スキップしてメイン コンテンツに移動

自動車製造事業法 1936年05月28日

 自動車製造事業法(一部省略、ひらがな、一部新字体化)


法律第三十三号

   自動車製造事業法

第一条 本法は国防の整備及産業の発達を期する為帝国に於ける自動車製造事業の確立を図ることを目的とす

第二条 本法に於て自動車製造事業と称するは命令を以て定むる自動車又は自動車部分品の組立又は製造を為す事業を謂う

第三条 自動車製造事業を営まんとする者は政府の許可を受くべし但し其の組立又は製造を為す自動車又は自動車部分品の数量が命令を以て定むる数量に達せざるものに付ては此の限に在らず

 政府は自動車又は自動車部分品の需要供給を参酌し自動車製造事業確立上支障なしと認めたる場合に非ざれば前項の許可を為すことを得ず

第四条 前条の許可を受くることを得べき者は帝国法令に依り設立したる株式会社にして其の株主の半数以上、取締役の半数以上、資本の半額以上及議決権の過半数が帝国臣民又は帝国法令に依り設立したる法人に属するものに限る

 前項の法人は其の社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が外国人又は外国法人に属せざるものなることを要す

 前条の許可を受けたる者前二項の規定に該当せざるに至りたるときは許可は其の効力を失ふ

第五条 第三条の許可を受けたる会社(自動車製造会社)は政府の指定する期間内に其の事業を開始すべし

 政府は政党の事由ありと認むる場合に限り前項の期間の延長を許可することを得

 自動車製造会社前二項の期間内に其の事業を開始せざるときは第三条の許可は其の効力を失ふ

第六条 自動車製造会社には命令の定むる所に依り第三条の許可を受けたる年及其の翌年より五年間其の事業に付所得税及営業収益税を免除す

第七条 北海道、府県及市町村其の他之に準ずべきものは前条の規定に依り所得税及営業収益税を免除せられたる自動車製造会社には其の免除せられたる事業に対し又は其の免除せられたる事業に属する資本金額、従業者、営業用の工作物若は物件、使用動力又は収入を標準として課税することを得ず

第八条 自動車製造会社其の事業の為必要なる器具、機械又は材料を政府の認可を受け輸入するときは本法施行の日より五年間命令の定むる所に依り輸入税を免除す

第九条 自動車製造会社は事業拡張の場合に於て政府の認可を受け其の事業に属する設備の費用に充つる為株金全額払込前と雖も其の資本を増加することを得

第十条 自動車製造会社は政府の認可を受け其の事業に属する設備の費用に充つる為商法第二百条の規定に依る制限を超えて社債を募集することを得但し社債の総額は払込みたる株金額の二倍を超ゆることを得ず

 最終の貸借対照表に依り会社に現存する財産が払込みたる株金額に満たざるときは前項の規定を適用せず

 第一項の規定に依り募集する社債に付ては工場抵当法に依り会社の事業に属するものを抵当と為すことを要す但し特別の事情ある場合に於て政府其の必要なしと認めたるときは此の限に在らず

第十一条 自動車又は自動車部分品の輸入が自動車製造事業の確立を妨ぐるの虞あるときは政府は命令の定むる所に依り期間を定め自動車又は自動車部分品の輸入を制限することを得

第十二条 自動車又は自動車部分品の輸入に因り其の市価の低落を来し自動車製造事業の確立を妨ぐるの虞あるときは政府は命令の定むる所に依り関税調査委員会の議を経て期間を定め自動車又は自動車部分品に対し関税定率法別表輸入税表に定むる輸入税の外其の物品の価格の五割に相当する金額以下の輸入税を課することを得

第十三条 自動車製造会社は命令の定むる所に依り事業計画を定め政府の認可を受くべし之を変更せんとするとき亦同じ

 政府必要ありと認むるときは事業計画の変更を命ずることを得

第十四条 自動車製造会社其の事業の全部又は一部を譲渡し、廃止し又は休止せんとするときは命令の定むる所に依り政府の許可を受くべし

 自動車製造会社の合併又は解散の決議は命令の定むる所に依り政府の認可を受くるに非ざれば其の効力を生ぜず

第十五条 政府は自動車製造会社に対し業務及財産の状況に関し報告を為さしむることを得

 政府は自動車製造会社に対し業務及会計に関し監督上必要なる命令を発し又は処分を為すことを得

 政府監督上必要ありと認むるときは当該官吏をして自動車製造会社の事務所、営業所、工場、倉庫其の他の場所に臨検し業務若は財産の状況又は帳簿書類其の他の物件を検査せしむることを得此の場合に於ては其の身分を示す証票を携帯せしむべし

