威海衛租借に関する英清条約(威海衛約定書)(ひらがな化、一部新字体化)
(訳文)
威海衛約定書
北清地方に於て大不列顛国に適当なる軍港を供し且其の近海に於ける英国通商の保護を全からしめんか為め清国皇帝陛下の政府は露西亜国か旅順港を占領すると同一の期限間山東省威海衛並に其の近海を大不列顛国皇帝陛下の政府に貸与することを約定す
貸与に係る区域は威海衛湾に於ける劉公島及総て他の諸島並に威海衛湾の全岸に沿つて広さ十英哩の一帯の地を包含すへし而して大不列顛国は貸与せられたる以上の区域内に於て単独の管轄権を有するものとす
此の外大不列顛国は「グリーンウッチ」子午線の東経百二十度四十分以東に方る地方の海外若は其の附近に於て何れの地点を問はす堡砦及屯営を建設し其の他防備に必要なる計画を施し且該地域内に於て用水の供給、交通の機関及病院の設立に必要なる地区を政党の弁償を以て収得するの権を有すへし又右地域内に於ける清国の行政には干渉せさるへしと雖とも清国兵若は英国兵を除くの外何等の兵士も此地に入るを許さす
清国官吏は貸与に係る地域の防備の為めにする海陸軍要件に抵触せさる限りは威海衛城壁内の市中に於て其の管轄権の執行を継続すへきことを約定す
清国軍艦は其の中立と否とを問はす本条約に依り大不列顛国へ貸与したる水上を使用するの権利を保留することを約定す
本条約書規定の地域内に在住する人民を放逐し若は其の財産を没収することなかるへく若し堡砦公衙其の他官用公用の為め地所を要するときは相当の価額を以て之を買上くへきことを約定す
本約定は調印の時より効力を有すへし且本約定は両国皇帝之を批准し其の批准は可成速に倫敦に於て交換すへし
右証拠として各其の政府より正当の委任を受けたる下記の委員は本約定書に記名調印するものなり
千八百九十八年七月一日即ち光緒二十四年五月十三日北京に於て本書四通を作る(英文清文各四通)
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総理衙門王大臣 慶 親 王
(外務省日本外交文書デジタルアーカイブ第31巻第1冊12 英国ノ威海衛租借関係一件P463-)
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