対支政策に関する件(ひらがな化、一部新字体化)
對支政策ニ關スル件
帝国を中心とする日満支三国の提携共助に依り東亜の安定を確保し其の発展を計るは我対外政策の根基にして我対支政策の目的も亦実に茲に存す。
右目的を達成する為には先つ左記要綱に基き大義名分に即し且緩急宜しきを制する方法に依り支那側(中央及地方政権)をして帝国及満洲国に対する関係を整調せしめ以て日満支三国間の根本関係を確立し得へき状態に至らしむるを要す。
(一)支那側をして排日言動の徹底的取締を行ひ且欧米依存政策より脱却すると共に対日親善政策を採用して該政策を現実に実行し更に具体的問題に付帝国と提携せしむること。
(二)支那側をして満洲国に対し窮極に於ては正式承認を与へしむること必要なるも差当り満洲国の独立を事実上黙認し反満政策を罷めしむるのみならす少く共接満地域たる北支方面に於ては満洲国との間に経済的及文化的の融通提携を行はしむること。
(三)外蒙より来る赤化勢力の脅威か日満支三国共通の脅威たるに鑑み支那側をして外蒙接壌方面に於て右脅威排除の為我方の希望する諸般の施設に協力せしむること。
以上要綱所戦の諸点か着々実行に移され我方か日満両国との親善提携に関する支那側の誠意を確認するに於ては先つ日支間に親善協力関係の設定に関する包括的取極をなし次て日満支間の新関係を規律するに必要なる取極を行ふものとす。
昭和十年十月四日
昭和十年十月四日関係大臣諒解に対する附属文書
一、本政策実施に当りては状況に依り支那に於ける中央及地方政権を相牽制せしむる等同国政局の関係を利用することあるへきも我方か殊更に支那の統一又は分立を助成し若は阻止する目的を以て之を行ふは其の本旨に非すして要綱所載の諸点の実現を期するを以て主眼とす。
二、本政策実施に当りては外務陸海軍は常に密接なる連繋を保持するものとす。
三、昭和九年十二月七日付外務陸海軍主管当局意見一致の覚書は今後の研究に依り之に代るへきものの決定を見る迄昭和十年十月四日関係大臣諒解と併行し引続き有効なるものとす
昭和十年十月四日
(署名省略)
(国立公文書館:標題:21 対支政策決定の経緯 B02030150900)
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