資本逃避防止法(ひらがな、一部新字体化)
法律第十七号
資本逃避防止法
第一条 政府は内外の情勢に依り資本の内外移動を取締る為必要と認むるときは命令を以て外国通貨及外国為替の売買、外国に対する送金、外国通貨を以てする預金取引及貸借、外国通貨表示の証券其の他の債権の売買及輸入並に外国居住者に対し信用を与ふる行為を禁止又は制限することを得
第二条 政府は命令の定むる所に依り前条の禁止又は制限に関係ある事項に付報告を徴し又は帳簿其の他の検査を行ふことを得
第三条 政府は命令の定むる所に依り外国通貨、外国為替又は外国通貨表示の証券其の他の債権を有する者に対し之を日本銀行其の他政府の指定する者に売却すべきことを命ずることを得
前項の売却価額は外貨評価委員会の定むる所に依る
外貨評価委員会の組織及権限は勅令を以て之を定む
第四条 本法に基きて発する命令を以て規定する取引又は行為の禁止又は制限に違反したる者は三年以下の懲役若は禁錮又は一万円以下(若し当該取引価額の三倍が一万円を超ゆるときは当該取引価額の三倍以下)の罰金に処す
本法に基きて発する命令に依る外国通貨其の他を売却すべき旨の政府の命に従はざる者は一年以下の禁錮又は当該外国通貨其の他の価額の二倍以下の罰金に処す
本法に基きて発する命令に違反し報告を為さず、虚偽の報告を為し又は帳簿其の他の検査を拒みたる者は六月以下の禁錮又は五千円以下の罰金に処す
第五条 法人の代表者又は法人若は人の代理人、使用人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関して前条の違反行為を為したるときは行為者を罰するの外其の法人又は人に対し亦前条の罰金刑を科す
第六条 本法の罰則は本法施行地に本店又は主たる事務所を有する法人の代表者、代理人、使用人其の他の従業者が本法施行地外に於て為したる行為にも之を適用す
附 則
本法は公布の日より之を施行す
(国立公文書館:資本逃避防止法・御署名原本・昭和七年・法律第一七号)
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