第十六条 政府公益上必要ありと認むるときは自動車製造会社に対し自動車若は自動車部分品の販売価格若は販売条件の変更を命じ又は自動車若は自動車部分品の需要供給を調節する為必要なる事項を命ずることを得

 政府公益上必要ありと認むるときは自動車製造会社に対し其の設備の拡張又は改良を命ずることを得

第十七条 政府軍事上必要ありと認むるときは自動車製造会社に対し軍用自動車又は其の部分品の製造、自動車に関する特殊事項の研究又は特殊設備の施設其の他軍事上必要なる事項を命ずることを得

第十八条 政府第三条の許可、第十一条の制限又は第十六条の命令を為さんとするときは自動車製造事業委員会の議を経べし

 自動車製造事業委員会に関する規程は勅令を以て之を定む

第十九条 自動車製造会社本法若は本法に基きて発する命令又は之に基きて為す処分に違反し又は公益を害する行為を為したるときは政府は其の業務を停止し若は制限し、第三条の許可を取消し又は取締役若は其の職務を行ふ監査役の解任を為すことを得

第二十条 (罰則の規定、第二十五条まで省略)

第二十一条 

第二十二条 

第二十三条 

第二十四条 

第二十五条 

   附 則

本法施行の期日は勅令を以て之を定む

本法施行の際現に自動車製造事業を営む者又は其の事業を承継したる者は本法施行の日より三月を限り第三条の規定に拘らず其の事業を営むことを得

前項に掲ぐる者前項の期間内に第三条の許可を申請したる場合に於て其の申請に対する許可又は不許可の処分の日迄亦前項に同じ

昭和十年八月九日以前に於て自動車製造事業を開始したる者又は其の事業を承継したる者にして本法施行の際現に其の事業を営むものは前二項の期間経過後と雖も第三条の規定に拘らず命令の定むる所に依り昭和十年八月九日以前に於て営める事業の範囲内に於て其の事業を営むことを得

第十五条第一項第三項及第二十三条乃至第二十五条の規定は前項の規定に依り自動車製造事業を営む者に之を準用す

本法施行の日より一月以内に第三条の許可を申請したる者自動車製造事業の為必要なる器具、機械又は材料を政府の認可を受け輸入するときは本法施行の日より三月間命令の定むる所に依り輸入税を免除す

前項の規定に依り輸入税の免除を受けたる者第三条の許可を受くるに至らざるときは其の輸入税を追徴す

第六項の規定に依り輸入税の免除を為す場合に於ては輸入の際税金に相当する担保を提供せしむることを得

(国立公文書館:自動車製造事業法(勅令第百六十九号参看)・御署名原本・昭和...) 

