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日本発送電株式会社法 1938年04月05日

日本発送電株式会社法(原文:一部ひらがな、一部新字体化)

法律第七十七号
日本發送電株式會社法
   第一章 総則
第一条 日本発送電株式会社は電力設備及其の附属設備を為し政府の管理に属する発電及送電を行ふことを目的とする株式会社とす
 日本発送電株式会社は主務大臣の命令に依り又は其の認可を受け前項に定むるものの外附帯業務を営むことを得
第二条 日本発送電株式会社の存立期間は設立登記の日より五十年とす但し主務大臣の認可を受け之を延長することを得
第三条 日本発送電株式会社の株式は記名式とし政府、公共団体、帝国臣民又は帝国法人にして社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上、資本の半額以上若は議決権の過半数が外国人若は外国法人に属せざるものに限り之を所有することを得
   第二章 出資
第四条 政府は電力管理法第二条の規定に依る勅令の定むる電力設備及其の附属設備を本章の規定に依り日本発送電株式会社に対し出資せしむることを得
第五条 政府は前条の電力設備及其の附属設備を日本発送電株式会社に出資せしめんとするときは出資せしむペき設備及出資の期日を公告すベし
 前項の場合に於ては政府は日本発送電株式会社及当該設備の所有者に其の旨を通知すベし
第六条 前条第二項の通知の後出資の目的たる設備の所有者当該設備の現状を変更せんとするときは命令の定むる所に依り主務大臣の認可を受くベし
第七条 第五条第二項の通知の後は出資の目的たる設備の所有者は主務大臣の認可を受くるに非ざれば当該設備を譲渡し又は当該設備を新に所有権以外の権利の目的と為すことを得ず
第八条 政府は日本発送電株式会社に対し国有の電力設備及其の附属設備を出資することを得
第九条 出資の目的たる設備の価格は左の各号の金額の和の二分の一に相当する金額に依り之を算定す
 一 当該設備の建設費より減価鎖却金額を控除したる金額
 二 当該設備所有者の過去十年間に於ける建設費に対する益金の平均割合を出資設備の建設費に乗じたる金額を一定の利率を以て還元したる金額
 前項の建設費、減価鎖却金額及益金は電力評価審査委員会の議を経て主務大臣之を決定す
 第一項第二号の一定の利率は勅令の定むる所に依る
第十条 電力評価審査委員会に関する規程は勅令を以て之を定む
第十一条 日本発送電株式会社は出資の目的たる設備の所有者に対し第九条の規定に依り決定したる価格に相当する株式金額の全額払込済株式を割当つベし但し当該株式一株の金額に満たざる部分に対しては金銭を以て支払ふベし
 出資の目的たる設備に変更ありて其の変更部分に付株式割当の日迄に価格決定せざるときは当該部分に対しては金銭を以て決済することを得株式割当後変更を生じたる部分に付亦同じ
第十二条 出資の目的たる設備は日本発送電株式会社の設立又は増資の登記の時に於て日本発送電株式会社に出資せられたるものと看做す
第十三条 第九条の規定に依る出資価格に付不服ある出資者は同条第二項の規定に依る決定の通知ありたる日より一月内に通常裁判所に出訴することを得
 第九条の規定に依る出資価格が通常裁判所の認定したる価格に逹せざるときは其の差額は日本発送電株式会社の設立又は増資の登記の日以後に於て金銭を以て之を支払ふベし
第十四条 電力設備及其の附属設備を出資したるに因り残存電気事業を継続すること能はざるに至りたるときは出資者は日本発送電株式会社に対し当該事業設備の買収を請求することを得
 前項の規定に依る事業継続の能否、買収価格、買収範囲其の他買収の条件は当事者間の協議に依る協議調はざるときは主務大臣之を裁定す
 価格に関する当事者の協議は主務大臣の認可を受くるに非ざれば其の效力を生ぜず
 第二項の裁定中事業継続の能否又は買収価格に付不服ある者は裁定の通知ありたる日より三月内に通常裁判所に出訴することを得
 主務大臣第二項又は第三項の規定に依り裁定又は認可を為さんとするときは電力評価審査委員会の議を経ベし
第十五条 電力設備及其の附属設備を出資したる者は日本発送電株式会社に対し出資の日より三年間を限り其の出資に対し与ヘられたる株式を其の額而金額を以て買入るることを請求することを得
 前項の場合に於ては日本発送電株式会社は一時其の株式を取得することを得
 第一項の買入代価に付ては出資者の同意ある場合又は特別の亊情ある場合に於ては日本発送電株式会社は勅令の定むる所に依り政府の支払保証ある社債券を以て時価に依り之を交付することを得其の社債券の発行に付ては勅令を以て別段の定を為すことを得
 前項の社債に付ては政府は元利の支払を保証することを得
第十六条 第四条の規定に基き日本発送電株式会社に出資せられたる電力設備及其の附属設備に付当該設備の所有者が有したる河川、湖又は沼の使用に関する権利義務竝に道路其の他土地の占用又は使用に関する権利義務は命令の定むる所に依り日本発送電株式会社之を承継す
第十七条 第十二条及前条の場合に於ける登記に関し必要なる事項は勅令を以て之を定む
   第三章 役員
第十八条 (以下省略)
第十九条 
第二十条 
第二十一条 
第二十二条 
   第四章 業務
第二十三条 日本発送電株式会社の為す電力の受給其の他の業務の運営に関し必要なる事項は命令を以て之を定む
第二十四条 日本発送電株式会社は電力管理法第三条の建設又は変更の計画に從ひ主務大臣の命ずる所に依り電力設備及其の附属設備の建設又は変更を為すことを要す
 前項の命令を為す場合に於て必要あるときは発電の為にする河川、湖若は沼の使用に関する許可又は電力設備の施設に関する許可若は認可は当該許可又は認可を為したる行政官庁に於て之が取消を為し若は其の条件を変更し又は当該既設工作物の変更若は除却を命ずるものとす
第二十五条 日本発送電株式会社は前条の行政官庁の処分を受けたる者に対し相当の補償を為すベし
 許可又は認可を受け未だ工事に着手せざるものに付ては前項の補償は調査又は測量其の他工事準備の為支出したる通常の費用の限度に於て之を為すベし
第二十六条 日本発送電株式会社の為したる電力設備及其の附属設備の建設又は変更に因り著しく利益を受くる電力設備の所有者は利益を受くる限度に於て当該建設又は変更に関する工事の費用の一部を負担すベし
第二十七条 第十四条第二項及第四項の規定は第二十五条の補償又は前条の負担に付之を準用す
第二十八条 日本発送電株式会社は其の送電設備に接続する発電設備に依り発生したる電力の買入を拒むことを得ず
   第五章 特権
第二十九条 (以下省略)
第三十条 
第三十一条 
第三十二条 
   第六章 監督及義務
第三十三条 (以下省略)
第三十四条 
第三十五条 
第三十六条 
第三十七条 
第三十八条 
   第七章 罰則
第三十九条 (以下省略)
第四十条 
第四十一条 
第四十二条 
   附 則
第四十三条 (以下省略)
第四十四条 
第四十五条 
第四十六条 
第四十七条 
第四十八条 
第四十九条 
第五十条 
第五十一条 
第五十二条 
第五十三条 
(国立公文書館:日本発送電株式会社法(勅令第五百七十六号参看)・御署名原本...)

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