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北支処理要綱 1936年01月13日

 北支処理要綱(ひらがな、一部新字体化)


      北支処理要綱   昭和十一、一、十三

    方   針

北支処理の主眼は北支民衆を中心とする自治の完成を援助し以て其の安居楽業を得せしめ且日満両国との関係を調整し相互の福祉を増進せしむるにあり

之か為新政治機構を支持し之を指導誘掖して其機能の強化拡充を期す

    要   綱

一、自治の区域は北支五省を目途とするも徒らに地域の拡大に焦慮することなく第二項以下の要領に則り徐に先つ冀察二省及平津二市の自治の完成を期し爾他三省をして自ら進んて之に合流せしむる如くするものとす

 冀察政務委員会に対する指導は当分宋哲元氏を通して之を行ひ民衆の自治運動にして公正妥当なるものは之を抱容せしめつつ逐次其の実質的自治を具現せしめ北支五省の自治の基礎を確立す

 冀東自治政府に対しては冀察政務委員会の自治機能未た充分ならさる間其独立性を支持し冀察の自治概ね信頼するに至らは成るへく速に之に合流せしむるものとす

二、自治の程度は成る可く広汎なる自由を獲得せしむるを可とするも差当り南京政権をして反日満的政策を遂行するの余地なからしむる状態を目途として之を促進し其他は漸進的に之を行ひ急激に独立的権限の獲得を庶幾するか如きは之を避くるものとす

三、自治機能強化に関する指導は財政経済特に金融、軍事及一般民衆指導に重点を指向し且大局を把握し細部は努めて之を支那側に委し自ら実行の責に任せしむ

 特に指導に当り満洲国と同様の独立国家を育成し或は満洲国の延長を顕現するものと認めらるるかの如き施策は実施せさるものとす従て日本人顧問は政務委員会の各委員会内及第二十九軍内に限り且少数限度に止め之等顧問其他公共事業産業開発等に要する人的在的融通は已むを得さるものの外なるへく日本内地に之を求む

 経済進出は民間資本の自由進出に拠るを本旨とし且共存共栄の主義を如実に具現んする如く指導するものとす

四、対内蒙工作は依然従来の趣旨に基き継続すへきこと固よりなるも冀察政務委員会の自治強化及山西綏遠両省に対する自治拡大の為の工作の進展を阻害するの虞ある施策は当分之を差控へ蒙人勢力の南漸は適宜之に制限を加ふるものとす

 之か為対内蒙工作は其範囲を概して外長城線以北に限定し且東部綏遠四蒙旗の地域に波及せしめさるものとす

五、北支処理は支那駐屯軍司令官の任する所にして直接冀察冀東両当局を対象として実施するを本則とし且飽く迄内面的指導を主旨とす又経済進出に対しては軍は主動の地位に立つことなく側面的に之を指導するものとす

 但当分の間冀察政務委員会指導の為一機関を北平に置き支那駐屯軍司令官の区処(自治機構の指導並顧問の統制等)を受けしむ

(国立公文書館:標題:7 北支処理要綱案)

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