日独伊防共協定(ひらがな、一部新字体化)
日本国独逸国間ニ締結セラレタル共産「インターナショナル」ニ対スル協定ヘノ伊太利国ノ参加ニ関スル議定書
条約第十六号
議定書
大日本帝国政府
伊太利国政府及
独逸国政府は
共産「インターナショナル」が絶えず東西両洋に於ける文明世界を危険に陥れ、其の平和及秩序を擾乱し且破壊しつつあるに鑑み
平和及秩序の維持を念とする一切の国家間に於ける密接なる協力のみが右危険を減殺し且除去し得ることを確信し
「ファシスト」政治の創始以来不撓の決意を以て右危険と闘ひ共産「インターナショナル」を其の領土より駆逐したる伊太利国は共産「インターナショナル」に対し同様の防衛の意思を堅持する日本国及独逸国と共に右共同の敵に当ることに決したるに鑑み
千九百三十六年十一月二十五日「ベルリン」に於て日本国及独逸国間に締結せられたる共産「インターナショナル」に対する協定第二条の規定に従ひ左の通協定せり
第一条
伊太利国は千九百三十六年十一月二十五日日本国及独逸国間に締結せられたる共産「インターナショナル」に対する協定及附属議定書に参加す右協定及附属議定書の本文は本議定書の附録として添付せらる
第二条
本議定書の三署名国は伊太利国が前条に掲げらるる協定及附属議定書の原署名国と看做さるることに同意す本議定書の署名は右協定及附属議定書の原本の署名に相当するものとす
第三条
本議定書は前記協定及附属議定書と一体を為すものとす
第四条
本議定書は日本語、伊太利語及独逸語を以て作成せられ其の各本文を以て正文とす本議定書は署名の日より実施せらるべし
右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本議定書に署名調印せり
昭和十二年十一月六日即ち千九百三十七年、「ファシスト」暦十六年十一月六日「ローマ」に於て本書三通を作成す
(署名省略)
共産「インターナショナル」に対する協定
大日本帝国及
独逸国政府は
共産「インターナショナル」(所謂「コミンテルン」)の目的が其の執り得る有らゆる手段に依る現存国家の破壊及暴壓に在ることを認め
共産「インターナショナル」の諸国の国内関係に対する干渉を看過することは其の国内の安寧及社会の福祉を危殆ならしむるのみならず世界平和全般を脅すものなることを確信し
共産主義的破壊に対する防衛の為協力せんことを欲し左の通協定せり
第一条
締約国は共産「インターナショナル」の活動に付相互に通報し、必要なる防衛措置に付協議し且緊密なる協力に依り右の措置を達成することを約す
第二条
締約国は共産「インターナショナル」の破壊工作に依りて国内の安寧を脅さるる第三国に対し本協定の趣旨に依る防衛措置を執り又は本協定に参加せんことを共同に勧誘すべし
第三条
本協定は日本語及独逸語の本文を以て正文とす本協定は署名の日より実施せらるべく且五年間効力を有す締約国は右期間満了前適当の時期に於て爾後に於ける両国協力の態様に付了解を遂ぐべし
右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本協定に署名調印せり
昭和十一年十一月二十五日即ち千九百三十六年十一月二十五日「ベルリン」に於て本書二通を作成す
大日本帝国特命全権大使 子爵武者小路公共(印)
独逸国特命全権対し ヨアヒム、フォン、リッベントロップ(印)
共産「インターナショナル」に対する協定の附属議定書
本日共産「インターナショナル」に対する協定に署名するに当り下名の全権委員は左の通協定せり
(イ) 両締約国の当該官憲は共産「インターナショナル」の活動に関する情報の交換並に共産「インターナショナル」に対する啓発及防衛の措置に付緊密に協力すべし
(ロ) 両締約国の当該官憲は国内又は国外に於て直接又は間接に共産「インターナショナル」の勤務に服し又は其の破壊工作を助長する者に対し現行法の範囲内に於て厳格なる措置を執るべし
(ハ) 前記(イ)に定められたる両締約国の当該官憲の協力を容易ならしむる為常設委員会設置せらるべし共産「インターナショナル」の破壊工作防遏の為必要なる爾余の防衛措置は右委員会に於て考究且協議せらるべし
昭和十一年十一月二十五日即ち千九百三十六年十一月二十五日「ベルリン」に於て
大日本帝国特命全権大使 子爵武者小路公共(印)
独逸国特命全権対し ヨアヒム、フォン、リッベントロップ(印)
(国立公文書館:日本国独逸国間ニ締結セラレタル共産「インターナショナル」ニ...)
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