コメント

このブログの人気の投稿

徴兵の詔(徴兵令詔書及ヒ徴兵告諭) 1872年12月28日

徴兵令詔書及び徴兵告諭(口語訳)  今回、全国募兵の件に付き、別紙の詔書の通り徴兵令が仰せ出され、その定めるところの条々、各々天皇の趣意を戴き、下々の者に至るまで遺漏なきように公布しなさい。全体として詳細は陸軍・海軍両省と打ち合わせをしなさい。この趣旨を通達する。  ただし、徴兵令および徴募期限については追って通達するべきものとする。 (別紙) 詔書の写し   私(明治天皇)が考えるに、往昔は郡県の制度により、全国の壮年の男子を募って、軍団を設置し、それによって国家を守ることは、もとより武士・農民の区別がなかった。中世以降、兵は武士に限られるようになり、兵農分離が始まって、ついに封建制度を形成するようになる。明治維新は、実に2千有余年来の一大変革であった。この際にあたり、海軍・陸軍の兵制もまた時節に従って、変更しないわけにはいかない。今日本の往昔の兵制に基づいて、海外各国の兵制を斟酌し、全国から兵を徴集する法律を定め、国家を守る基本を確立しようと思う。おまえたち、多くのあらゆる役人は手厚く、私(明治天皇)の意志を体して、広くこれを全国に説き聞かせなさい。 明治5年(壬申)11月28日  わが国古代の兵制では、国をあげて兵士とならなかったものはいなかった。有事の際は、天皇が元帥となり、青年壮年兵役に耐えられる者を募り、敵を征服すれば兵役を解き、帰郷すれば農工商人となった。もとより後世のように両刀を帯びて武士と称し、傍若無人で働かずに生活をし、甚だしい時には人を殺しても、お上が罪を問わないというようなことはなかった。  そもそも、神武天皇は珍彦を葛城の国造に任命し、以後軍団を設け衛士・防人の制度を始めて、神亀天平の時代に六府二鎮を設けて備えがなったのである。保元の乱・平治の乱以後、朝廷の軍規が緩み、軍事権は武士の手に落ち、国は封建制の時代となって、人は兵農分離とされた。さらに後世になって、朝廷の権威は失墜し、その弊害はあえていうべきものもなく甚だしいものとなった。  ところが、明治維新で諸藩が領土を朝廷に返還し、1871年(明治4)になって以前の郡県制に戻った。世襲で働かずに生活していた武士は、俸禄を減らし、刀剣を腰からはずすことを許し、士農工商の四民にようやく自由の権利を持たせようとしている。これは上下の身分差をなくし、人権を平等にしようとする方法で、とりもな...

日清修好条規 1871年09月13日

内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より...

帝国陸海軍作戦計画大綱 1945年01月25日

 帝国陸海軍作戦計画大綱(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)  帝国陸海軍作戦計画大綱(昭和二十年一月二十日)    目 次(略)    第一 作戦方針  帝国陸海軍は機微なる世界情勢の変転に莅み重点を主敵米軍の進攻破摧に指向し随処縦深に亙り敵戦力を撃破して戦争遂行上の要域を確保し以て敵戦意を挫折し以て戦争目的の達成を図る    第二 作戦の指導大綱 一 陸海軍は戦局愈々至難なるを予期しつつ既成の戦略態勢を活用し敵の進攻を破摧し速に自主的態勢の確立に努む   右自主的態勢は今後の作戦推移を洞察し速に先つ皇土及之か防衛に緊切なる大陸要域に於て不抜の邀撃態勢を確立し敵の来攻に方りては随時之を撃破すると共に其の間状況之を許す限り反撃戦力特に精錬なる航空戦力を整備し以て積極不羈の作戦遂行に努むるを以て其の主眼とす 二 陸海軍は比島方面に来攻中の米軍主力に対し靭強なる作戦を遂行し之を撃破して極力敵戦力に痛撃を加ふると共に敵戦力の牽制抑留に努め此の間情勢の推移を洞察し之に即応して速に爾他方面に於ける作戦準備を促進す 三 陸海軍は主敵米軍の皇土要域方面に向ふ進攻特に其の優勢なる空海戦力に対し作戦準備を完整し之を撃破す   之か為比島方面より皇土南陲に来攻する敵に対し東支那海周辺に於ける作戦を主眼とし二、三月頃を目途とし同周辺要地に於ける作戦準備を速急強化す   敵の小笠原諸島来攻(硫黄島を含む)に対し極力之か防備強化に努む   又敵一部の千島方面進攻を予期し又状況に依り有力なる敵の直接本土に暴進することあるを考慮し之に対処し得るの準備に遺憾なからしむ 四 陸海軍は進攻する米軍主力に対し陸海特に航空戦力を総合発揮し敵戦力を撃破し其の進攻企図を破摧す 此の間他方面に在りては優勢なる敵空海戦力の来攻を予想しつつ主として陸上部隊を以て作戦を遂行するものとす   敵戦力の撃破は渡洋進攻の弱点を捕へ洋上に於て痛撃を加ふるを主眼とし爾後上陸せる敵に対しては補給遮断と相俟つて陸上作戦に於て其の目的を達成す 此の際火力の集団機動を重視す   尚敵機動部隊に対しては努めて不断に好機を捕捉し之を求めて漸減す 五 支那大陸方面に在りては左に準拠し主敵米軍に対する作戦を指導す (一) 支那大陸に於ける戦略態勢を速に強化し東西両正面より進攻する敵特に米軍を撃破して其の企図を破摧し皇土を中核とする大...