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軍需会社法 1943年10月31日

 軍需会社法(原文:ひらがな、一部新字体化)


法律第百八号

   軍需會社法

第一条 本法は兵器、航空機、艦船等重要軍需品其の他軍需物資の生産、加工及修理を為す事業其の他軍需の充足上必要なる事業に付其の経営の本義を明にし其の運営を強力ならしめ以て戦力の増強を図ることを目的とす

第二条 本法に於て軍需会社とは兵器、航空機、艦船等重要軍需品其の他軍需物資の生産、加工及修理を為す事業(以下軍需事業と称す)を営む会社にして政府の指定するものを謂う

 軍需事業の範囲は勅令を以て之を定む

第三条 軍需会社は戦力増強の国家要請に応へ全力を発揮し責任を以て軍需事業の遂行に当るべし

第四条 軍需会社は命令の定むる所に依り生産責任者を選任すべし

 軍需会社生産責任者を選任せざるときは政府は命令の定むる所に依り生産責任者を任命することを得

 生産責任者は政府に対し軍需会社の責務遂行に関し会社を代表して其の責に任ずるものとす

 生産責任者は會社の代表及業務執行並に之に伴ふ事項に関し必要なる事項は勅令を以て之を定む

 軍需会社選任又は任命せられたる生産責任者を解任せんとする場合に於ては政府の認可を受くるに非ざれば其の解任は効力を生ぜず

 政府生産責任者を不適任と認むるときは之を解任することを得

第五条 生産責任者は本店又は軍需事業を営む工場若は事業場に於ける業務に関し生産担当者を任命することを得

 生産担当者は政府に対し生産責任者の指揮に従ひて担当業務を遂行するの責に任ずるものとす

 政府は生産責任者に対し生産担当者を置くべきこと又は解任すべきことを命ずることを得

 生産担当者の職務権限に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

第六条 命令の定むる所に依り生産責任者及生産担当者並に軍需會社の営む軍需事業に従事する者は国家総動員法に依り徴用せられたるものと看做す

第七条 軍需會社の職員其の他の従業者は其の担当業務に従事するに付生産責任者及生産担当者の指揮に従ふべし

第八条 政府は軍需會社に対し期限、規格、数量其の他必要なる事項を指定し軍需物資の生産、加工又は修理を命ずることを得

第九条 政府は軍需會社に対し受注若は発注、設備の新設、拡張若は改良、原料若は材料の取得、使用、保管若は移動、技術の改良若は公開、試験研究其の他事業の運営に関し必要なる命令を発し若は処分を為し又は政府の指定したる事業以外の事業を営むことを制限若は禁止することを得

第十条 政府は勅令の定むる所に依り軍需会社に対し其の勤労管理並に資金調整及経理に関し必要なる命令を為すことを得

第十一条 政府は軍需会社又は軍需事業の遂行に関係ある者に対し其の間に於ける軍需事業の遂行上必要なる協力関係の設定に関し必要なる命令を為すことを得

第十二条 政府は勅令の定むる所に依り軍需会社に対し定款の変更、事業の委託、受託、譲渡、譲受、廃止若は休止、合併若は解散又は事業に属する設備若は権利の譲渡其の他の処分に関し必要なる命令を為すことを得

第十三条 政府第八条、第九条、第十一条及前条の規定に基く命令又は処分を為したる場合に於て必要ありと認むるときは勅令の定むる所に依り軍需会社(第十一条の軍需事業の遂行に関係ある者を含む)に対し補助金の交付、損失の補償又は利益の保証を為すことを得

第十四条 軍需会社の業務執行、株主総会、社員総会及社債権者集会の招集及決議其の他軍需会社の運営に関しては他の法律の規定に拘らず勅令を以て別段の定を為すことを得

第十五条 軍需会社に関しては必要あるときは勅令の定むる所に依り統制、取締等に関する法律の規定に付其の適用を排除し又は特例を設くることを得

第十六条 政府は軍需会社に対し監督上必要なる命令を発し又は処分を為すことを得

第十七条 政府は軍需会社の事業運営に関し考査を為すことを得

 前項の考査に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

第十八条 政府は軍需会社の業務及財産の状況に関し報告を徴し又は当該官吏をして其の事務所、工場、事業場其の他の場所に臨検し業務の状況若は帳簿書類、設備其の他の物件を検査せしむることを得

 前項の規定に依り当該官吏をして臨検検査せしむる場合に於ては其の身分を示す証票を携帯せしむべし

第十九条 政府は本法若は本法に基きて発する命令又は之に基きて為す命令若は処分の効果の確保上支障ありと認むるときは軍需会社の取締役若は監査役を解任し又は業務を執行する社員の業務執行権を喪失せしむることを得

(以下省略、罰則等に関する規定)

第二十条 

第二十一条 

第二十二条 

第二十三条 

第二十四条 

第二十五条 

第二十六条 

   附 則

本法施行の期日は勅令を以て之を定む

(国立公文書館:軍需会社法・御署名原本・昭和十八年・法律第一〇八号) 

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