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支那目下の時局に対し帝国の執るべき政策(支那目下ノ時局ニ對シ帝國ノ執ルヘキ政策) 1916年03月07日

支那目下の時局に対し帝国の執るべき政策(原文:ひらがな、一部新字体化)

大正五年三月七日総理官邸に於て
       各 大 臣 花 押
  支那目下ノ時局ニ對シ帝國ノ執ルヘキ政策
一、支那の現状を見るに袁氏権威の失墜民心の離反及国内の不安は漸く顕著となり同国の前途実に測るへからさるものあるに至れり此際帝国の執るへき方針は優越なる勢力を支那に確立し同国民をして帝国の勢力を自覚せしめ以て日支親善の基礎を作るに在り
二、袁氏の支那の権位に在るは帝国か敍上の目的を達するの障碍たるを免れさるへし従て右帝国の方針遂行の為には袁氏か支那の権力圏内より脱退するに到るを便とす何人か袁氏に代はるとき之を袁氏に比するときは帝国に取りて遥に有利なるへきこと疑う容れさる所なり
三、袁氏か支那の権力圏内より脱退することを期せむか為には支那自身をして其の情勢を作成せしむるを得策とす蓋し支那の将来か同国民心の帰向する所に従て決定せられさるへからす帝国は其の趨勢を察し之に乗して事を処理するを要すへく帝国自ら支那の将来を決定せむとするは労多くして効少かるへし
四、若し夫れ然らすして袁氏を排除せむか為帝国政府か正面より袁氏に肉薄して帝制中止又は退位を要求するか如きは却て現に進退に窮しつつある袁氏の為に活路を開く所以にして帝国政府は自然袁氏失脚後の善後処分に当らさるへからさる責任を負ふこととなるへく■れ帝国政府自ら袁氏を窮地より救ひ代■其の窮地に陥るものなり将来帝国は成るへく与国との協調を■らさる範囲内に於て所期の政策を遂行するを得策とする処欧米列国は本件考察の如き明白且直接なる支那内政の干渉に対しては到底之に賛同せさるものと断定せさるへからす
五、敍上の理由に依り目下の時局に対する具体的手段は適当なる機会を俟て南軍を交戦団体と承認することに在り支那政府は巳に外国人の南支一部に於ける旅行に対し護照の発給を拒み保護の責任を負はさるへきことを声明したるに反し南軍は其の占領地域内に於ける保護の責任を自任するものなるを以て今後南軍の活動に尚相当の発展を見るに於ては帝国か之を交戦団体と承認するは国際慣例に照し正当の措置と謂ふへし
六、帝国に於ける民間有志者にして袁氏排斥を目的とする支那人の活動に同情を寄せ金品を融通せんとするものあり政府は公然之を奨励するの責任を執らさると同時に之を黙認するは敍上の政策に適合するものなり
七、対支方針以上各項の通決定したる上は外務省専ら之か実行を調理し厳に行動の不統一を防くことを要す
閣議席上尾崎法相より巻紙に数項の希望を列記して提示せらる其中注目すへきは(一)支那問題に■し列国協調の為すに束縛せられさること(二)袁氏我勧告を顧みさるより起りし事態につき責任を問ひ質言を取り付くへきことと謂ふか如きものありしか此に対し予は帝国政府か無暗に列国に盲従するものに非さることを明にするため第四項に「成るへく」の一句を存せるを指摘すると同時に努めて列国と歩調を共にする従来の方針に変化なしと説明し次に袁氏の責任を問ふは自ら其時機あるへく今■閣議の範囲は此の所袁氏に直接攻撃の矢を放たす間接方法として南軍承認を決行することあるへきを議定するに止めんとするものなることを説明せり
 引用原書は「袁世凱帝政計画一件」中に在り(帝国の政策)
(国立公文書館:支那目下ノ時局ニ対シ帝国ノ帝国ニ執ルヘキ政策(大正五年三月七日総・・・)

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