帝国国防方針(ひらがな化、一部新字体化)
帝國國防方針
第一 帝国国防の本義は建国以来の皇謨に基き常に大義を本とし倍〻国威を顕彰し国利民福の増進を保障するに在り
第二 帝国国防の方針は帝国国防の本義に基き名実共に東亜の安定勢力たるへき国力殊に武備を整へ且外交之に適ひ以て国家の発展を確保し一朝有事に際しては機先を制して速に戦争の目的を達成するに在り
而して帝国は其の国情に鑑み勉めて作戦初動の威力を強大ならしむること特に緊要なり尚将来の戦争は長期に亙る虞大なるものあるを以て之に堪ふるの覚悟と準備とを必要とす
第三 帝国の国防は帝国国防の本義に鑑み我と衝突の可能性大にして且強大なる国力殊に武備を有する米国、露国(「ソヴイエト」連邦を示す以下之に倣ふ)を目標とし併せて支那(中華民国を示す以下之に倣ふ)、英国に備ふ
之か為帝国の国防に要する兵力は東亜大陸並西太平洋を制し帝国国防の方針に基く要求を充足し得るものなるを要す其の標準別紙の如し
別紙
帝国国防に要する兵力
陸 軍
一 戦争の初期に於ける所要兵力は概ね師団五十箇を基幹とするものとす而して其の特に最も速に実現を要する主要事項次の如し
(イ)航空兵力は先つ戦時概ね百四十中隊を整備す但し将来更に飛躍的に拡充するの要あり
(ロ)在満兵力は高定員制師団少くも六箇を基幹とするものを平時より充実す
(ハ)常設師団を二十箇とす
二 戦争の継続に伴ふ所要の兵力は別に之を整備す
三 以上の兵力は将来情勢に応し機宜改訂を要するものとす
海 軍
一 外戦部隊は左の兵力を基幹とし之に適応する補助兵力を配す
主力艦 十二隻
航空母艦 十隻
巡洋艦 二十八隻
水雷戦隊 六隊(旗艦六隻 駆逐艦 九十六隻)
潜水戦隊 七隊(旗艦七隻 潜水艦 七十隻)
二 内戦部隊所要兵力は航空機及艦齢超過艦を以てするの外必要なる艦艇を新造充実す
三 外戦部隊及内戦部隊に充当すへき常備基地航空兵力を六十五隊とす
四 外戦部隊の基幹兵力に充つへき艦艇は主力艦艦齢二十六年迄、航空母艦及巡洋艦艦齢二十年迄、駆逐艦艦齢十六年迄、潜水艦艦齢十三年迄とす
右艦齢を経過したる艦艇は代艦を得て所要期間之を外戦部隊の補助兵力及内戦部隊に充つ
五 以上の兵力は今後十ケ年の保有量を目途とす但し将来情勢に応し機宜改訂を要するものとす
(国立公文書館:標題:帝国国防方針 C14061005100)
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