大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針(原文:ひらがな、新字体化)
昭和十七年十二月二十一日
御前会議決定同日裁可
大東亞戰爭完遂ノ爲ノ對支處理根本方針
第一、方 針
一、帝国は国民政府参戦を以て日支間局面打開の一大転機とし日支提携の根本精神に則り専ら国民政府の政治力を強化すると共に重慶抗日の根拠名目の覆滅を図り真に更新支那と一体戦争完遂に邁進す
二、世界戦局の推移と睨合せ米英側反攻の最高潮に達するに先ち前項方針に基く対支諸施策の結実を図る
第二、要 領
一、国民政府の政治力強化
(イ)帝国は国民政府に対し勉めて干渉を避け極力其の自発的活動を促進す
(ロ)極力占拠地域内に於ける地方的特殊性を調整し国民政府の地方政府に対する指導を強化せしむ
(ハ)支那に於ける租界、治外法権其の他特異の諸事態は支那の主権及領土尊重の趣旨に基き速に之か撤廃乃至調整を図る
九龍租借地の処理に関しては香港と併せ別途之を定む
(ニ)国民政府をして不動の決意と信念とを以て各般に亘り自疆の途を講せしめ広く民心を獲得し特に戦争完遂の為必要とする生産の増強、戦争目的に対する官民認識の普及並に治安維持の強化等の確実なる具現を図り戦争協力に徹底遺憾なからしむ
(ホ)帝国は将来国民政府の充実強化並に其の対日協力の具現等に照応し適時日華基本条約及附属諸取極に所要の修正を加ふることを考慮す
二、経済施策
(イ)当面の対支経済施策は戦争完遂上必要とする物資獲得の増大を主眼とし占拠地域内に於ける緊要物資の重点的開発取得並に敵方物資の積極的獲得を図る
(ロ)経済施策の実行に当りては勉めて日本側の独占を戒むると共に支那側官民の責任と創意とを活用し其の積極的対日協力の実を具現せしむ
三、対重慶方策
(イ)帝国は重慶に対し之を対手とする一切の和平工作を行はす
状勢変化し和平工作を行はむとする場合は別に之を決定す
(ロ)国民政府をして右帝国の態度に順応せしむ
四、戦略方策
帝国の対支戦略方策は既定方針に拠る
(国立公文書館:内閣準備書類/7、大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針・・・)
コメント
コメントを投稿