文官任用令(ひらがな化、一部新字体化)
勅令第六十一号
文官任用令
第一条 勅任文官は左の資格の一を有する者の中より之を任用す但し親任式を以て叙任する官及別に任用の規程を設くるものは此の限に在らす
一 奏任文官(特別の規程に依り任用せられたる者及教官、技術官を除く)の職に在る者及在りたる者にして高等官三等の文官の職に在る者及在りたる者
二 満一年以上勅任文官の職に在りたる者但し特別任用の規程に依り在職したる者並に教官、技術官の在職年数を除く
三 勅任文官(特別の規程に依り任用せられたる者及教官、技術官を除く)の職に在りたる者にして本令第二条第一項の資格を有する者
四 満二年以上勅任検事の職に在る者及在りたる者
満二年以上勅任判事の職に在る者及在りたる者は司法省の勅任文官に任用することを得
満二年以上帝国大学及文部省直轄諸学校の勅任文官の職に在る者及在りたる者は文部省部内の勅任文官に任用することを得
陸海軍将官は別に任用の規程あるものの外各其の部内の勅任文官に任用することを得
第二条 奏任文官は別に任用の規程を設くるものの外左の資格の一を有する者の中より之を任用す
一 文官高等試験を経て其の合格証書を有する者
二 満二年以上高等文官の職に在りたる者但し特別任用の規程に依り在職したる者並に教官、技術官の在職年数を除く
三 満二年以上検事の職に在る者及在りたる者
満二年以上判事の職に在る者在りたる者は司法省の奏任文官に任用することを得
第三条 判任文官は別に任用の規程を設くるものの外左の資格の一を有する者の中より之を任用す
一 文官普通試験を経て其の合格証書を有する者
二 文官高等試験を経て其の合格証書を有する者
三 官立公立中学校又は文部大臣に於て之と同等以上と認めたる官立公立学校の卒業証書を有する者
四 高等商業学校旧附属主計学校及旧主計専修科の卒業証書を有する者並に文部大臣の認可を経たる学則に依り法律学、政治学又は経済学を教授する私立学校に於て明治二十六年十一月十日以前に卒業証書を得たる者
五 満二年以上文官の職に在りたる者但し特別任用の規程に依り在職したる者並に教官、技術官の在職年数を除く
第四条 教官及技術官は別に任用の規程を設くるものの外高等官に在りては文官高等試験委員、判任官に在りては文官普通試験委員の銓衡を経て之を任用す
第五条 特別の学術技芸を要する行政官は高等官に在りては文官高等試験委員、判任官に在りては文官普通試験委員の銓衡を経て教官、技術官の中若は試験委員に於て教官、技術官たるの資格ありと認むる者の中より之を任用することを得
第六条 満五年以上雇員として同一官庁に勤続したる者は文官普通試験委員の銓衡を経て直に其の官庁の判任文官に任用することを得
第七条 本令第一条第二項第三項第四項、第二条第二項、第四条、第五条及第六条其の他特別の規程に依り任用せられたる者は文官試験を経るに非されは其の各条項又は其の規程に指定したる以外の文官に任用することを得す
第八条 文官任用及銓衡に関する細則は閣令を以て之を定む
附 則
第九条 本令は明治三十二年四月十日より施行す
(国立公文書館:文官任用令改正・御署名原本・明治三十二年・勅令第六十一号 A03020386600)
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