日本国「タイ」国間定期航空業務の運営に関する協定(ひらがな、一部新字体化)
条約第六号
日本國「タイ」國間定期航空業務ノ運營ニ關スル協定
大日本帝国政府及
「タイ」国政府は
日本国「タイ」国間に於ける航空関係の設定及一般国際航空関係の増進に関し両国の有する相互の利益を確信し左の諸条を協定せり
第一条
日本国政府に依り指定せらるべき日本国の航空輸送会社は「ウルドン」に定期着陸を為し台北と「バンコック」並に日本国及「タイ」国の権限ある官憲の間に後日協定せらるることあるべき「タイ」国内の他の諸地点との間に定期航空業務を運営することを得
第二条
前記日本国の航空輸送会社の航空機は「タイ」国内に於て「タイ」国政府に依り承認せられたる航空路上を飛行すべし右航空路よりの離脱は緊急の場合に於て又は「タイ」国の権限ある官憲の同意を以てのみ之を為すことを得
第三条
前記日本国の航空輸送会社の航空機は前記の如く承認せられたる航空路上の「タイ」国政府に依り承認せられ且商業用航空機に対し解放せらるる「タイ」国内の着陸場に於て右着陸場に於ける民間航空運営に適用ある条件に従ひ且其の課金を負担し着陸し又は離陸することを得
第四条
前記日本国の航空輸送会社は「タイ」国に於て現に又は今後施行せらるる法令及規則並に両国が締約国たる条約に従ふべし
第五条
前記日本国の航空輸送会社は「タイ」国政府が該会社に委託することあるべき郵便物を「バンコック」「ウルドン」間に於て無料にて逓送すべし
第六条
前記日本国の航空輸送会社は「タイ」国の領域外に始まり又は之に終る継続的航程の一部としての場合を除くの外「タイ」国内の諸地点間に於ては郵便物にして前条に明示せらるるもの以外のもの、旅客又は貨物を運送せざるものとす
第七条
前記日本国の航空輸送会社は「タイ」国に於ける引渡の為該会社の航空機の搭載する航空郵便物を「タイ」国政府の定むることあるべき「タイ」国内の定期着陸場に於て「タイ」国官憲に交付すべし
第八条
前記日本国の航空輸送会社の「タイ」国に於ける代理店は「タイ」国政府に依り承認せられたる適当なる「タイ」国の会社たるべし
第九条
前記日本国の航空輸送会社は「タイ」国政府が該会社に委託することあるべき郵便物を逓送すべく又右郵便物の逓送に対する日本国郵便官憲への支払料金率は第五条に明示せられたる無料逓送の郵便物を除くの外本業務の経費を分担せざる他の郵政庁に対し課せらるる料金率より高からざるものとす
第十条
前記日本国の航空輸送会社は日本国官吏の場合に於けると同一の料金を以て「タイ」国政府の官吏を運送すべし
第十一条
「タイ」国航空輸送株式会社は「バンコック」と台北及両国の権限ある官憲の間に後日協定せらるることあるべき日本国内の他の諸地点との間に定期航空業務を運営することを得
第十二条
前記航空輸送会社の航空機は日本国内に於て日本国政府に依り承認せられたる航空路上を飛行すべし右航空路よりの離脱は緊急の場合に於て又は日本国の権限ある官憲の同意を以てのみ之を為すことを得
第十三条
前記航空輸送会社は日本国に於て現に又は今後施行せらるる法令及規則並に両国が締約国たる条約に従ふべし
第十四条
前記航空輸送会社は日本国の領域外に始まり又は之に終る継続的航程の一部としての場合を除くの外日本国内の諸地点間に於ては郵便物、旅客又は貨物を運送せざるものとす
第十五条
前記航空輸送会社は日本国に於ける引渡の為該会社の航空機の搭載する航空郵便物を日本国政府の定むることあるべき日本国内の定期着陸場に於て日本国官憲に交付すべし
第十六条
「タイ」国政府の請求ありたるときは日本国政府は外国人が許されたる又は今後許さるることあるべき軍事航空訓練の課程を同時に四名迄の学生が修むることを許可すべし但し右義務は「タイ」国の航空業務が日本国の領域内又は領域上に於て合計三年の期間運営せられたるときに於て終止するに至るべし
第十七条
本協定は其の署名の日の後十日にして実施せられ二年間引続き効力を有すべし何れの当事国も本協定を終了せしむるの自国の意思を右二年の満了の六月前に他方に通告せざるときは本協定は何れかの当事国が之が廃棄の通告を為したる日より六月の満了に至る迄引続き効力を有すべし
右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本協定に署名調印せり
昭和十四年十一月三十日即ち仏暦二千四百八十二年八月三十日、西暦千九百三十九年十一月三十日「バンコック」に於て英吉利語を以て本書二通を作成す
大日本帝国特命全権公使 村井倉松(印)
外務大臣 ピゾン、ソンクラム(印)
(国立公文書館:日本国「タイ」国間定期航空業務ノ運営ニ関スル協定・御署名原...)
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