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非常特別税法 1904年03月31日

 非常特別税法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


法律第三号

   非常特別税法

第一条 臨時事件に因り生したる経費を支弁する為本法に依り地租、営業税、所得税、酒税、砂糖消費税、醤油税、登録税、取引所税、狩猟免許税、鉱区税及各種の輸入税を増徴し毛織物及石油に消費税を課し民事訴訟用印紙を増貼せしむ

第二条 地租、営業税、所得税、酒税、砂糖消費税、醤油税、登録税、取引所税、狩猟免許税、鉱区税及飲食物、衣服及附属品、石油、砂糖、糖蜜、糖水、絹布類、酒類、煙草類の輸入税は関係法規の定めたる税額の外左の割合の税額を増徴す

 一 地租

    市街宅地   地価百分の五、五

    郡村宅地   地価百分の三、五

    其の他の土地 地価百分の一、八

 二 営業税     営業税法に依る税額十分の七

 三 所得税

    第一種及第三種所得 所得税法に依る税額十分の七

 四 酒税

    酒税法に依る酒類

(以下、十一号まで省略)

第三条 毛織物及石油には左の割合に依り消費税を課す

 一 毛織物    価格百分の十五

 二 石油     毎ガルロン金三銭二厘

 前項に於て毛織物と称するは毛の分量に拘らす総て毛製、毛絹製又は毛綿製の織物を謂ふ

第四条 訴状其の他民事訴訟に関する申立又は申請の書面には民事訴訟用印紙法に依り貼用すへき印紙の外左の印紙を増貼すへし

 一 第一審の訴状

(以下、五号まで省略)

 左に掲くる申立又は申請の書面には民事訴訟用印紙法に依り貼用すへき印紙の外金八十銭の印紙を増貼すへし

(以下省略)

第五条 商事非訟事件に関する申立又は申請の書面には商事非訟事件印紙法に依り貼用すへき印紙の外左の印紙を増貼すへし

(以下省略)

第六条 左に掲くるものに付ては命令の定むる所に依り其の消費税を免除す

 一 外国に輸出する毛織物又は石油

 二 製造者の自用に供する毛織物又は石油

第七条 毛織物又は石油の消費税は製造場、税関又は保税倉庫より毛織物又は石油を引取る時引取人より之を徴収す

第八条 政府は命令の定むる所に依り毛織物及石油消費税の徴収を猶予することを得

第九条 製造場、税関又は保税倉庫より毛織物を引取る者は引取の際其の価格を政府に申告すへし

 前項の申告を為さす又は政府に於て其の申告したる価格を不相当と認むるときは政府は毛織物の価格を評定す

 毛織物取引人前項の評定価格に不服なるときは即時異議の申立を為すことを得

 異議の申立ありたるときは二人以上の鑑定人を選定し其の意見を徴し政府之を決定す

 異議申立人の主張に係る価格と第二項の評定価格との差か第二項の評定価格と前項の決定価格との差より大なるときは鑑定に関する費用は其の申立人の負担とす

第十条 第六条又は第八条に該当する場合の外消費税納付前に於ては製造場、税関又は保税倉庫より毛織物又は石油を引取ることを得す

第十一条 毛織物又は石油製造者は第六条又は第八条に該当する場合の外消費税納付前に於て毛織物又は石油を他に引渡し又は製造場外に移出することを得す

第十二条 自用に供するものを除く外毛織物又は石油を製造せむとする者は政府に申告すへし

第十三条 毛織物又は石油製造者は其の製造場に於て毛織物又は石油の売買業を兼営することを得す

第十四条 毛織物又は石油の製造者及販売者は帳簿を備へ毛織物又は石油の製造出入を詳細明瞭に記載すへし

第十五条 収税官吏は毛織物又は石油の製造場又は販売場に立入り毛織物又は石油其の原料、器具、器械、建築物又は帳簿書類を検査することを得

 収税官吏は監督上必要と認むるときは前項の物件に封印を施すことを得

第十六条 収税官吏は運搬中に在る毛織物又は石油を検査し其の出所及到著先を質問することを得

 前項の場合に於て監督上必要と認めたるときは収税官吏は其の運搬を停止し又は荷物若は船車に封印を施すことを得

第十七条 (罰則規定、二十一条まで省略)

第十八条 

第十九条 

第二十条 

第二十一条 

第二十二条 北海道、府県、市町村其の他の公共団体は左の制限以内の地租附加税又は段別割を課するの外土地に対して課税することを得す

 一 北海道、府県、北海道の区、一級町村及二級町村、沖縄県の区及間切島

    附加税のみを課するとき

            地租 十分の五

    段別割のみを課するとき

            一段歩に付平均金四十銭

   附加税及段別割を併課する場合に於て段別割の総額は総段別地租額の十分の五と附加税総額との差額を超ゆることを得す

 二 其の他の公共団体

    附加税のみを課するとき

            地租 十分の三

    段別割のみを課するとき

            一段歩に付平均金四十銭

   附加税及段別割を併課する場合に於て段別割の総額は総段別地租額の十分の三と附加税総額との差額を超ゆることを得す

 北海道府県以外の公共団体は営業税又は所得税百分の三十を超過する附加税を課することを得す

 第二条に依る地租、営業税及所得税の増徴額に対しては附加税を課することを得す

 府県費を市町村に分賦したる場合に於ては其の金額以内に限り市町村は内務大蔵両大臣の許可を受け第一項又は第二項の制限を超過して附加税又は段別割を課し若は附加税及段別割を併課することを得

 明治三十六年度以前に起したる負債の元金償還及利子仕払の為若は非常の災害に因り復旧工事の為費用を要し又は其の費用の分賦を受けたる場合に於て特に内務大蔵両大臣の許可を受けたるときは第一項又は第二項の制限を超過して附加税又は段別割を課し若は附加税及段別割を併課することを得

 北海道の宅地及海産干場に付ては特に内務大蔵両大臣の許可を受くるときは第一項の制限を超過して附加税又は段別割を課し若は附加税及段別割を併課することを得

 水利の為に費用を要する場合に於て特に内務大蔵両大臣の許可を受けたるときは第一項の制限を超過して附加税又は段別割を課し若は附加税及段別割を併課することを得

 第一項及第二項の制限は特に賦課率を定めたる特別法令の適用を妨けす

   附 則

第二十三条 (以下省略)

第二十四条 

第二十五条 

第二十六条 

第二十七条 

(国立公文書館:非常特別税法・御署名原本・明治三十七年・法律第三号 A03020587000)

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