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旅順、大連湾租借に関する露清条約 1898年03月06日

 旅順、大連湾租借に関する露清条約(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり、附属書等省略)


(訳文)

     旅順、大連湾租借に関する露清条約

(前文省略)

第一条 露国海軍を保全する為め清国北部の海岸に於て根拠と為すへき地を有すること

大清国皇帝は旅順・大連湾及ひ附近の海面を露国に貸与することを承允す但し露国は断して貸与地に於ける清国の主権を侵ささるへし

第二条 以上の理由に因り借用する所の土地の境界は大連湾以北の陸地に於て借用地の守備に適当なる地を撰むへし而して其距離若干里を要すとせは若干里を隔つことを准す其的確なる境界及ひ本条約に関する詳細の事項は記名調印後聖彼得堡に於て許公使(駐露公使)と商議の上別に取極を為すへし此境界画定の後其界線内に劃入せられたる土地及ひ附近の海面は専ら露国の借用に帰するものとす

第三条 借地の期限は記名調印の日より起算して二十五年を以て限と為す然れとも満期後両国商議の上更に延期することを得

第四条 借用期限中借用地及ひ附近の海面に於て海陸軍隊を指揮し並に地方を治理する大官は全く露国より一人に責成して弁理せしめ総督巡撫の名目を附するを得す而して清国は此界内に何等の軍隊をも駐屯せしむるを得す界内に於ける清国人の去就は其自由に任せ之を駆迫するを得す若し犯罪者あるときは該犯を最寄清国地方官に交付して処分せしむ其処分方は咸豊十年清露条約第八条に依るへきものとす

第五条 借用地界以北に於て一の中立地を定む而して露京に於ける許公使と外務大臣との商議に因り此中立地の権は全く清国官に帰す但し清国の兵は露国官吏に協議を為ささるに於ては中立地内に来るを得さるものとす

第六条 両国政府は旅順口を以て専ら軍港と為すことを承允したる上は露清船艦に之か享用を許すと雖も各国の軍艦商船に対しては不開港となして猥りに出入を許ささるへし大連湾に至ては港内に於ける一ヶ所のみ旅順の例に照し専ら露清軍艦の用に供し其余の場所は通商港と為し各国商船に自由に往来することを許す

第七条 露国は借用したる土地にして旅順大連に二港を尤も要害の地と認定するにより海陸軍隊の兵舎を建築し砲台を築造し守備兵を配置し都て必要なる設備を為すこと

第八条 清国政府は光緒二十二年准す所の清国東方鉄路公司か鉄路を建造するの理を以て記名調印の日より該幹線の一停車場より大連湾に至るまて或は必要なる所を酌量し亦た此理を以て該幹線より遼東半島・營子・鴨緑江中間の沿海に於ける便利なる一地方に至るまての一支線を敷設することを承允し都て光緒二十二年八月二日清国政府と露清銀行との条約の各項は以上接続する支線に於て確実に施行すへし其敷設の方向及ひ経過すへき箇所は許公使より東方鉄路公司と商議の上之を定む但し此支線敷設を許すと雖も之に因て永遠清国の土地を侵掠することを得す亦た清国の権利を妨碍することを得す

第九条 本条約は両国全権大臣交換の日より施行す交換は批准の後聖彼得堡に於て之を行ふ



    旅順口貸与に関する露清密約

露国皇帝陛下は極東に於て軍艦碇泊所を収得せんことを欲し特に清国皇帝陛下に対し旅順口及大連湾の二ヶ所並に其近境を露国政府に貸与せられんことを懇請す露国政府は清国の主権を沮碍せさらんか為め貸与に係る地方の行政に干渉することなかるへし清国は貸与地方に対し借地料を課するを得但し貸与約定締結以後に於ては其の露国政府に貸渡されたる地域内に於ける陸海軍の運動及一切の事務は露国の顕官其の統裁の任に当るへし総督若くは知事の職に在る官吏は其の職権を該貸与地区内に及ほすことを得さるへく露国は官吏一名を任命し右版図を管轄せしむへし

大連湾以北に一地方を区画したる上別約を以て中立地区と為し以て該地方に屯在せる両国の軍隊を離隔すへし而して右中立地区に当るの地方は清国官吏之を管轄すへしと雖とも清国軍隊は露国官吏の許諾を受くるにあらされは之を超へて露国の借地内に入るを得さるものとす

大連湾の内港には露国艦船の外入航するを得す但し港内其他の場所は条約港として開放し各国商人の通商を許すへし然れとも該規定は旅順口に適用せす同港に於ては露清両国の軍艦を限り入航するの特権を享有するものとす

露国は其の官用に供せんか為め引渡されたる一切の官衙に対し価額を支払ふへしと雖とも造船所は締盟両国の共用に供すへきものとす貸与に係る地域内に於ける堡砦、燈台、陸地及港湾目標の如き総て防禦工事に関する事項は露国をして外国の侵略に対し両国共同の利益を保護するを得せしめんか為め露国政府に於て之を造営し且其の経費を負担すへし

露清鉄道は速に敷設し且両者を連続することを努むへし若し其の造営費を借入るの必要あるときは之を露国より借入るるものとす

貸与期限は二十五年間とす其の期限に至り両国政府は該貸与を終了し若くは延期することに関し更に協定を為すことあるへし

本約定調印の後一個月以内に於て許在露清国公使は本約定所載の全部を記載したる詳細の約定書を調製し露清両文各二通を作るへし若し本条約の意義に就き疑議の生したる場合に於ては露文に依り決定すへきものとす

千八百九十八年三月十五日廿七日調印す

(外務省日本外交文書デジタルアーカイブ第31巻第1冊10 露国の旅順大連租借関係一件P307-)

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