製鉄業奨励法(ひらがな、一部新字体化)
法律第二十七号
製鐵業奨勵法
第一条 一の場所に於て一年三万五千仏屯以上の製銑能力又は製鋼能力を有する設備を以て営む製鉄事業は土地収用法第二条の土地を収用又は使用することを得る事業とし同法を適用す
前項の規定に依り他人の土地を収用又は使用し得へき製鉄事業の範囲は勅令を以て之を定む
第二条 一の場所に於て一年五千二百五十仏噸以上の製銑能力又は製鋼能力を有する設備を以て製鉄事業を営む者には命令の定むる所に依り開業の年及其の翌年より十年間其の場所に於ける事業に付営業税及業務より生する所得に対する所得税を免除す
前項の規定に依り営業税及所得税の免除を受くへき製鉄事業の範囲は勅令を以て之を定む
第三条 一の場所に於て一年五千二百五十仏噸以上の製銑能力又は製鋼能力を増加する設備を為したるときは能力増加の年及其の翌年より十年間其の増加したる能力に付前条の規定を準用す
第四条 前二条の規定に於て五千二百五十仏噸とあるは低燐銑鉄製造事業業に付ては二千五百仏噸とす
前項低燐銑鉄の標準成分は勅令を以て之を定む
第五条 農商務大臣の認可を受けたる計画に基き命令の定むる期間内に製鉄能力の設備又は其の能力増加の設備を完成するときは其の完成の年を以て第二条の開業の年又は第三条の能力増加の年と看做す
前項の規定に依る設備完成前其の設備に依り事業を営む場合に於ても其の能力に付営業税及所得税を免除す但し前項の期間内に設備を完成せさるときは此の限に在らす
第六条 製鉄の事業を継続する者又は其の事業を継続するものと認むへき事実ある者は前事業者か本法に依る営業税及所得税免除期間内に在るときは其の期間を継承す
第七条 北海道、府県及市町村其の他之に準すへきものは本法に依り営業税及所得税を免除せられたる製鉄事業者に対し其の免除せられたる部分に相当する資本金額、従業者、営業用の工作物若は物件、使用動力又は収入を標準として課税することを得す但し市町村其の他之に準すへきものにして特別の事業に基き主務大臣の認可を受けたる場合は此の限に在らす
附 則
第八条 本法施行の期日は勅令を以て之を定む
第九条 本法施行の際現に製鉄事業を営む者本法施行後三年内に一の場所に於て第二条の能力を有する設備を為すに至りたる場合に於て開業の年の翌年より十年を経過せさるときは命令の定むる所に依り残期間第二条の規定を準用す
第十条 本法施行前より一の場所に於て第二条の能力を有する設備を以て製鉄事業を営む其の開業の年の翌年又は第三条の能力を増加する設備を為したる年の翌年より本法施行の日迄に十年を経過せさるときは命令の定むる所に依り残期間第二条又は第三条の規定を準用す
第十一条 第四条及第五条の規定は前二条の規定の適用に付之を準用す
第十二条 第一条の能力を有する製鉄事業の設備又は一の場所に於て一年三万五千仏噸以上の製銑能力若は製鋼能力を増加する設備を為す為必要なる器具、機械其の他の材料を輸入するときは本法施行の日より十年間勅令の定むる所に依り輸入税を免除す本法施行の際現に製鉄事業を営む者本法施行後三年内に一の場所に於て一年三万五千仏噸以上の製銑能力又は製鋼能力を有するに至る為必要なる設備を為す場合亦同し
(国立公文書館:製鉄業奨励法・御署名原本・大正六年・法律第二十七号)
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