる拡充発展を期すると共に敵国に対する戦略物資の供給遮断を図り其の戦争遂行力の伸展を妨壓することを期す
即ち
一、 国防資源及物資殊に石油に付神速に之を開発取得し我国防生産力上に於ける絶対隘路を掘開すると共に満洲事変及支那事変の成果たる自給圏内資源殊に石炭鉄鉱の開発利用を飛躍せしめ米国国防計画の遂行に伴ふ攻勢並に之と不可分の関係に立つ北方よりの攻勢に対し之を克服し得べき我国戦争遂行力の増強確保を為す
 右と同時に東亜共栄圏地域に依存する敵国戦略物資の供給を完封し以て其の国防計画の進展を齟齬遅延せしむ
二、 前項の目的達成の為め昭和十八年末を目標として所要物資の計画的自給生産の実現を期し特に石油(人造石油を含む)石炭、鉄鋼、造船を中核とする自給生産を促進強化す。
 而して我国戦争遂行力の急速増強の為には毎年の新規生産力又は所得のみを以てしては其所要を満足せしめ得ざるにより過去の物的蓄積資本を動員し真の経済総力を発揮すること絶対に必要とす
三、 右意図に基き各産業別再編成の方針を速かに樹立し産業別整理を断行し其の保有せる資材を自給生産建設の新生原動力たらしむべし
  右に関し必要なる国家経費、資金、及財源に付き速かに方策を決定す
四、 上記自給生産の実現過程に於ける国民生活の最低限度を確定し之か確保を為す

     鋼材及銅の蓄積推定量
           (大正元年より昭和十四年迄-二十八年間)
一、 鋼 材(鋼材生産量+輸入量-輸出量)
                     五九、二五五千噸
二、 銅  (   〃         )
                      二、三七五千噸
  註 鋼材は商工省製鉄業参考資料に拠る
    銅は産銅組合調
三、 尚用途別銅材(■延銅材)消費量左の如し
                (昭和元年より十三年迄)
                       千噸   比率
    鉄  道(電鉄を含む)   三、四一九    一〇.三
    土木建築          九、〇八二    二七.二
    造  船          三、五六七    一〇.七
    機械鉄工業         九、三六二    二八.一
    石油瓦斯水道        一、〇〇六     三.〇
    鉱  山           、九六五     二.九
    其  他          五、九〇八    一七.八
      計          三三、三〇九   一〇〇.〇
四、商工省製鉄業参考資料に拠る
(国立公文書館:戦争経済基本方略(企画院))

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